4.7%ポイント前年同期から改善、過去2番目の高水準に…大学生の2016年9月末時点での就職内定率は71.2%に

2016/11/19 10:55

厚生労働省は2016年11月18日、2016年度(平成28年度、2016年4月1日から2017年3月31日)における大学や短期大学、高等専門学校、専修学校の新卒者就職状況に関する最新調査結果を公開した。その発表資料によれば2016年10月1日(9月末)時点の大学卒業者の就職内定率(就職希望者に対する就職内定者の割合)は71.2%となり、昨年同時期と比べ4.7%ポイントの増加(改善)が見られたことが明らかになった(【発表リリース(大学等卒業者の就職状況調査)】)。これはデータが取得可能な1996年3月末卒業者における記録の中では、1998年3月末卒業者が1997年9月末時点で計上した73.6%に次ぐ高い値となる。また、同日発表された【平成28年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・内定状況」取りまとめ】によれば、高校新卒者の就職内定率は60.4%となり、昨年同期から4.3%ポイントの増加(改善)を示している。

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過去2番目の高値を計上


公表された調査結果によると、2016年10月1日時点で大学生等の新卒者による就職内定率は71.2%となり、前年同期の66.5%と比べて4.7%ポイントのプラスとなった。つまりそれだけ同じ時期における就職状況が改善したことになる。

↑ 中卒-大卒者の就職(内定)率(2016年9月末時点と2015年同時期)
↑ 中卒-大卒者の就職(内定)率(2016年9月末時点と2015年同時期)

短期大学の就職内定率は大学や高等専門学校と比較して低めに出ることが多い。過去の就職内定率調査でもそのような動きが確認でき、前年同期も同様な動きを見せている。

昨年度における10月1日時点、12月1日時点の結果発表においては、一部属性で前年同期比にてマイナス値が出たり、プラス値を示した学校でもここ数年の伸び率と比べると明らかに低い上昇値が出ていた。その主要因として考えられていた解禁日(民間企業の大学・短期大学における学生の採用面接解禁時期)が2015年においてはこれまでの4月から8月へと大幅に後ろ倒しとなったことの影響は、今年度ではほとんど生じていない。むしろ反動すら生じている。これは2015年度における解禁日の変更で一時的な内定率の低迷が生じたことを受けて、経団連では選考開始のスケジュールについて、2016年からは6月に前倒しする旨の発表を行っており(【記者会見における榊原会長発言要旨(経団連、2015年11月9日)】)、これが一部反発を受けたものの、実行に移されたことを受けてのものと考えられる(【2017年卒最新版 いつ?何を?どうするの?押さえておきたい!就活スケジュール(リクナビ)】)。

今回発表された10月1日時点における内定率は、前年度の反動に加え、労働市場や景況感を反映する形で、大よそ前年よりも良い値が出る結果となっている。全体の71.2%は調査を始めた・公開値としてデータが取得可能な1996年3月末卒業者分以降、ITバブルが体現化し始めた1997年9月末時点で計上された73.6%に続く、過去2番目に高い値となる。

高等専門学校は専門技術に特化し、企業側もその技術を頼りに求人を行うため、内定を出しやすい、囲い込みやすいのが、高就職内定率の主要因。企業側の「即戦力優遇主義」が多分に反映され、早期から高い内定率が出る。今回もその実情が大いに反映される結果が出ている。

なお中学新卒者の選考・内定開始期日は、全国高等学校長協会、主要経済団体(一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会)、文部科学省及び厚生労働省において検討を行い、2017年1月1日(積雪指定地域では2016年12月1日以降)と申し合わせており、今件時点では中学新卒者の就職内定率は算出されていない。

国公立と私立大学、男女別で確認


今回発表された内定値のうち大学(国公立・私立の合計、個別)にスポットライトを当て、男女別にその動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 国公立・私立大の男女別就職率(2016年9月末時点と2015年同時期)
↑ 国公立・私立大の男女別就職率(2016年9月末時点と2015年同時期)

今グラフで対象とした区分において、前年同期比で上昇を示したのは大学全体の男女、そして私立大男女。前回調査時点、つまり前年度の卒業時における就職率(2016年3月末時点の就職率)でマイナス値を示した国公立(マイナス0.6%ポイント)が、今回もマイナス値を示しており、その中身として男女ともにマイナスを計上しているのが気になるところ。就職希望率が上昇しているのも一因だが、国公立女子に限れば就職希望率がプラス0.6%ポイントでしかないにも関わらず、内定率がマイナス1.3%を示しており、現時点では前年より明らかに就職難の気配を覚える結果が出ている。就職活動期間はまだ継続中のため、今後どこまで値が改善されるか、注意深く見守りたい。

もっとも多少の変動があるとはいえ、国公立女子に限れば10月1日時点では60%台から70%台前半のボックス圏内を行き来しており、最高値は2009年10月の73.8%。

↑ 就職(内定)率の推移(大学・女子・国公立)(各年10月1日現在)
↑ 就職(内定)率の推移(大学・女子・国公立)(各年10月1日現在)

天井付近での統計的なぶれも少なからずあるのだろう。

中期的な内定率推移から就職戦線の動きを推し量る


厚生労働省が定期的に発表している今件就職(内定率)において、過去のデータを逐次抽出し、(金融危機ぼっ発直前からの動向を推し量るため)過去12年間における動向をグラフ化したのが次の図。リーマンショック後下げ続け、2011年3月卒分を底とし、それ以降は少しずつ回復基調にある状況が容易に把握できる。それゆえに、2015年における解禁日の大幅後ろ倒しに伴い就活学生側に混乱が生じ、(2年前と比べればまだ上だが、)内定率の改善状況が一時的に足踏み状態となってしまったのは残念でならない。

↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2016年10月1日)
↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2016年10月1日)

厚労省では4月1日時点における就職内定率は1996年3月卒業者の分から計上しているが、その領域内では今回の値は上記でも言及している通り、1997年9月末時点で計上された73.6%に続く、過去2番目に高い値。金融危機以降ではリーマンショックの影響が出る前の2008年10月時点で計上した69.9%を超えた最高値である。

大学生などの就職(内定)率は、その時の経済状態や企業の景気判断、とりわけその時点の景況感では無く、今後の見通し的なものと深い関係にある。現在景気が良くても、今後の見通しに不安があれば、わざわざ人材を増やしてリスクを底上げする酔狂さを持つ企業はさほど多くない。逆に企業の先行きが明るければ、それを見越して事業拡大を図るため、人材の追加確保に勤しむことになる。

つまり学生諸子の就職率を底上げし、安定化させるには、(非常に大雑把な話ではあるが)景気回復こそが一番の対策となる。それと共に安易な、大人側の一方的な思惑で人生設計を揺るがすような変更をスナック感覚で行うことなく、十分な思慮の上での決定が求められる。



冒頭にある通り、同日付で高校卒業予定者の内定率も発表されている。高校新卒者の各種データは次の通り。

■高校新卒者
・就職内定率は60.4%。前年同期で4.3%ポイント増
・求人数は36.0万人。前年同期で11.6%増
・求職者数は17.7万人。前年同期で0.1%減
・就職(内定)者は10.7万人。前年同期で7.6%増
・求人倍率は2.04倍。前年同期で0.21ポイント増。

■中学新卒者
・求人数は1140人。前年同期で13.3%増
・求職者数は1086人。前年同期で6.1%減
・求人倍率は1.05倍。前年同期で0.18ポイント増
(内定率は現時点では未算出)

高校新卒者では求人数が大きく増加する一方、求職者数は逆に減っている。結果として求人倍率は大きく増加している。労働市場の改善に加え、若年層の人口そのものの減少に加え、大学進学者が増えたことで、高卒による就業者数そのものが減少しているのも原因だろう。求職者にとっては好ましい環境下に違いない。もっとも求職者全員が内定をもらったわけでは無く、企業・求職者双方のマッチングを考えれば、さらなる状況改善に期待がかかる。ただしあまりにも求人倍率が上がりすぎると、今度は企業側の人材不足が深刻化してしまうので、そのバランス感覚が難しいのだが。

中学新卒者では求人数は増加し、求職者数は減少している。高校進学者が増え、中学卒業で就職する選択をした人が減っていることになる。また教示倍率は増加しており、求職者にとっては環境は改善の方向にある(内定率が未算出なのは上記の通り、協定によって現時点では内定が出せないため)。

中学・高校卒業者は大学卒業者と比べて短期間での離職率が高いことでも知られている(【学歴別・就職後の離職状況をグラフ化してみる(2016年)(最新)】)。内定率そのものは高くても、定着率が低ければ、企業も学生も双方とも不幸となる。企業側の人手不足が深刻化する昨今、「仕方なくこの企業を選ばざるを得ない」といった状況も減りつつあるのが幸いなところ。定着率も上昇し、より健全な、雇用・被雇用双方が望む状況に移行しながら、就職内定率が上がるよう、望みたいものだ。


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