Vジャンプは現状維持…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向(2014年1月-3月)

2014/05/19 08:15

社団法人日本雑誌協会は2014年5月13日付で同協会公式サイトにおいて、四半期毎に更新している印刷部数の最新版、2014年1月から3月分の値を、公開データベース上に反映させた。この値は主要定期発刊誌の販売数を「各社の許諾のもと」に「印刷証明付き部数」として示したもので、各誌の独自公開による「公称」部数と比べて公平かつ信頼できる、各雑誌の販売実態を知る指標として知られている(その分、公開誌は限られている)。今回はゲーム専門誌などで構成されるゲーム誌、そして声優・アニメを取り扱ったエンタメ誌などを合わせた「ゲーム・エンタメ系」関連の最新データを精査していく。

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24.3万部でVジャンプの一強体制続く


データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般の注意事項、さらには類似記事のバックナンバー一覧については一連の記事のまとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明済み。必要な場合はそちらを確認してほしい。

まずは最新値にあたる2014年の1-3月期と、その直前期2013年10-12月期における印刷実績をグラフ化し、現状を確認する。

↑ 2013年の10-12月期と2014年1-3月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績
↑ 2013年の10-12月期と2014年1-3月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績

今四半期では脱落誌、追加誌は無し。ここ1,2年の間に脱落誌が相次ぎ(記録にあるだけでも「YOMIURI PC」「ネットワークマガジン」など10誌に及ぶ。もっとも休刊だけでなく、雑誌社側の事情で数字を非公開化したものもある)、今ジャンル該当誌も少なくなってしまった。元々エンタメ系は経済系と並び、デジタル・マルチメディア性が強く、スピード感のある情報発信が求められていることから、インターネットとの相性は良く(ビジネス的な面はまた別の問題)、一度トレンドとしてネット上での情報展開が進むと、一挙に需要がそちらにシフトしてしまい、紙媒体の必要性が薄れてしまいやすい。実際、紙媒体として新規に創刊される今ジャンルの雑誌はほとんど無いが、逆にデジタル化に移行する雑誌はちらほらと見受けられる。

印刷部数そのものの絶対値としては、「Vジャンプ」の独走体制が継続中。今記事題名やグラフ形状を見れば分かる通り、安定した部数推移を示している。一方アニメ系雑誌(三大アニメ誌「ニュータイプ」「アニメージュ」「アニメディア」)では「ニュータイプ」が一歩先んじていることに違いはなく、前四半期で順位入れ替えがあった「アニメージュ」「アニメディア」の順位関係は、そのままの形を維持している。

PASH!失速続く、ファミ通DS+Wiiも反動で…前四半期との相違確認


次に四半期、つまり直近3か月における印刷数の変移を算出し、グラフ化して状況を精査する。季節変動などによるぶれが生じることもあるが、直接的な部数動向を知ることが出来る。

↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系雑誌)(2014年1-3月期、前期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系雑誌)(2014年1-3月期、前期比)

大きく上昇したのは「声優アニメディア」……ではあるのだが、同誌は元々部数が少なく、ちょっとした部数変動で変化率が大きく出やすい。また後述する前年同期比を見れば分かる通り、振れ幅の範囲内に留まっているため、何か大きな躍進の結果によるものでは無い。

部数が一番大きな「Vジャンプ」はプラスマイナスゼロ。ここ数四半期に渡り不安定な部数変化を示し、トレンドがやや下降気味ではあったが、今回は現状維持を果たすことが出来た。一方で内容的な特需「進撃の巨人」特集記事展開で大いに伸びた「PASH!」は大きな失速状態が前四半期から続いている。とはいえ同誌は元々漸増状態を維持していたため、グラフ化してその動向を見た限りでは、通常のペースに戻ったに過ぎないと解釈することができる。いわゆる「祭りは終わった」状態。

↑ PASH!印刷実績(部)
↑ PASH!印刷実績(部)

また、「マック・ピープル」の下げ方が著しい。同誌は一時期データを非公開化し、2012年10月から12月期で再び公開を果たしたのだが、それ以降はほぼ一様に部数を減らし続けている。そろそろ本格的なてこ入れの時期が来たようにも思えるのだが。

前年同期比で年単位での動きを探る


続いて前年同期比における動向を算出の上、状況確認を行う。

↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)(2014年1-3月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)(2014年1-3月期、前年同期比)

前四半期比では大きくマイナスを示した「PASH!」だが、前年同期比では一番のプラス値。元々漸増しているところに加え「巨人」特需の影響が一部残っているのが付加された結果。逆に「マック・ピープル」は年ベースでも大きなマイナス値を示しているのが分かる。何しろ1年で1/3も部数を減らしたのだから。

「週刊アスキー」は14.2%と大きなマイナス値を示しているが、部数そのものも10万部超と今ジャンルでは数少ない大手であり、その中での1割超は多分に懸念視される動き。興味深い特集の数々、話題を呼ぶ付録、コンビニなどの陳列棚でも目に留まりやすい表紙など、創意工夫を凝らしているのははた目から見ても十分わかるレベルのものだが、印刷実績≒需要がそれに追いついていない形ではある。

アニメ三大アニメ誌の動向。前四半期で「アニメージュ」と「アニメディア」の順位入れ替えが生じ、「ニュータイプ」の次に「アニメージュ」、そして「アニメディア」という並びになる、大きな波乱が生じた。今四半期ではその順位に変化は無く、むしろ「アニメージュ」と「アニメディア」の差異が開いてしまっている。

↑ 三大アニメ誌の印刷実績(部)(2014年1-3月期まで)
↑ 三大アニメ誌の印刷実績(部)(2014年1-3月期まで)

直近値では「ニュータイプ」7万8300部、「アニメージュ」5万8900部、「アニメディア」5万4400部。今四半期では「ニュータイプ」と「アニメージュ」が微増を果たし、「アニメディア」が微減したため、「アニメージュ」と「アニメディア」の差は約4500部にまで開く形となった。まだ5000部にも満たない差異ではあるが、この2四半期で継続して差が開く動きにあることを考えると、今後もこの流れが継続する可能性は高い。「アニメディア」の起死回生策を待ち望みたいところではある。



今回計測対象となった四半期では、特に際立った動きは無く、むしろ前四半期のイレギュラー的な流れの軌道修正的な形で状況が推移したといえる。結構動きがあった、先行する記事「少年・男性向けコミック誌」と比べ、相反する結果といえよう。スポットライトをあてている要素「Vジャンプ」「PASH!」「3大アニメ誌」ではそれぞれ「現状維持」「特需が終わり平常化」「変化から定例化へ」と、平穏無事化への動きのように見える。

しかしごく一部の雑誌を除けば、部数減退が恒常的に起きている状況に変わりはない。現状はまさに「ぬるま湯の中のカエル」状態ともいえる。相性の良さゆえに、スピード感、マルチメディア性では絶対にかなうところが無いデジタル媒体の競合に、どのような対応策を打っていくのか。雑誌ならではの特性を前面に押し立てるのか、連動性を強化するのか、それとも割り切りを見せるのか(デジタルをメインとし、紙媒体をサブ的な立ち位置として扱う)。手法は多様に考えられる。

エンタメ・ゲームと親和性の深い若年層のスマートフォン・タブレット機利用率がさらに増える昨今において、先を見据えた戦略の立案と実行が、この分野には強く求められている。


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