今後50年間で「物質転送技術が可能に」と思う米成人は4割

2014/05/01 08:10

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アメリカの大手調査機関【Pew Research Center】は2014年4月17日、技術革新と人々の生活に関する調査結果を発表した。それによれば同国成人においては、「科学技術の革新は人々の生活をより良いものにしてくれる」と考えている人はほぼ6割居ることが分かった。逆に悪化させると懸念する人は3割に留まっている。また具体的な技術として今後半世紀のうちに物質転送技術の開発に成功すると考えている人は、全体の4割近くに登っている(【発表リリース:U.S. Views of Technology and the Future】)。


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今調査は2014年2月13日から18日にかけて、アメリカ合衆国内に住む18歳以上の人に対し電話による口頭インタビュー形式(英語とスペイン語)で行われている。電話番号はRDD方式によって、固定電話500件・携帯電話501件(うち固定電話非保有263件)が選択されている。調査結果には2012年の国勢調査の結果によってウェイトバックが実施されている。

科学技術の進歩は人々の生活を確実に変化させていく。自動車が無ければ個人ベースでの移動や物資の流通は今ほどスマートには行かないだろうし、医療や衛生関連の技術が停滞していれば多くの人が病に倒れ、平均寿命は今よりずっと短かったはず。そしてインターネットの技術が無ければ今のような情報化社会は恐らく無かったことだろう。無論、技術の進歩は人々にマイナスの効用をももたらし得ることは忘れてはならない。

これらの状況を踏まえ、一般論として科学技術の革新は人々の生活を良くしてくれるものか、それとも悪化させるものか、二択で聞いた結果が次のグラフ。全体では約6割がポジティブ、3割がネガティブ、そして回答留保などその他の意見が1割という結果になった。

↑ 技術革新は人々の生活を良くしてくれるか悪化させるか(米、2014年2月)
↑ 技術革新は人々の生活を良くしてくれるか悪化させるか(米、2014年2月)

男女別では男性の方がやや科学技術の進歩には好意的、世代別ではほとんど変化が無く、学歴別・年収別では高学歴・高年収の方が好意的な意見を示している。科学への姿勢がそのまま表れている感はある。科学における可能性が実現化することで、新しい、より改善した社会が望める、あるいは逆にそれを果たすためにこそ科学技術の進歩への歩みは進められている。その科学の実情・本質を周知しているからこそ、肯定的な意見が多くなるのだろう。

一方、具体的な話として、現時点では夢まぼろし、あるいは開発途上にある、可能性を求めた試行錯誤が繰り広げられている技術をいくつか挙げ、それが今後半世紀のうちに実現するか否かを、個人の感想として尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 今後半世紀の間に実現すると思うか(米、2014年2月)
↑ 今後半世紀の間に実現すると思うか(米、2014年2月)

5つの選択肢の中では、一番実現性が高いと思われている技術は「移植用の臓器培養」で81%。日本でもいくつかの関連細胞の技術開発が成され、時々その実験成果が報じられていることからも分かる通り、今選択肢の中では一番手が届きそうな感はある。この回答率の高さも納得がいく。

次いで多いのは「人間同様のコンピューターによる創作活動」。音楽や絵画、漫画など、芸術方面の創造をコンピューターに行わせようというもの。人間同様の思考ロジックを持つコンピューター(などの思考形態を有する人工創生物)はSFにもよく登場する話ではあり、これを目指す形でAIの類も開発が進められているものの、先はまだ長い。

物質転送技術、宇宙空間での植民地、そして天候の自由操作など、いずれもSFや漫画などでは良く登場する技術だが、今後半世紀のうちに開発が可能と考えている人はそれなりに存在している。特に物質転送技術の可能性について、4割近くが肯定的なのは、ある意味驚かされる。

とはいえ、科学技術の類は概して、夢を持ち、その夢を現実のものとしようと努力を重ねるところから始まる。これらの設問で「YES」と答えた人の誰かがその返答を体現化するため、その開発の先頭に立ち、歩みを進めるかもしれない。荒唐無稽な妄想で他人に迷惑をかけるものでは無いのなら、夢は大いに持ち続けるべきだといえよう。


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