先行きDI値大幅上昇で50回復、現状DIは大幅下落へ…2014年4月景気ウォッチャー調査は現状下落・先行き上昇

2014/05/12 20:00

内閣府は2014年5月12日付で、2014年4月時点の景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によると現状判断DIは先月から転じて2か月ぶりに減少し41.6となり、水準値50を下回る状態となった。先行き判断DIは先月から転じて5か月ぶりに上昇し50.3となり、水準値の50を上回る状態になった。結果として、現状下落・先行き上昇の傾向を示している。基調判断は先月から変わり「景気は、緩やかな回復基調が続いているが、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる。先行きについては、緩やかに回復していくと見込まれる」と詳細な表記が確認できる(【平成26年4月調査(平成26年5月12日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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消費税率改定で大きく揺れ動く指数


調査要件や文中のDI値の意味に関しては、今調査の解説記事一覧【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。そちらを一読されることをお勧めする。

2014年4月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比マイナス16.3ポイントの41.6。
 →2か月ぶりの下落。「良くなっている」「やや良くなっている」が大幅に減り、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が大きく増加している。
 →家計は消費税率改定前の駆け込み需要の反動から低下、企業はやはり駆け込み需要の反動を受けて受注生産に一服感があり低下、雇用は求人増勢に一服感が確認されて低下。

・先行き判断DIは先月比で15.6ポイントプラスの50.3。
 →消費税率改定前の駆け込み需要の反動、マインド低下の影響が薄れていくとの期待から、全部門で上昇。

今回月は消費税率改定後、初の計測月となったため、現状と先行きで非常に際立った違いが出ているのが印象的。現状のマイナス16.3ポイントマイナスも、先行きの15.6ポイントのプラスも、滅多に見られるレベルの増減率ではない。また意外にも、税率改定初月においてすでに、先行き指数が大きくプラスに転じており、景況感の回復期待・思惑が早々に強いレベルで生じていることが認識できる。

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

小売の現状判断DIが30ポイント近い下落


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向を簡単ではあるがチェックする。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年4月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年4月)

上記でも触れたが今回月は消費税率改定後はじめての月。直前までの駆け込み需要の反動に加え、改定直後における消費マインドの低下を受けて、特に小売部門の下落が著しい。30ポイントにも届こうかというマイナス28.8ポイントもの下げは、先の震災やリーマンショック直後でも経験したことがない。これが全体の足を大きく引っ張る形となり、全体値をマイナス16.3ポイントも引き下げることとなった。

一方意外なのは飲食関連で、このような状況下でもわずか0.7ポイントの下げに留まっている。洋食系ファストフードの不調は続くが、ファミレスなどが堅調なのを受けての動きだろうか。金額が大きい住宅も下げ、再び基準値の50を割っているが、元々駆け込み需要の多くは3月より前に発生していたため、3月の反動で云々というものはほとんど見られない。

景気の先行き判断DIは現状とは逆に、早期の景況感回復を期待する動きが見える。現状が思いっきり引っ張られたゴムならば、先行きはそのゴムから手を離したような状態である。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年4月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年4月)

全項目がマイナスだった現状と相反し、先行きでは全項目がプラス。現状でもっとも酷い下げ方をした小売りは、先行きではもっとも頼もしい上げ方をしている。この上昇のおかけで、小売単独でも50を超えることとなったのはウレシイ話。また、複数の項目で2ケタ台の上昇を示しているのも印象的。雇用関連も前月は基準値の50を割り込んでややヒヤヒヤさせるものがあったが、今回の上昇で50を超え、一安心というところ。

駆け込み需要とその後の不安とそれとは別のプラスの動き


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたり使われた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国レベル、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な「家計(現状・全国)」「家計(先行き・全国)」の事例を抽出したのが次の文章。

■現状
・客の受注状況が改善しているほか、消費税増税前の駆け込み需要の好影響も続いている。パソコンの基本ソフトのサポート終了による需要も継続している(通信会社)。
・消費税増税による駆け込み需要で、先月は前年比160-170%に伸びた。4月は前年同月比で約8割であり、駆け込み需要の影響が反映された結果となっている。ただし、潜在的需要はまだあるので、後半6-7月以降になれば持ち直すのではないかと考えている(乗用車販売店)。
・消費税増税前の駆け込みによる来店はほとんどなかったこともあり、4月以降もその反動はない。来客数は、ほぼ前年並みの動きで推移している(高級レストラン)。
・消費税増税後、来客数が減少し、4月下旬になっても前年同月を下回っている。あと1-2か月間経過しないと客数は増加しないと考えている(スーパー)。
・消費税増税の全体的な影響は想定の範囲内ではあるが、来店客数や客単価は減少しており、大型テナントほど厳しい状況で推移している(百貨店)。
・消費税増税前には、来客数と売上は前年の150%で推移していたが、増税後の4月は来客数が前年の70%、売上が80%になっている(家電量販店)。
・消費税増税の影響で、特に買いだめの反動を受けた化粧品が苦戦している。店舗合計の前年同月比では▲6%と予測の範囲内である。店舗改装による集客やイベント誘致で落ち幅を縮小できている(百貨店)。

■先行き
・消費税増税前のまとめ買いによる家庭内在庫も2、3か月先には無くなるころなので、徐々に回復してくる(スーパー)。
・賃金のベースアップや株価の下支えなど、前回の消費税増税時よりも条件が良い。今月もその影響からか、増税の影響は少なくて済んでいる。夏には店側の仕掛けにもよるが、消費は回復しそうな気配がある(百貨店)。
・消費税増税前の駆け込み需要の反動減が思ったほどなく、ボーナス商戦を迎える7月ごろから上向きになる可能性もある(家電量販店)。
・消費税増税の影響は当社では少なく、レストラン部門は前年並み又はやや上昇している。その他部門においても前年比を上回っており、大幅に状況が変わる要因は見当たらない(都市型ホテル)。
・消費税増税前の駆け込み需要の反動減が予想より厳しい。2-3か月で回復する基調にはみえない(乗用車販売店)。

上記でも言及の通り今回月は消費税率改定初月にあたるため、現状と先行きで対照的なコメントが多く目立つ。また先月までの数か月間、特に先行きコメントで見られた通り、景況感の落ち込みは案外早く回復するのではないかという期待、さらにはその期待を裏付ける状況がいくつか確認できる。

前回の消費税率引き上げを経験した人達からは「前とは違う」との言及があり、なるほど感を覚えることもできる。特に消費財系の回復感は早さは「ここまで早いか?」と逆に驚くほど。もっとも実店舗の動向を注意深く見聞きする限りでは、確かにゴールデンウィーク前後には、4月に入った直後の閑散とした状況からは脱している雰囲気を多数の場所で覚えたのも事実である。



消費税率改定直後で
現状は真っ逆さま、
先行きは登り龍。
相反する極端なマインドが
心境的な混乱を反映。
景況感の回復は
前回消費税率改定よりも
早いとする感想・実感が
多数に及んでいる。
本文中でも触れたが今回月の数字動向は、先の震災や以前のリーマンショックによる大きな変動をも超える勢いのもので、マインド的なゆさぶりがいかに大きかったかが分かる。もっともそれが単に下落するだけでなく、急上昇までのワンセットとなっているあたりが興味深い。

次月分となる2014年5月分は、ゴールデンウィークを含み、税率改定から2か月目の月となる。今回分で期待されている景況感回復の兆しが早くも体現化されるのなら、現状指数にもその傾向が見えてくるはずだ。大きく動いた両数値がどのように変化を見せるのか、ここしばらくは景気ウォッチャー調査の結果から目が離せない。


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