それでも読まれる紙の新聞、50代以降はニュース系メディアで最多利用(2016年)(最新)

2016/09/11 05:04

速報性や拡散性、画像や音声、動画などのマルチメディア性、蓄積と検索、リンクによる過去データの検証の容易さなど、インターネットはニュースを配信するのにプラスとなる特徴を多数有している。これを受けて法人の新聞社やポータルサイト、当サイトのような個人にいたるまで、多種多様な立ち位置から、インターネット上にニュース・情報が提供されている。紙媒体としての新聞と、これらインターネット上のニュース系情報サイトは、どのような利用状況にあるのだろうか。総務省が2016年8月31日に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、その実情を探ることにする(【発表リリース掲載ページ:研究成果-調査研究報告書】)。

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紙の新聞以外ではポータル提供のニュースが一番


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。

今件では新聞やニュースサイトなど、ニュースを読んでいるテキスト系媒体系の利用状況を尋ねている。紙媒体の新聞以外に新聞社が提供する有料サイト、同無料サイト、ポータルサイトが提供しているニュース配信サービス、ソーシャルメディアが提供しているニュース配信サービス、さらにはキュレーションサービス、そしてそれらのいずれの方法でも読んでいないの選択肢を提示し、複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。

↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(2015年)(複数回答)
↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(2015年)(複数回答)

全体では紙媒体の新聞の利用率がもっとも高く61.8%。次いでポータルサイト提供のニュース配信サービス、ソーシャルメディア提供のニュース配信サービスが続く。新聞各社が積極展開している新しいビジネスモデルこと、有料サイトは利用率が3.2%に留まっている。

世代別に見ると、紙媒体の新聞利用率が歳を重ねるに連れて上昇していくのは、他の多数の調査結果からも容易に想像ができた通り。60代では10人に9人近くが新聞を読んでいる。同時にインターネット経由のニュース利用が漸減しており、歳と共に「インターネットから紙へ」が進んでいる状況が分かる。

また、有料無料を問わず、新聞社自身が提供するウェブ上のニュースよりも、それらを集約したポータルサイト提供のニュースの方が需要が大きく、多数の人が利用している実情は皮肉な話。他サービスと一緒にまとめて利用できることや、多種多様なニュースの集約で幅広い情報を一括して確認できるメリットが好かれているのだろう。特定の出版社の発行本のみを集めた本屋より、多種多様な出版社発刊の本を集めたごく普通の本屋の方が需要が大きいのと同じではある。

一方、ソーシャルメディアでも付加価値施策の一環として展開を始めている、ポータルサイトと同様のニュース配信サービスの利用者は20代がピークで、それでも約2割。ソーシャルメディアを利用している人の数の割合にほぼ比例する動きだが、ポータル提供ほどの値では無い。ソーシャルメディアを利用する場合は、他人との交流がメインで、ニュースを読むためにわざわざアクセスする、あるいは目を通すパターンは少数派のようだ。

昨今では各種メディアが公式アカウントを取得し、ソーシャルメディア上でニュースのダイジェストと記事ページへの誘導を書きこむ事例が増えている。この手法は今調査の解答用紙では「新聞社自身がTwitterなどで提供するものは『新聞社提供の無料サイト』に該当」との説明がされていることから、それを加算した上でも利用者はさほど多くない実情を見るに、そのような形でのニュース取得者もまた、少数派のようである。

昨今では多様な意味で注目を集めているキュレーションサービスだが、こちらは全体で8.1%と少なめ。ただし20代から40代までの若年層でいくぶん利用率が高く、特に10代から30代では新聞社提供の無料サイトと肩を並べるほど、とりわけ20代では追い越すほどの利用率を示している。

同様の調査は前年も行われている。そこで前年比を算出したのが次のグラフ。

↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(2015年)(複数回答)(前年比)
↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(2015年)(複数回答)(前年比)

10代ではダイナミックなまでに、20代以上もそれなりの数でソーシャルメディア提供のニュース配信サービスの利用率が増加している。これはLINE NEWSなどのサービス提供によるところが大きい。他方、20代はやや凹んでいるが、それ以外の層では大よそポータルサイト提供のニュース配信サービスの利用も増加しており、単独のニュース配信元よりも、集約型の配信サービスを活用する事例が増えていることがうかがえる。その点ではキュレーションサービスの伸びも同じ理由だと考えられる。

また、「いずれも読まず」の値が大よそ減っているのも目に留まる。ニュース取得の手段が増えたことで、ニュースそのものへの興味関心が増した、閲読者が増えているようだ。その観点では、60代の動向(ほとんど増加せず、「いずれも読まず」の増加)はややイレギュラーな感は強い。シニアのニュー離れ、とでも呼ぶべきか。

どれをもっとも使っているか


これら新聞・ニュースサイトのうち、どれを一番使っているかを聞いた結果が次のグラフ。

↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(2015年)
↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(2015年)

全体では4割強が紙の新聞、次いで1/3強がポータルサイト提供のニュース配信サービス。選択肢内ではいずれも使っていないとの回答が1割強。これが主な状況。

世代別動向では30代をピークにポータル提供のニュースが活用され、それ以降は減少。50代以降は紙の新聞をもっともよく利用している人が増え、60代では実に8割近くが紙の新聞を一番使っていると答えている。同世代のニュース取得媒体としての紙新聞の利用率は上記グラフの通り87.7%なので、60代は「紙媒体の新聞を利用している人が9割近くで、その大多数は『ニュース取得は紙媒体の新聞が一番』と考えている」ことになる。

また複数回答で競っていた40代までにおけるキュレーションサービスと新聞社提供の無料サイトだが、最多利用率ではキュレーションサービスの方が概して優勢。ポータルサイト提供のニュース配信サービス同様に、つまみ食い的、ダイジェスト的なニュース取得スタイルをメインとしていると見れば良いのだろう。

前年比の算出結果は次の通り。

↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(2015年)(前年比)
↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(2015年)(前年比)

紙の新聞離れが全年齢階層で生じており、特に中堅層で顕著ではある。一番値の大きい40代では実に1割超え。その分、ポータルサイト提供のニュース配信サービスやソーシャルメディア提供のニュース配信サービス、キュレーションサービスが増えているが、これは同年齢階層のスマートフォン利用率が大きく伸びたのが一因となっている。

また、若年層ではソーシャルメディア提供のニュース配信サービス、中堅層以降になるとポータルサイト提供のニュース配信サービスの増加が増えるのも興味深い話。ソーシャルメディアへの傾注度の違いが、そのままニュース取得手段にも反映されているのだろう。



新聞社自身のニュースサイトは有料版がほとんど使われず、無料サイトも利用率は想像以上に低い。やはりまとめて一度に確認ができるポータル系サイトのサービスの便宜性に、多くの人が魅力を覚えているようだ。また紙媒体の新聞との利用度合いも合わせ、ニュース取得元の世代間格差が40代から50代を境に発生しているのも目に留まる。

一時期は次世代を担うサービスとして注目されたキュレーションサービスは伸びが今一つで、むしろポータルサイトやソーシャルメディア提供のサービスへの集中が目立つ。海外はともあれ日本では、その運用・配信スタイル、そして品質に少なからぬ疑問が呈されたのが原因かもしれない。


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