現状DI値上昇に転じ、先行きは上昇継続…2014年5月景気ウォッチャー調査は現状上昇・先行き上昇

2014/06/09 20:00

内閣府は2014年6月9日付で、2014年5月時点の景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によると現状判断DIは先月から転じて2か月ぶりに増加したものの45.1に留まり、水準値50を下回る水準を維持することとなった。先行き判断DIは先月から続いて2か月連続して上昇し53.8となり、水準値の50を上回る状態を維持している。結果として、現状上昇・先行き上昇の傾向を示している。基調判断は先月と変わらず「景気は、緩やかな回復基調が続いているが、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる。先行きについては、緩やかに回復していくと見込まれる」とやや詳細な表記がなされている(【平成26年5月調査(平成26年6月9日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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消費税率改定後の下落から現状指数も回復基調に


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。そちらを一読されることをお勧めする。

2014年5月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比プラス3.5ポイントの45.1。
 →2か月ぶりの上昇。「悪くなっている」が大幅に減り、「やや良くなっている」「変わらない」が増加している。
 →家計は百貨店やスーパーなどの小売店で消費税率改定後の駆け込み需要の反動が和らいだことから上昇。企業は受注や生産の増加に一服感が見られ低下。雇用は多業種で求人増加により上昇。

・先行き判断DIは先月比で3.5ポイントプラスの53.5。
 →消費税率改定前の駆け込み需要の反動減の影響が薄らいでいくこと、夏のボーナス増加への期待から、全部門で上昇。

前回月の4月は消費税率改定後初の計測月となったため、現状でダイナミックな下げ方をし、その分先行きでは打ち上げ花火的な上昇を示したが、今回月では双方とも動きそのものは大人しいものとなった。イベント後の消沈感的な雰囲気すらある。もっとも方向性は前回とは一部異なり、現状DIもプラスに転じている。先行きDIの上昇機運は基準値の50を超えたため、正常なレベルに移行したようだ。

↑ 景気の現状判断DI(全体)推移
↑ 景気の現状判断DI(全体)推移

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

現状判断DIは一部でまだ下落中


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向を簡単ではあるがチェックする。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年5月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年5月)

今回月は消費税率改定後2か月目の月。思いっきり反動でナイアガラ状態となった現状DIと昇り竜的な上昇を示した先行きDIの動きが見られた先月と比べれば、非常に大人しい動きとなっている。企業関係は今回月もマイナスへの動きが継続しているが下げ幅は小さく、誤差の範囲。一方家計では飲食関連がなおキツい下げを継続しており、やや気になるところ。前回月で下げ幅が0.7ポイントに留まった分、遅れて下げを見せたのだろうか。他方、小売りやサービスは力強い上昇を示し、これが全体をも引っ張る形となった。

また雇用も上昇を示し、早くも60近くに近づいている。雇用の景況感がポジティブなものとなれば、巡り巡って他の要素にも良い影響を与え得るため、この動きは好感できる。

景気の先行き判断DIは先月の上昇の勢いと比べれば随分と大人しいが、全体的に上げ基調なのには違いない。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年5月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年5月)

全体的に、というよりは先月に続き全項目がプラス。基準値の50に達していないのは飲食関連と住宅関連の2項目のみとなった。現状ではやや歩みを後退させた企業動向で、特に非製造業の勢いがプラス5.3ポイントと力強いのには勇気づけられる。

「日を追うごとに回復」連休が一つの節目、かも


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたり用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国レベル、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な「家計(現状・全国)」「家計(先行き・全国)」の事例を抽出し、チェックを入れてみる。

■現状
・消費税増税の影響は多少あるものの、来客数はほぼ前年どおりで推移している。客の様子は、ゴールデンウィーク期間には例年よりも慎重さが見受けられたが、今月後半には増税の事を忘れてしまったかのようである(百貨店)。
・夏休みの先行受注が好調である。3月の駆け込み消費で財布の中身は不安な状況であるが、日並びの悪さでゴールデンウィークは旅行を控えていた客が、ボーナス増を見込んで申込んでいる(旅行代理店)。
・消費税増税の反動を乗り越えた感じはする。客単価も前年並みで買い控えは無い。ただ、たばこは買い控えや客離れの傾向がある。来客数は前年より2%ポイント下がっている(コンビニ)。
・消費税増税の影響が前月よりも顕著に出ている。販売量は全体的には前年比80%程度であり、テレビ、パソコンは90%、冷蔵庫、エアコンは75%と特に白物家電が良くない(家電量販店)。
・4月は消費税増税前の駆け込み需要の反動減がみられたが、5月に入ると徐々に回復してきている。しかし、消費税増税前の水準までは回復していない(コンビニ)。

■先行き
・ボーナス商戦に向けて、4Kテレビや高機能エアコンなどに客の注目が高まっている。また、夏のレジャーシーズンが始まり、海外からの客も増加傾向にあり、販売数量、客単価共に上昇することが期待できる(家電量販店)。
・消費税増税の影響も現時点では思ったほどではなく、今後ベースアップや賞与の増額の効果が表れれば、今よりも良くなる(スーパー)。
・売上の動きをみると、明らかに4月以降は消費税増税の影響が出ている。ただし、日を追うごとに回復しており、6月以降はボーナスの支給増の影響で回復が本格化する(都市型ホテル)。
・商品は好評であるが、慎重に検討する客が増えている。客は消費税増税による実負担よりも気持ちの面で買い控えている印象があり、ボーナス時期とはいえ大きな変化は期待できない(乗用車販売店)。

景況感の落ち込み具合は4月に続きどこも実感しているが、それもゴールデンウィーク前後を区切りに回復に転じたとの意見が少なくない。また注目キーワードは「夏のボーナス」で、これを見込んだ売り上げの増加(への期待)がかなり顕著な頻度で言及されている。

また上記では挙げていないが雇用関連では概して堅調とのコメントでまとめられており、他の部門と比べて早い回復……というより、消費税率引き上げの影響がほとんど無いようにも見受けられる。上記でも言及したが、この流れが他の項目の後押しになる期待が出来よう。

消費税引き上げ後の影響精査


先月分では定期的な記事展開後に言及した詳細動向(【景気ウォッチャーの指標動向から消費税率改定後の景気行き先を推し量ってみる】)について、消費税率引上げの影響を精査出来る機会など滅多にないことから、今回はその記事に続く形で、簡略的ながら状況の確認を行う。現況DI・先行きDIの中期的動向推移はすでに上記にグラフで記した通りだが、前月2014年4月から今回月の同年5月にかけての、両DI値の詳細区分における変動を記したのが次のグラフ。

↑ 2014年4月から5月における現状DIの変動値
↑ 2014年4月から5月における現状DIの変動値

まずは現状DI。特に百貨店やコンビニの回復ぶりが著しく、これが小売全体を引っ張っている。自動車関連も力強い。一方で飲食がやや強いマイナスを示しているのが気になるところ。企業は全体的にマイナスばかりだが、先行きの動向と見比べると誤差の範囲、前月における急降下からの勢い余っての下落と見た方が道理は通る。あるいは夏のボーナスによる実行動的の影響が浸透するまで、もう一、二か月はこの調子が続くかもしれない。

↑ 2014年4月から5月における先行きDIの変動値
↑ 2014年4月から5月における先行きDIの変動値

先行きDIは意外にもコンビニのマイナス値が目に留まる。一方で家電量販店のプラス17.5ポイント、乗用車のプラス8.2%が頼もしいが、これは上記言及にある通り、夏のボーナス期待によるところが大きい。見方を変えれば、この期待値に見合うだけの実情が無ければ、失速も早く、そして反動も大きなものとなるだろう。また企業関連では現状の下げ幅よりも大きな上昇ぶりが見られ、安心感を得ることが出来る。



消費税率改定後2か月目となった今回月だが、あるいは現状DIはもう少し下げる可能性もあったものの、とりあえず2か月目で早くも増加に転じ、回復感の早さを再確認できた。ただし、増加に転じても基準値の50より下回っているのには違いない。先行きDIで大きな期待を集めている夏のボーナスによる実態的な動きが見られる7月分にならないと、基準値に手が届くのは難しいかもしれない。つまり来月6月分は、まだ50には達しないものと考えた方が無難だろう。

一方、雇用DIは意外にも堅調な動きを継続している。消費税率改定直後の4月には小さからぬ下げ幅を示したものの50を下回ることは無く、今回5月には早くも60に手が届く勢いを示している。この雇用値の順調ぶりが、他の値を後押しするような雰囲気になることを願いたいものだ。


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