ラジオ以外は前年同月比でプラス、ネットの額面が伸びる(経産省広告売上推移:2014年5月発表分)

2014/05/15 08:30

経済産業省は2014年5月14日付で、「特定サービス産業動態統計調査」に関する2014年3月分の速報データ(確定値に先立ち公開される値)を、同省公式サイトの該当ページにて発表した。それによると2014年3月の日本の広告業全体における売上高は前年同月比でプラス6.1%となり、増加傾向にあることが分かった。今件記事シリーズで精査対象としている業務種類5項目(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)中では「ラジオ」がマイナス1.5%と、1項目のみがマイナス値を記録している。また2か月前には久々に新聞の額面がインターネットを抜いたが、今回の3月分では先月から続きインターネット広告が新聞の額を超え、額面上は大きく飛躍する状況が確認できた(【発表ページ:経済産業省・特定サービス産業動態統計調査】)。

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主要項目はラジオがマイナスで他はプラス


データの取得場所や速報値と確定値の違い、過去のデータなど「特定サービス産業動態統計調査」に関連する解説は、それらの記事の集約ページ【定期更新記事:4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】に記載している。

まずは主要5項目の動向について。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2014年2月-2014年3月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2014年2月-2014年3月)

今件データは前年同月比を示したものだが、同時に前月分からの動きが確認しやすいよう、前回記事分となる2014年2月分のデータ(速報値の後に発表される確定値に修正済み)と並列してグラフ化している。今回月では前回月にマイナス値を示した「雑誌」「ラジオ」がやや戻しを見せる一方で、プラス値を示した他項目が押し並べて勢いを減じているのが特徴的。しかし「雑誌」こそプラスに転じることができたが、「ラジオ」は相変わらずマイナスに留まっている。また「インターネット広告」は前年同月比の比率こそ前月から幅を縮めたが、(詳しくは後述の通り)額面そのものは前月から大きな伸びを記録している。

該当月、つまり2014年3月における大手広告代理店電通・博報堂の売上動向に関する記事【ラジオ以外以外の全般的な堅調さ続く(電通・博報堂売上:2014年3月分)】で個々の相当する項目の動きを確認すると、「インターネット広告」の勢いの良さ、「新聞」「テレビ」がそこそこ堅調、「ラジオ」のみが軟調とあり、ほぼ同じような挙動をしている。3月は広告業界全体としても、主要企業の電通・博報堂としても、似たような調子ぶりだったことが確認できる。

ちなみに4マス+ネット以外の一般広告の動向は次の通りとなる。

↑ 屋外広告などの広告費・前年同月比(2014年3月)
↑ 屋外広告などの広告費・前年同月比(2014年3月)

震災以降、電力事情の影響を多分に受ける形で、4マスとネット以外の一般広告(従来型広告)は好調な動きを示している。今回月では屋外広告は大きく落ちたものの、「海外広告」のずば抜けた動きをはじめ、各項目とも順調な動きを示している。もっとも「海外広告」は市場規模そのものは「ラジオ」並である一方、金額の上下感が激しく、いわゆる「波がある」タイプの項目のため、今回月の大きな伸びがそのまま「海外広告」の通例的な勢いを示すわけではない。

ネットの額面が大きく伸びる


今回も該当月(2014年3月分)における、各区分の具体的売上高のグラフ化を生成する。広告代理店業務を営む日本の企業は、電通と博報堂が最大手であることは上で触れた通りだが、その2社のみで日本の広告市場が形成されているわけではない。また各広告種類の区分は業界内で似たような文言が用いられているものの、その構成内容は業界内で規格統一は行われておらず、微妙な違いが生じている。従って【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】と今件グラフとの額面上で、完全一致性は無い。同じような項目名が複数あるが、額面が一致しないのも何らおかしな話では無い。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2014年3月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2014年3月、億円)

金額面では「インターネット広告」が「新聞」を超える月が継続中だったことは【どちらが優勢か…新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる】で解説した通り。2014年1月分ではそのパターンが打ち破られたものの、先月2014年2月分では再び「インターネット広告」は「新聞」を超える状態となった。今回月もまたその状態が継続している。両社間の差異は少しずつ開きつつあるものの、昨今では「新聞」が幾分復調の気配を見せていることに加え、「インターネット広告」は多分に起伏の大きな項目であることから、再び両者間の立ち位置が入れ替わる月が発生するかもしれない。

一方で「インターネット広告」は少なくとも2010年以降は毎年3月には大きく額面を伸ばす傾向がある。最近ではそれに加えて12月も特異点的な月になることが確認されている。しかもその特異点的月における額面の上振れが、毎年大きくなる傾向すら見られる。それぞれ年度末・年末商戦に該当することから、ビジネスにおける稼ぎ時にさらなる広告効果を狙う短期集中の、臨機応変に対応しやすい広告として、「インターネット広告」を選ぶ事例が増えているのかもしれない。

↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2014年3月)
↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2014年3月)

次のグラフは今件記事で対象としている5項目、そして広告費総計(5項目以外の一般広告も含むことに注意。4マスとネットを合わせた動きとは異なる場合もある)について、公開されているデータを基にした中期的推移を示したもの。今調査で「インターネット広告」の金額が計上されはじめたのは2007年1月以降であることから、それ以降に限定した流れを反映させている。

↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2014年3月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2014年3月分まで)

「雑誌」(黄色)と「新聞」(ピンク)の折れ線がグラフ中では下側に位置する場合が多い。パッと見の印象の上でも、両メディアの低迷が短期的なものでは無く、長期的に渡るものであることが分かる。奇しくも双方とも紙メディアであることから、デジタル化が進む昨今において相対的にメディア力が減退していることが連想される。

また、濃い藍色で記された「ラジオ」は、新聞や雑誌よりも状況は芳しくない。一時的なプラス圏への移行もほとんど見られず、ほぼマイナス圏を低迷したままの状態が続いている。つまり長年、継続的に売り上げが落ちている、見方を変えれば広告市場の縮小、しいてはメディア力の減退をも意味する。

それら個々のメディアの特性とは別に、金融危機やリーマンショック、東日本大地震・震災のような経済的に打撃を受け得る事象において、広告業界全体が受けた影響でマイナス方向への圧力も把握できる。

またグラフをよく見ると分かるのだが、2012年後半以降は「インターネット広告」そして全体値を示す太い赤線の「売上高合計」を中心に、大きな変動が無くなり、少しずつ平穏な状態からやや上向きの動きがある。特にネット以外では「テレビ」の動きが顕著。「ラジオ」などの挙動と合わせて考えると二極化した上ではあるが、回復基調を示しているようだ。



今回月(2014年3月分)は本文中にもある通り、先行する形で発表された電通・博報堂の広告費動向とほぼ同じ傾向を示す形となった。消費税率改定前の駆け込み需要による特需効果を最大化すべく、広告費への投入もこの1、2か月大きなものが見られ、売上高合計ではしばらく前年同月比で5%以上の増加が確認できている。

来月発表分は税率改定後初の月となる。やはり先行する電通・博報堂の動向を見るに、4月は幾分広告費も抑えられた形とはなるものの、一部で懸念されたような「一気に広告市場全体が冷え込む」という事態は起きておらず、その点では安心できそうである。


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【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(上)…4マス+ネット動向編(特定サービス産業動態統計調査)(2014年)(最新)】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(下)…ネット以外動向概況編(特定サービス産業動態統計調査)(2014年)(最新)】
【前年比プラスの1.4%・総額5兆9762億円…過去20余年の媒体別広告費動向(2014年)(最新)】

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