グノシーが企業ベースでも上位入り、商品別CMではトップ継続(民放テレビCM動向:2014年5月分)

2014/06/13 08:30

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年度替わりや消費税改定のドタバタも過ぎ、ゴールデンウィーク明けからそろそろ夏に向けて準備を進める人が増えてくる5月。消費性向の微妙な変化に合わせ、テレビCM(コマーシャル)も少しずつ様相の変わり映えを見せてくるようになった。映像音声検索技術「AVマーカー」などの各種自社技術を活用して得たテレビCMのメタデータを提供するゼータ・ブリッジは2014年6月11日付で、そのテレビCMにおける、2014年5月度分の関東民放5放送局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)のオンエアランキングを公開した。今回はそのデータをかいつまんでチェックを入れ、テレビCM動向を推し量ることにする(【ゼータ・ブリッジ公式サイト】)。


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花王のトップは続く、コカ・コーラが次点、そしてグノシーが


データの取得場所や、各種データの語彙、今件記事が関東地域のみを対象としている状況の解説、同カテゴリーのバックナンバーは、まとめページの【定期更新記事:関東民放テレビCM動向(ゼータ・ブリッジ)】で掲載している。詳細はそちらのページで確認のこと。

発表資料では「出演者ランキング」をはじめ、複数項目の観点で集計されたランキングが公開されている。詳細はそのリリースそのもので確認してほしいが、まずは「企業別オンエアランキング(放送回数順位)」を見ていくことにする。上位10位を抽出し、当サイト側でグラフとして生成したのが次の図。

↑ 企業別放送回数ランキング(2014年5月、上位10位)
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年5月、上位10位)

前回月に続き今回も花王が他社を大きく引き離してトップについている。しかも第二位との差異が前回月よりさらに大きなものとなっている。同社はトイレタリー商品を続々と定期的に展開し、また新商品に知名度を高めるべく、積極的にテレビCMを展開している。季節替わりで新たなリピーターが望める春先に、同社は特にCM攻勢をかける傾向があるのだが、今回月はすでにその春を過ぎているにも関わらず、広告投入量は多い。消費税周りで消費性向に動きがあることから、臨機応変に動いているのかもしれない。また花王と似たようなポジションの興和(コーワ)は、前回第2位から第4位に後退したものの、大きな量の投下をしていることに違いは無い。

今回月では携帯電話関連企業としてKDDIがいつもの通りに上位入り、また前回月では商品別ランキングに上位入りしたグノシーが、企業別でもKDDIを抜いて第5位にランクインしている。同社は知名度の底上げのために大量のテレビCMを投下したことでも知られているが、その動きが企業レベルでのランキングにも反映された形となった。


↑ 前回紹介したのとは別のグノシーのCM。プレゼン編だが、やはり短時間での情報取得をウルトラマンと絡めている:グノシー ウルトラマンCM 「プレゼン編」

これら上位10位の企業のCM出稿量について、各放送先のテレビ局ごとに細分化した上で再構築したのが次のグラフ。

↑ 企業別放送回数ランキング(2014年5月、上位10位)(局別)
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年5月、上位10位)(局別)

出稿数全体が多い花王や興和だが、その企業の商品展開スタイル同様、CM出稿スタイルも(出稿先は異なるものの)似たようなパターンを示している。特定テレビ局に大量にCMを展開し、他の局にはそこそこ。これは提供番組があるのか否かの違いが主な理由となる。

上記で触れたグノシーはというと、TBSテレビとテレビ東京に多くのCMを投下している。上位10位の企業ではテレビ東京に対する値がもっとも多い企業はこのグノシーだけ(KDDIがテレビ朝日と競っている程度)。展開商品のプロモーション先としては、ビジネスユースの多さが期待できるテレビ東京に展開するのが効果的だとの判断によるものだろう。

新しいサービス、心に残るイメージなCMたち


企業別の区切りではなく、個別商品のCM別に算出したランキングは次の通りとなる。

↑ 商品別オンエアランキング(放送回数、2014年5月)
↑ 商品別オンエアランキング(放送回数、2014年5月)

上記でも触れた通り、従来常にトップを行くKDDI(CHANNEL au)すら飛び越え、トップについたのは、先月から大いに伸びているグノシー。この勢いがどこまで続くのか、興味深いところ。そのKDDIだが今回月ではCHANNEL auとも共にau WALLETも大量出稿し、こちらも上位についている。

新しいサービスの仕組みを分かりやすく紹介する解説型のCMだが、幅広い層から支持を集めている所ジョージ氏をメインに据えることで、年齢・性別を問わずに活用できるサービスであることをアピールしている。他のCMでは実際に所氏が利用している様子も描かれており、お手軽さをアピールするものとなっている。

同じ携帯電話事業者のCMとしては、NTTドコモのカケホーダイ&パケあえるの上位入りも目に留まる。こちらは携帯電話事業者ではお馴染みの、さまざまな割引制度の新様式を紹介していくもの。

多彩な切り口で新料金体系が斬新、未知なるものとの遭遇のような目新しさがあるとの印象を覚えさせる、イメージ映像的なものとなっている。放送当時は予約受付開始前だったこともあり、このスタイルの展開が望まれたのだろう。

また順位では10位についているが、今回計測時期に展開されたテレビCMとして注目を集めているのが旅行代理店H.I.S.の「わすれない夏CM」シリーズ。


↑ H.I.S.のCM。日本の昨今のCMとは少々異なる雰囲気をかもしている。:H.I.S.わすれない夏CM 「はじまり篇」

「わすれない夏」のキャッチコピーにもある通り、一生の思い出に残る夏のひと時を旅行で体感しようとのイメージ映像的なCM。幻想的な旅先での出来事や情景を、まるでアルバムをめくるかのような流れで次々と映し出していく。バックに流れるBGMも軽快でリズム感にあふれ、環境映像的な雰囲気すら覚えさせてくれる。昨今の日本のCMではあまり無い、心に残るような、ある意味切り口としては昭和時代のCMのつくり的な香りもあり、かねがね評判が良い。



グノシーの上位入りは先月の動向からある程度予想が出来ていたこと、広告業界の関連記事でもその出稿量の多さから話題に登り、何度となく顔を出していたなどの状況からある程度予想は出来たが、実際に数字が出ると、改めて驚かされるものがある。この出稿量に見合う成果が得られたか否かは、今後の同社の動向から推し量ることになるだろう。

次回計測月となる6月は梅雨時ということもあり、湿気対策の商品が全面展開されるものと考えられる。それと共に夏に向けた商品の数々も大いにプッシュされることだろう。特に今年は夏のボーナスへの期待が並々ならぬ状態のため、それに期待した商品・サービスの「押し」も強力なものになると思われる。

果たしてどの企業がテレビCMを大量投下するのか。現時点でテレビを見ながら、その動向を推し量るのも面白いかもしれない。


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