10周年にエナジードリンク、多彩なCMが次々展開(民放テレビCM動向:2014年4月分)

2014/05/13 11:30

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新年度となり生活環境もライフサイクルも大きく変化した人も多いであろう4月。また新歓コンパや歓迎会などのイベントがスケジュール表を埋め尽くし、さらにはゴールデンウィークに突入することもあり、旅行などの行事に心ときめかせる季節でもある。それら生活状況の変化の中にある人々のハートをガッツリとつかむべく、テレビCM(コマーシャル)も多種多様な商品・サービスのアピールが展開されている。映像音声検索技術「AVマーカー」などの各種自社技術を活用して得たテレビCMのメタデータを提供するゼータ・ブリッジは2014年5月12日付で、そのテレビCMにおける、2014年4月度分の関東民放5放送局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)のオンエアランキングを公開した。今回はそのデータをざっとではあるが確認し、テレビCM動向を推し量ることにする(【ゼータ・ブリッジ公式サイト】)。


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花王のトップは変わらず、興和も躍進、久々にDeNAが上位入り


データの取得場所、各種データの語彙、今件記事が関東地域のみを対象としている状況の解説は、記事集約ページ【定期更新記事:関東民放テレビCM動向(ゼータ・ブリッジ)】で行っている。詳細はそちらのページで確認のこと。

発表資料では「出演者ランキング」をはじめ、複数項目の観点で集計されたランキングが公開されている。詳細はそのリリースそのものを参照してほしいが、まずは「企業別オンエアランキング(放送回数順位)」を確認する。上位10位を抽出し、当サイト側でグラフとして生成したのが次の図。

↑ 企業別放送回数ランキング(2014年4月、上位10位)
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年4月、上位10位)

前回月に続き今回も花王が他社を大きく引き離してトップについている。同社はトイレタリー商品を多数展開し、また新商品に知名度を高めるべく、積極的にテレビCMを展開している。春は冒頭にある通りライフスタイルが大きく変化する時期でもあり(就職、進学、引越しなど)、その切り替え時に日用生活品で覚えをめでたくされれば、お得意様として長きにわたり使い続けてもらえる可能性が高い。要はリピーター確保のためには絶好の機会という次第。

花王と似たようなポジションにある興和(コーワ)は第2位で前回の第7位から大いに躍進。花王同様の理由によるところで、またテレビCMには積極性を持つ企業でもある。一方で食品メーカーとして知名度が高いものの、あまりテレビCM上位陣には顔を出さなかったミツカンが、第7位に登場している。同社の【テレビCMライブラリ】で確認すると、同社商品を使ったイベント的な場面での料理の紹介を多数登場させ、生活にアクセントを添える一品としての提案を行っているのが分かる。

珍しいところでは携帯電話向けのサービスメーカーとしてディー・エヌ・エーが久々に上位入りしている。これは複数の大型タイトルを同時投入したことによるもので、一度ならずとも見聞きした人も多いはずだ。


↑ やや挑発気味なキャッチコピーが印象的な「クロスホライズン」。:CROSS HORIZON(クロスホライズン)PV

他方携帯電事業者だが、KDDIは相変わらずとして、ソフトバンクモバイルは第14位(前回3位)、NTTドコモは圏外(前回12位)とやや引け腰。年度切り替え時のラッシュを終え、一息ついたというところか。

これら上位10位の企業のCM出稿量について、各放送先のテレビ局ごとに細分化した上で再構築したのが次のグラフ。

↑ 企業別放送回数ランキング(2014年4月、上位10位)(局別)
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年4月、上位10位)(局別)

出稿数全体が多い花王や興和だが、テレビ局毎の回数の偏りはいつも通り。花王は日本テレビとフジテレビ、興和はテレビ朝日が群を抜いている。他社も多かれ少なかれ似たような偏在傾向は見られるが、これほど極端な動きを示すのも珍しい。他方、日本コカ・コーラのように、どの局にも分け隔てなくCMを展開している企業もあり、企業ごとの紹介商品の特性や、会社の広報における姿勢が垣間見れて興味深い。

10位以内の企業に限って放送回数を累算すると、今回月はテレビ朝日とフジテレビがほぼ同数でトップ、ほんの少し値を落として日本テレビが続き、TBSテレビ、テレビ東京が続く。テレビCMの出稿量の際が、直近における各テレビ局の勢いを見せてくれるようでもある。

初見な商品やサービスがごろごろ……な商品別


企業別の区切りではなく、個別商品のCM別に算出したランキングは次の通りとなる。企業別ランキング以上に、興味深い動きが見受けられる。

↑ 商品別オンエアランキング(放送回数、2014年4月)
↑ 商品別オンエアランキング(放送回数、2014年4月)

KDDIの「CHANNEL au」は相変わらずの大量投入だが、上記で触れたディー・エヌ・エーもそれに追いつかんばかりの勢いでまとまった量のCMを展開しているのが分かる。また、ライジングジャパンの「ライジン」や、ハウスウェルネスフーズの「SAMURIDE ENERGY DRINK」のような、エナジードリンクが相次ぎ上位入りしているのが目に留まる。日本のエナジードリンク市場も一挙に活性化、見方を変えれば種類の多様化が生じてきたため、知名度を上げて「他のではない、当社の一本を」を推し進める必要性が強まってきたのだろう。

気になるものを2つほど。まずはGunosyの「グノシー」。色々と話題を呼んだニュースアプリだが、短時間で読めるスタイルの情報を提供していることを前面に押し立てた内容となっている。


↑ グノシーのCM。短時間で読めることを抽象化している。:グノシー ウルトラマンCM 「面接編」

もう一つはアメーバのアメーバブログ。複数の切り口でブログの便宜性をアピールし、ブログで自己表現しましょうという内容。ソーシャルメディア全盛の中で、広義ではソーシャルメディアの一因ではあるが、むしろ老舗の区分に含まれるブログをこの時期に……と一瞬疑問符を頭に浮かべてしまうが、これがアメーバ10周年を記念してのものであることが分かると、なるほど感がある。


↑ アメーバブログのテレビCM。かえって新鮮。:【Ameba10周年】アメーバブログ 市川海老蔵 『すごく嬉しいです篇』

操作をスマホ経由で行っており、ブログもメインはスマホからという現状を再認識させてくれるCMでもある。



今回商品別ランキングで2本もランクインしたエナジードリンクだが、それぞれ印象的なCMを展開しており、是非とも紹介したいところではあった。しかし両社とも公式でYouTubeなどの共有可能な形での提供はしておらず、残念ながら文言のみでの解説となった次第である。昨今ではネットに直接関係のない企業もYouTubeなどに公式チャネルを設け、積極的にテレビCMや独自の紹介映像を掲載し、口コミ効果を推し量っている。この動きがさらに進むよう願いたいところだ。

次回計測月となる5月では、ゴールデンウィークの後半が入り、また梅雨に向けた湿気対策などの商品アピールが積極化するものと考えられる。一方で携帯電話事業者においては、先に伝えている通り、TCAなどによる契約者数動向が月次から四半期へと変更され、その理由の一つとして「過度の競争を避ける」という名文が呈されている。この動きがテレビCMにまで波及するのか否か、気になるところだ。4月の時点では(昨年も似たように年度明けは年度末の反動でやや大人しくなるため)それほど大きな変化は見られないようだが……。


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