TBSとテレビ朝日が上昇、日本テレビが大きく下げる…主要テレビ局の直近視聴率をグラフ化してみる(2019年3月期・上期)

2018/11/19 05:12

2018-1118従来型4マスメディア、具体的にはテレビ・新聞・雑誌・ラジオの中で、最大の広告市場規模と媒体力を持つとともに、昨今の広告市場動向では、唯一復調の兆しを示しているのがテレビ。そのテレビ全体、あるいは各局、さらには各番組のすう勢を推し量るのに、もっともシンプル、かつ明確な指標が「(世帯)視聴率」。要は世帯単位でどれだけその番組・テレビ局、さらにはテレビ放送そのものが視聴されているかを指し示したもので、雑誌や新聞ならば購読者数、販売部数に相当する。今サイトではテレビ局の中でもキー局、そして上場を(直接、あるいは間接的に)果たしている企業の(半期)決算短信資料などを基に、ほぼ半年毎にキー局の視聴率動向を確認している。今回は2018年11月に発表された各社の半期決算短信資料を基に、2019年3月期(2018年4月から2019年3月)における上期の視聴率動向を確認していくことにする。

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全日は日テレ、ゴールデンも日テレがトップ


日本国内のテレビ局における視聴率は以前【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】で解説した通り、現在ではビデオリサーチ社のみが計測を実施している。上場テレビ局・企業では各社が程度の差はあるものの投資家への経営の状況判断材料として、各種短信資料で視聴率の公開を行っている。視聴率動向が広告売上をはじめとしたテレビ局の主事業である放送業務の勢いを推し量るのに、最適な指標だからである。一方、各社の資料ともビデオリサーチ社提供の値を基にしているため、基本的に同じものとなる。

まずは現時点で直近にあたる2019年3月期・上期の、キー局の視聴率をグラフ化する。データは【TBSホールディングス・決算説明会資料集ページ】内にある「2019年3月期第2四半期決算資料」から取得した(第2四半期とは上期のことである)。なお「キー局」と表現した場合、一般的にはNHKは含まれないが、よい機会でもあるので合わせてグラフに収めておく。

↑ 主要局視聴率(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区)(2019年3月期・上期)
↑ 主要局視聴率(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区)(2019年3月期・上期)

テレビ東京は区分の上では在京キー局の5局に収められているが、他の4局と比べれば放送内容の特異性(比較的経済関連の内容が多い)の都合上、視聴率で他局と比べて低めの値が出るのは、ある意味やむを得ない。その特異性を考慮し順位精査の際に除外すると、フジテレビが一段低く、TBSとNHKがやや低め、日本テレビとテレビ朝日が高めのポジションについており、3階層状態にある。

視聴率が低迷しやすい昼間や深夜を除いていることから、全日と比べて高い視聴率が期待できるのがゴールデンタイム(19-22時)とプライムタイム(19-23時)。その双方で10%を切っているのは(テレビ東京以外では)フジテレビとNHK。そしてプライムタイムのみだがTBSも10%を切っている。10%以上はTBSではゴールデンタイムのみ、そして日本テレビとテレビ朝日が、ゴールデンタイムとプライムタイム双方となる。

放送している番組の構成にもよるが、ゴールデンタイムとプライムタイムの視聴率の差はあまり出ておらず、テレビ朝日以外はゴールデンタイムの方が若干高い程度。しかしNHKに限れば大きな差異が生じている。つまりNHKは他局と比べ、プライムタイムが弱いと判断できる(理由は後ほど)。

数年前までは主要キー局ではTBSが一番低迷していたが、今期では全日こそ今一つ振るわないものの、ゴールデンタイムやプライムタイムでは大いに健闘しており、テレビ朝日とほぼ肩を並べている。他方フジテレビは全日だけでなく、ゴールデンタイムやプライムタイムすべての区分において、(テレビ東京を除けば)視聴率は一番低い立場に収まってしまっている。

平日22時の番組表(ヤフーより)今件で選択したテレビ局の中ではやや特異な動きを示しているのがNHK。上でも触れているが、ゴールデンタイムとプライムタイムの差異が他局動向と比べるとかなり大きい。これは以前からの傾向で、ゴールデンタイムよりもプライムタイムの方が低いことから、その違いとなる時間帯、22-23時における視聴率がとりわけ低く、平均値を下げてしまっていることになる。もっともこれは各テレビ局の番組構成上、民放ではこの時間帯に番組のクライマックスや人気の高い番組が入ることが多いのに対し、NHKではそうとは限らないこともあり、仕方のない面もある。

ゴールデンタイムで視聴率動向を見ると、トップは日本テレビ、次いでテレビ朝日、そしてTBS、NHK、さらにはフジテレビが続く。プライムタイムで比較すると、日本テレビがトップにつき、次いでテレビ朝日、TBS、NHK、フジテレビの順となり、順位は変わらない。NHKのプライムタイムでのいまいち度合いは直上にその理由を記した通りだが、プライムタイムではテレビ朝日がキー局で唯一、ゴールデンタイム以上の値を示しているのは意外かもしれない。22-23時の時間帯で放送される各局の人気番組のすう勢が、そのままこの差に表れるともいえる。テレビ朝日の場合は「報道ステーション」がメイン、後は各種映画や特番、ワイド劇場となるのだろう。

前年同期からの変化で各局の勢いを推し量る


視聴率の変移を前年同期(2018年3月期・上期)との比較で表すと次のようになる。

↑主要局視聴率前年同期比(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区、ppt)(2019年3月期・上期)
↑主要局視聴率前年同期比(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区、ppt)(2019年3月期・上期)

元々テレビの局単位での視聴率は、特番や特定の番組、さらにはイベント的な放送に大きく影響されるところがある。例えば社会現象を引き起こすほどの人気を博したNHKの「あまちゃん」、TBSの「半沢直樹」が好例。

日テレ資料今期では特に日本テレビの下落ぶりが目に留まる。ゴールデンタイムとプライムタイム双方で大きな下げ方をしていることから、主力の夜間放送の番組全体が軟調だったと推測される。直近の同社決算短信補足資料からは特に下落に関する説明は無いものの、下記において「潮目を変える改変-タイムテーブルの『新化』と『深化』-」と銘打ち、新視聴者の確保と既存視聴者のロイヤリティの強化をうたい、さまざまな施策を提示している。番組制作費もここ数年はほぼ横ばい、直近年度に限ればむしろ増加している(2019年3月期・上期では前年同期比でプラス0.8%)しているだけに、意気込みに見合った数字が期待できそうではある。

テレ朝資料大きな上昇を示したのがテレビ朝日。特にゴールデンタイムとプライムタイム双方で大きな上げ方をしていることから、主力の夜間放送の番組全体が堅調だったと推測される(日本テレビの真逆のパターン)。直近の同社決算短信補足資料で確認すると、定番コンテンツが全体的に堅調であったのに加え、ロシアW杯やAFC女子アジアカップなどのスポーツイベント関連の番組も功を奏したようだ。来年2019年は同局開局60周年を迎えるにあたり、60周年記念番組を多数予定しており、それに向けた意気込みも伝わってくる。もっとも前年同期における同局の前年同期比視聴率はゴールデンタイム・プライムタイムそれぞれでマイナス0.7%ポイント・マイナス0.9%ポイントであったことから、その反動が影響している部分もあることは否定できない。

今期では多少の下げ方に留まったNHKだが、前年同期における前年同期比がゴールデンタイム・プライムタイムそれぞれでマイナス1.6%ポイント・マイナス1.5%ポイントであったことを考慮すると、それらの反動を受けてなおさらにマイナスを計上している現状は、決して好ましいとは評価し難い。

視聴率の観点に限れば低迷感は否めず、今期はかろうじて下げ止まった雰囲気のあるフジテレビだが、直近期の決算説明会資料では放送事業(フジテレビ)に関する説明が見られない(フジテレビに関連する催物や映画の説明はある)。前年同期では確認できることから、アピールできる素材が現状も今後予定においても見当たらないように見受けられる。番組制作費も減少の一途をたどっている(2019年3月期・上期では前年同期比でマイナス5.5%)。経費を投入すればよいもの、視聴率が取れる番組を制作できる確約はないものの、経費削減をすればそれだけタガが緩み、品質は劣化せざるを得ない。その影響は因果関係としての数量化は難しいものの、モノの道理としては納得のいくものに違いない。現状ではマイナススパイラル状態に陥っているようにも見える。



詳しくは経年のテレビ視聴率の記事で解説するが、この数年は各局ともターニングポイントを迎えている気配を示している。ある局はVの字回復を見せ、ある局は低迷を続け、ある局は下落傾向が継続している。まるで雑誌の印刷証明部数の話を思い起こさせるのだが、単発のヒーロー的番組やイベントのおかげで一時的な盛り返しを見せることはあっても、根本的な体質、視聴者への姿勢の部分がしっかりとしていないと、次第に低迷さが顕著になる。

中にはそのドーピング的効果に味を占め、魅惑に取りつかれ、繰り返しその効果を望んでいるような行動を示す局も見受けられるが、「待ちぼうけ」の歌にある通り、常に切り株にうさぎがやってくるとは限らない。それを期待するどころか、切り株を増やすべく樹の伐採を繰り返し、かえって地道な努力の成果である果実の収穫量を減らすような動きすら見受けられるのは残念な話(昨今の「報道」番組では特にその傾向が見受けられる)。

4大従来メディアの中では最大の影響力を持つ一方、その力に翻弄される面も見せている。そのような状況下で、各局がいかなる姿勢を見せ、その姿勢が視聴率の動向にいかなる成果として結びついていくのか。今後も注意深く見守りたいところだ。

なお2016年10月3日からは視聴率調査に関して新しい測定方法が用いられる。これは従来のリアルタイム視聴に加え、いわゆるタイムシフト視聴も測定に加わるもの(「統合視聴率」と呼ばれる)。視聴スタイルの変化に対応するためとの説明があるが、具体的な計算式は次の通りとなる。

「総合視聴率」=「リアルタイム視聴率」+「タイムシフト視聴率」−「重複視聴」

ビデオリサーチ社の公開データ=各公開企業の決算資料の数字が「統合視聴率」に差し代わるのか、「リアルタイム視聴率」のままで継続されるのかは現時点では不明だが、仮に前者だった場合、一部界隈で指摘されている「タイムシフト視聴を加えれば視聴率動向は大きな変化、実態を示すはずだ」との意見がどこまで正しいのか否かも判明することになる。

現時点では従来の視聴率のままの開示であること、総合視聴率が試験運用的な公開スタイルであることから、本格導入されるか否かはまだ不透明だが、今後の成り行きには大いに注目したい。


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