2.8%ポイント前年同期から改善、過去最高水準に…大学生の2017年1月末時点での就職内定率は90.6%に

2017/03/18 10:23

厚生労働省は2017年3月17日、2016年度(平成28年度、2016年4月1日から2017年3月31日)における大学や短期大学、高等専門学校、専修学校の新卒者就職状況に関する最新調査結果を公開した。その発表資料によれば2017年2月1日(1月末)時点の大学卒業者の就職内定率(就職希望者に対する就職内定者の割合)は90.6%となり、昨年同時期と比べ2.8%ポイントの増加(改善)が見られたことが明らかになった(【発表リリース(大学等卒業者の就職状況調査)】)。これは同時期におけるデータが取得可能な2000年3月末卒業者以降の記録の中では、2008年3月末卒業者が2008年1月末時点で計上した88.7%を超え、もっとも高い値となる。また、同日発表された【平成28年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・内定状況」取りまとめ】によれば、高校新卒者の就職内定率は94.0%となり、昨年同期から0.4%ポイントの増加(改善)を示している。

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過去最高の高値を計上


公表された調査結果によると、2017年2月1日時点で大学生等の新卒者による就職内定率は90.6%となり、前年同期の87.8%と比べて2.8%ポイントのプラスとなった。つまりそれだけ同じ時期における就職状況が改善したことになる。

↑ 中卒-大卒者の就職(内定)率(2017年1月末時点と2016年同時期)
↑ 中卒-大卒者の就職(内定)率(2017年1月末時点と2016年同時期)

短期大学の就職内定率は大学や高等専門学校と比較して低めに出ることが多い。過去の就職内定率調査でもそのような動きが確認でき、前年同期も同様な動きを見せている。

昨年度における10月1日時点、12月1日時点の結果発表においては、一部属性で前年同期比にてマイナス値が出たり、プラス値を示した学校でもここ数年の伸び率と比べると明らかに低い上昇値が出ていた。その主要因として考えられていた解禁日(民間企業の大学・短期大学における学生の採用面接解禁時期)が2015年においてはこれまでの4月から8月へと大幅に後ろ倒しとなったことの影響は、今年度ではほとんど生じていない。むしろ反動すら生じている。これは2015年度における解禁日の変更で一時的な内定率の低迷が生じたことを受けて、経団連では選考開始のスケジュールについて、2016年からは6月に前倒しする旨の発表を行っており(【記者会見における榊原会長発言要旨(経団連、2015年11月9日)】)、これが一部反発を受けたものの、実行に移されたことの影響と考えられる(【2017年卒最新版 いつ?何を?どうするの?押さえておきたい!就活スケジュール(リクナビ)】)。

今回発表された2月1日時点における内定率は労働市場や景況感を反映する形で、前年よりも良い値が出る結果となっている。全体の90.6%は同じタイミングの時期の調査を始めた・公開値としてデータが取得可能な2000年3月末卒業者分以降(それ以前は3月1日時点の値を計測していた)、2008年1月末時点で計上された88.7%を超え、過去もっとも高い値となる。

高等専門学校は専門技術に特化し、企業側もその技術を頼りに求人を行うため、内定を出しやすい、囲い込みやすいのが、高就職内定率の主要因。企業側の「即戦力優遇主義」が多分に反映され、早期から高い内定率が出る。今回もその実情が大いに反映される結果が出ている。

なお中学新卒者の値が異様に低い結果が出ている。就職内定率は12.9%で、前年同期比で21.3%のマイナス。これは一部の地域において選考開始日が後ろ倒しになった影響によるものと説明されている。

国公立と私立大学、男女別で確認


今回発表された内定値のうち大学(国公立・私立の合計、個別)にスポットライトを当て、男女別にその動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 国公立・私立大の男女別就職率(2017年1月末時点と2016年同時期)
↑ 国公立・私立大の男女別就職率(2017年1月末時点と2016年同時期)

今グラフで対象とした区分において、前年同期比で上昇を示したのは大学全体の男女、そして私立大男女、国公立大の男性。前回調査時点、2016年11月末時点で前年同期比にてマイナス値を示した国公立大女性(マイナス2.2%ポイント)が、今回もマイナス値を示しているのが気になるところ。現時点では前年より明らかに就職難の気配を覚える結果が出ている。就職活動期間はまだ継続中のため、今後どこまで値が改善されるか、注意深く見守りたい。

もっとも多少の変動があるとはいえ、国公立女子に限れば2月1日時点では80%台から90%台前半のボックス圏内を行き来しており、最高値は前年の2016年2月の92.9%。

↑ 就職(内定)率の推移(大学・女子・国公立)(各年2月1日現在)
↑ 就職(内定)率の推移(大学・女子・国公立)(各年2月1日現在)

天井付近での統計的なぶれも少なからずあるのだろう。

中期的な内定率推移から就職戦線の動きを推し量る


厚生労働省が定期的に発表している今件就職(内定率)において、過去のデータを逐次抽出し、(金融危機ぼっ発直前からの動向を推し量るため)過去12年間における動向をグラフ化したのが次の図。リーマンショック後下げ続け、2011年3月卒分を底とし、それ以降は少しずつ回復基調にある状況が容易に把握できる。それゆえに、2015年における解禁日の大幅後ろ倒しに伴い就活学生側に混乱が生じ、(その2年前と比べればまだ上だが、)内定率の改善状況が一時的に足踏み状態となってしまったのは残念でならない。

↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2017年2月1日)
↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2017年2月1日)

大学生などの就職(内定)率は、その時の経済状態や企業の景気判断、とりわけその時点の景況感では無く、今後の見通し的なものと深い関係にある。現在景気が良くても、今後の見通しに不安があれば、わざわざ人材を増やしてリスクを底上げする酔狂さを持つ企業はさほど多くない。逆に企業の先行きが明るければ、それを見越して事業拡大を図るため、人材の追加確保に勤しむことになる。

つまり学生諸子の就職率を底上げし、安定化させるには、(非常に大雑把な話ではあるが)景気回復こそが一番の対策となる。それと共に安易な、大人側の一方的な思惑で人生設計を揺るがすような変更をスナック感覚で行うことなく、十分な思慮の上での決定が求められよう。



冒頭にある通り、同日付で高校卒業予定者の内定率も発表されている。高校新卒者の各種データは次の通り。

■高校新卒者
・就職内定率は94.0%。前年同期で0.4%ポイント増
・求人数は38.4万人。前年同期で9.8%増
・求職者数は17.6万人。前年同期で0.3%増
・就職(内定)者は16.5万人。前年同期で0.6%増
・求人倍率は2.19倍。前年同期で0.19ポイント増

■中学新卒者
・就職内定率は12.9%。前年同期で21.3%ポイント減
・求人数は1612人。前年同期で4.1%増
・求職者数は945人。前年同期で7.4%増
・就職(内定)者は122人。前年同期で59.5%減
・求人倍率は1.71倍。前年同期で0.05ポイント減

高校新卒者では求人数が増加する一方、求職者数はわずかな増加に留まっている。結果として求人倍率は増加している。労働市場の改善に加え、若年層の人口そのものの減少に加え、大学進学者が増えたことで、高卒による就業者数そのものが減少しているのも原因だろう。求職者にとっては好ましい環境下に違いない。もっとも求職者全員が内定をもらったわけでは無く、企業・求職者双方のマッチングを考えれば、さらなる状況改善に期待がかかる。ただしあまりにも求人倍率が上がりすぎると、今度は企業側の人材不足が深刻化してしまうので、そのバランス感覚が難しいのだが。

中学新卒者では上記で言及している通り、一部の地域で選考開始日が後ろ倒しとなったため、大きな数字の動きが生じてしまっている。正直、今回の値は過去のデータとの比較検証は不可能ではある。

中学・高校卒業者は大学卒業者と比べて短期間での離職率が高いことでも知られている(【学歴別・就職後の離職状況をグラフ化してみる(2016年)(最新)】)。内定率そのものは高くても、定着率が低ければ、企業も学生も双方とも不幸となる。企業側の人手不足が深刻化する昨今、「仕方なくこの企業を選ばざるを得ない」といった状況も減りつつあるのが幸いなところ。定着率も上昇し、より健全な、雇用・被雇用双方が望む状況に移行しながら、就職内定率が上がるよう、望みたいものだ。


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