岩手県・宮城県で処理終了、被災三県進行状況も災害廃棄物97%・津波堆積物92%に…震災がれき処理動向(2014年3月31日時点)

2014/04/26 14:00

2011年3月に発生した東日本大地震・震災により被災三県(岩手県・宮城県・福島県)内では特に大きな被害を受け、災害廃棄物や津波堆積物で構成される、いわゆる「震災がれき」が大量に生じることになった。その震災がれきの処理進捗状況について、当サイトでは復興庁の公開データを基に、月一の間隔で状況把握と分析を行っている。今回は2014年4月25日付で発表された同年3月31日時点の進捗状況に関して、過去のデータも逐次抽出して当サイトで独自算出した指標も合わせグラフを生成し、分析を行うことにする。

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震災がれきは2802万トン、そのうち未処理分は136万トンにまで減少


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)など、今記事内で用いられる各種がれきに関する専門的用語の意味などは、関連記事の一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)にまとめて解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

最初に確認するのは、がれきなどにおける「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物などは災害発生現場から直接処理場に運ばれて処理されるのではない。まず最初に仮の置き場に搬送され、その仮置き場から色々な方法で処分(焼却、埋め立て、再利用など)先へと運ばれ、処分が行われる。直接現場から処理現場に運ぶ方が手間がかからないように見えるが、それをしてしまうと処理工程や作業上の混乱が懸念されるからである。要は商品の物流と同じで、量が多いだけにスムーズな作業の流れが求められる。そして現場(大部分は生活の場やその隣接地域)からの「がれき」排除を最優先事項としているのが、理由としては大きなものとなる。全体では2014年3月31日時点で災害廃棄物が98.8%・津波堆積物は96.3%との値が出ている。

↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2014年3月31日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2014年3月31日時点)

がれき処理の作業進行に連れて仮置き場に運ばれたがれきの総量は増加する(仮置き場から各実処理へ移行したものは差し引かない)。一方で処理しなければならないがれきの推定総量の再計測などもあり、今件数字は一方的には上昇するとは限らない。がれき総量が増加すれば、同じ搬入量でも処理率は低下する(母数が増えれば比率は下がる)。

実際、前回記事でのがれき総量は2800万トン、今回月では2802万トンとなり、わずか2万トンではあるが増加している。後述するが被災三県のうち二県で作業が数字上は終了し、この総量増加もピークを超えたものと考えられる。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフで、処分の現状確認を行う。「処分」は多用な手法が用いられる。単純な埋め立て処分だけでなく、焼却、再生燃料化、素材として売却処分、リサイクルなどが主な選択肢として挙げられる。今グラフ内の「未処理」とは、被災現場に残された状態だけでなく、「仮置場」に搬入されている状態のものも含まれる。「仮置場」に移しただけでは言葉通り仮に置かれただけであり、「処分」にはならない。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年3月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年3月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年3月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年3月31日時点)(万トン)

上記にある通り全体で仮置き場への集約率は災害廃棄物は98.8%・津波堆積物は96.3%までと、双方とも9割5分以上にまで進んでいる。しかしその先の行程の結果となる処理・処分済みの状況では、そこまでは達していない。特に津波堆積物の遅れが目立つ。この遅れの理由として「震災がれき」の処理は内容が複雑で量も多く、処理に時間がかかるという実態が挙げられる。何しろそのがれき自身がどのような物質から構成されているか、それすらも分からない場合が多いのだから(特に津波の被害地域では、その場に存在していた建物によるがれき「のみ」とは限らない。他から流れてきた漂着物の場合も多々ある)。

震災がれきの処理には内容物の選り分けをはじめ、莫大な処理行程が必要となる。個々の被災県内の処理だけでは、能力的・物理的に短時間での作業進行は不可能。迅速な処理には被災地外の処理ラインを併用することが求められている。しかしこの「被災地外での処理」に関して、御承知の通り、これまで数多くの非科学的・感情的・煽動的・妄想的な理由による障害・妨害が続けられている。

がれきの処理は物理的な面はもちろんだが、地域住民の心理的な観点においてもまた、復興への足掛かりとなる。廃棄物はその存在自身が被災者の記憶を沸き返させ、復興が遅延している状況を再認識させ、周囲の人々の心を傷つける。可及的速やかな処理が強く、強く望まれる。

津波堆積物処理も9割突破…全体的な処理の推移


復興庁では同庁公式サイト上で2011年12月時点分以降、災害廃棄物などの搬送動向情報をほぼ一か月のペースで公開している。その公開資料上で、処理・処分動向が公開されたのは2012年2月14日分、一方で津波堆積物は2012年7月31日分以降。

それらの公開値を逐次取得し、処理状況の推移を示したのが次のグラフ。一番右、今回精査している最新値の2014年3月31日時点は、震災から約3年における値。それでもなお100%に達していない。震災の規模の大きさと共に、3年もの間、分散処理がさまざまな妨害活動によって妨げられた事実が再確認でき、憤りを改めて覚えさせられる。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2014年3月31日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2014年3月31日)

災害廃棄物の処理は2012年の年末、津波堆積物は2013年の春先から処理が加速しているのが、グラフのカーブの度合いから把握できる。「福島県における国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外された」ことも一因だが、むしろ主要因は政情変移に伴う処理への姿勢・対応の変化によるものと考えた方が筋道が通る。

また災害廃棄物では2013年半ばから、津波堆積物でも2013年末から、上昇カーブがやや緩やかになりつつある。これは処理が終盤に迫るに連れて、困難な場所での作業を手掛ける事例が増えたことによるもの。見方を変えれば処理の最終段階に入った証でもある。

なお今回月までの値を基に単純計算をすると(震災直後の混乱期、処理の決定がなされるまでの処理不可能状況を半年と試算し、それ以降2014年3月31日までの時点で約31か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するまでにあと約0.8か月、津波堆積物はあと約2.8か月ほどかかることになる。ただし、実質的に処理が唯一未達の福島県における作業は、他二県と比べると難儀することは容易に想像され、実際進捗もその予想通りであることから、例えば来月に災害廃棄物の処理が完全に終わることは無いものと考えられる。あくまでも数字の上での予想値でしかない。

全体進捗率は95.1%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握するため、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方(つまり「震災がれき」全体)の処理済み・未処理トン数、さらには総推定重量に対する処理進捗状況を公開値をベースに当サイト側で独自に算出し、その値を元にグラフを生成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年3月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年3月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年3月31日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年3月31日時点)(対全体進捗比率)

ベタ塗り部分が処理済、ぼかし塗りが未処理(現場に置かれたままのもの、仮置き場に移されたものを合わせた値)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できる。現時点では震災がれきの処理は95.1%まで進んでいる。

今グラフのうち、特に万トン数の積み上げグラフから見るに、今なお136万トンもの震災がれきが処理されず、その姿のままで仮置き場や現場に残されている。引越しに使われることもある大型の4トントラックなら34.0万台分、戦艦大和(満載時、7.11万トン)ならば約19隻分と表現できる。

なお先月の記事などで言及したように、岩手県・宮城県では今年3月末までに「災害廃棄物」の処理を終える目標を掲げていた。今件データで確認できる限りでは、両県は実際に「災害廃棄物」だけでなく「津波堆積物」まで処理を終えており、実質的にこの両県は(公開値の限りでは)震災がれきの処理が終了したことになる。一方、福島県では国の直轄対処地域もあり、さらに公開値の範囲で見ても状況はあまり思わしくない。特に津波堆積物は現状を把握しきれていないようで、毎月のように総量が増えている。

二県の処理終了がなされたことは喜ぶべきだが、それですべてが終わったわけでは無い。むしろそこからスタートとなり、復興、回復、そして発展への歩みが待っている。それらを果たすための各種事業においても、極力いわれなきハードルが取り除かれるよう、心から願いたいものだ。

なお今回、被災三県のうち二県で震災がれきの処理が終了したのを確認できたことを受け、一連の記事の更新スタイルの変更を実施する。次回分、2014年4月30日付分・同年5月中更新分の新規記事をベースとし、それ以降は逐次更新・上書き型へと変更を行う。福島県のみの動向変化となるため、言及内容に変化がさほど生じないのが主な理由。記録を残すとの視点で考えればあまり好まれない方法だが、現状の検索事情からは選択せざるを得ない。あらかじめご了承願いたい。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)
【「がれきの撤去」はまだ半ば…被災三県がボランティアに望むこととは】(2011年11月)

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