2014年4月度外食産業売上プラス2.3%・業界全体では消費税率改定のマイナス影響は受けず

2014/05/27 13:30

日本フードサービス協会は2014年5月26日付で、同協会の会員会社から構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2014年4月度の調査結果を公開した。その内容によれば同月の総合売り上げは前年同月比でプラス2.3%を示したことが分かった。消費税率改定後初の月として、外食に対する消費性向の減退を起因とする客数の減少が懸念されたが、各社の対応策が功を奏する形となり、影響は月の前半に限られ、月単位でもさほどの減少は無く、その一方で客単価の上昇が貢献し、売上も前年同月を上回る結果に落ち着いている(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象に行われている。対象数は事業者数が221、店舗数は3万1893店舗。今月は前月と比較すると事業社数は増加しているが、店舗数はわずかに減少している。

全業態すべてを合わせた2014年4月度売り上げ状況は、前年同月比で102.3%となり、2.3%の上昇を記録した。これは先月から継続する形で2か月連続の上昇となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では変化がないものの、雨天日数は東京・大阪共に少なく、また大阪では気温もやや高めとなっており、外食チェーン店にとってはポジティブな材料が相並ぶこととなった。一方で4月は2014年4月における消費税率改定の初月であり、消費者の財布引き締め行動の筆頭に挙げられることが多い外食産業にとっては、戦々恐々たる月に他ならなかった。

しかし実際にフタを開けてみれば、一部事業体で月はじめに駆け込み需要の反動らしき客足減少の動きが見られたものの、全般的には懸念されたような「潮が引くような」減退ぶりは見られず、客数の減少はほとんど発生しなかった。新商品の投入やメニュー改定などによる商品面での訴求力の上乗せや、クーポン配布をはじめとした各種対応キャンペーンが、影響を最小限にとどめた一因であるとも分析できる。リリースでも「消費税増税の影響は軽微であったことがうかがえる」と明記されており、業界内の安堵の声が文言となって書き連ねられているようにすら見えてくる。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続いて2か月連続のプラス(プラス0.9%)。昨今では同部門で一番の軟調さを示す洋風(ハンバーガーチェーン店がメイン)は客足が相変わらず伸び悩み、マイナス4.8%。高単価商品の投入が継続しておりその効果を受けて客単価はプラス2.7%を示すも、売上高をプラスに転じるまでには至らなかった(マイナス2.1%)。持ち帰り米飯/回転寿司も先月同様軟調で、客単価の伸び率は今一つに留まり、客入りも悪く、売上はマイナス0.9%。多様な種類の商品展開と、まさに「ファミレス化」的な事業展開を果たしている店舗も増えているが、状況を打破できるほどの客の誘引までには結びついていないようだ。

色々と内部で動きが見られる、牛丼チェーン店を含む和風は客入数が前年同月比でプラス1.1%となり、客単価のプラス5.9%が幸いし、売上高は2.0%のプラス。鍋物が季節を過ぎた、あるいは販売を休止したこともあり、勢いは先月ほどのものでは無いが、プラスを維持しているだけでも大したもの。

焼き肉ファミリーレストラン部門は全体の売上が5.0%のプラス。消費税率改定で一番の打撃を受けるのではないかと懸念されていた部門だが、客足・客単価共に堅調な伸びを示し、大いに数字を盛り上げる形となった。特に焼き肉と和風の売上高が6%プラスを超えており、注目に値する。

パブ/居酒屋部門ではハブなどの勢いは悪くないが、居酒屋の不調が続いている。客単価も客足もマイナスで、売上もマイナス。先月の値に比べればまだ持ち直してはいるものの、状況的には思わしいものではない。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2014年4月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2014年4月分)

税率改定による
消費自粛の動きは
外食のほとんどで
発生せず。
事前の施策も
大きな奏功となる。
ファストフードの洋風の
軟調さは相変わらず。
洋風は鍋季節終了で
動きも落ち着いたものに。

今回月は冒頭にもある通り、他の小売産業同様、消費税率改定の影響が懸念される月であることから、売上動向は大いに注目される形となった。2月の大雪のような気象状況の悪化も無く、前月の3月分でも他業種における駆け込み需要の余波を受けての外食びかえの影響も生じなかったことから、半ば楽観視する観点もあったのだが、実際にはその楽観的考察が正解となる結果となった。

「昨年同月がたまたま不調だったので、その反動では?」との可能性もあったが、2013年4月における前年同月比は全体でマイナス0.3%。反動云々という影響はほとんど無視して構わない値が出ており、その推測は当てはまらない。他の一般小売の動向同様、月の前半はさすがに客足もやや減退したものの、後半に入るとその影響も薄れ、良い数字が出たようだ。もちろん税率改定に合わせて単に価格変更を行っただけでなく、新規メニューの導入やクーポンの発券など、積極的な集客アクションを実施して努力を重ねた、各店舗の尽力を忘れてはならない。

一方で先日の【すき家、鍋定食などによる人手不足を公認、環境改善のため6月をめどに7地域分社化を決定】【マクドナルドでもアルバイトの募集が積極展開中】でも触れた通り、景況感の回復やファストフードの市場活性化、労働市場の変化に伴い、外食産業でも人材不足懸念があちこちで言及され、その実態を見聞きするようになった。元々年度替わりのこの時期は、大学生などのアルバイトの入れ替わり時期であることから、人材募集が他の季節よりも積極的になされるのだが、今回はそれを差し引いてもスタッフ不足が深刻であることをうかがわせる状況となっている。それはむしろ労働市場における、需要と供給の法則が上手く働いている過程における一状況でしかなく、健全なやりとりが進めば、じきにしかるべき状態に落ち着くはず、ではあるのだが。

消費税率改定に伴う需要減退は、小売全体としては夏前後には落ち着きを見せるとの観測がある。それまでに外食産業において、ファストフード・洋食の不調さの回復や、和風の堅調さの維持継続、ファミレスの堅甲さのキープ、そして居酒屋の不調さの引上げが焦点となることだろう。外食店に積極的に足を運んで食事を楽しむような、余裕がしばしば生じるほどの景況感回復がなされれば、外食産業もまた他の小売同様、良い数字を見せるに違いない。


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