それでも読まれる紙の新聞、50代以降はニュース系テキストメディアで最多利用(最新)

2018/09/12 04:55

2018-0904速報性や拡散性、画像や音声、動画などのマルチメディア性、蓄積と検索、リンクによる過去データの検証の容易さなど、インターネットはニュースを配信するのにプラスとなる特徴を多数有している。これを受けて法人の新聞社やポータルサイト、当サイトのような個人にいたるまで、多様な立ち位置から、インターネット上にニュース・情報が提供されている。紙媒体としての新聞と、これらインターネット上のニュース系情報サイトは、どのような利用状況にあるのだろうか。総務省が2018年7月27日に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、その実情を探ることにする(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。

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ポータルサイト提供のニュースが一番


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。

今件では新聞やニュースサイトなど、ニュースを読んでいるテキスト系媒体の利用状況を尋ねている。紙媒体の新聞以外に新聞社が提供する有料サイト(日経電子版など)、同無料サイト(YOMIURI ONLINEなど)、ポータルサイトが提供しているニュース配信サービス(Yahoo!ニュースなど)、ソーシャルメディアが提供しているニュース配信サービス(LINE NEWSなど)、さらにはキュレーションサービス(スマートニュースなど)、そしてそれらのいずれの方法でも読んでいないの選択肢を提示し、複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。

↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(複数回答、年齢階層別)(2017年)
↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(複数回答、年齢階層別)(2017年)

全体ではポータルサイト提供のニュース配信サービスの利用率がもっとも高く62.3%、次いで紙媒体の新聞が53.8%。紙媒体の新聞がトップに付かなかったのは、今調査では2016年分に続いて2年連続。さらにソーシャルメディア提供のニュース配信サービスが続く。新聞各社が積極展開している新しいビジネスモデルこと、有料サイトは利用率が3.2%に留まっている。

年齢階層別に見ると、紙媒体の新聞利用率が歳を重ねるに連れて上昇していくのは、他の多数の調査結果からも容易に想像ができた通り。60代では10人に9人近くが新聞を読んでいる。同時にインターネット経由のニュース利用が漸減しており、年齢とともに「インターネットから紙へ」が進んでいる状況が分かる。ただしピークは媒体によって異なり、例えばポータルサイト提供のニュース配信サービスでは40代が、ソーシャルメディア提供のニュース配信サービスでは20代がピークとなっている。新聞社提供の無料サイトはどの年齢階層でもさほど違いは無いが、最高値をつけているのは50代。

有料無料を問わず、新聞社自身が提供するウェブ上のニュースよりも、それらを集約したポータルサイト提供のニュースやソーシャルメディア提供のニュース配信サービスの方が需要が大きく、多数の人が利用している実情は皮肉な話。他サービスと一緒にまとめて利用できることや、多様なニュースの集約で幅広い情報を一括して確認できるメリットが好かれているのだろう。特定の出版社の発行本のみを集めた本屋より、様々な出版社発刊の本を集めたごく普通の本屋の方が需要が大きいのと同じではある。

一方、ソーシャルメディアでも付加価値施策の一環として展開を始めている、ポータルサイトと同様のニュース配信サービスの利用者は20代がピークで、約5割。年齢階層別の動きはソーシャルメディアを利用している人の数の割合にほぼ連動している。ポータルサイト提供のニュースでも一部行われているが、ソーシャルメディアを利用するのと同じ感覚で読めるよう、ダイジェストでの提供が多いため、他人との交流をするかのように目を通している人も多分にいるのだろう。要は知人とのやりとりも、ニュース媒体経由からの情報取得も、同じ情報の斜め読み的な感覚で接しているものと考えられる。

昨今では各種メディアが公式アカウントを取得し、ソーシャルメディア上でニュースのダイジェストと記事ページへの誘導を書きこむ事例が増えている。この手法は今調査の解答用紙では「新聞社自身がTwitterなどで提供するものは『新聞社提供の無料サイト』に該当」との説明がされていることから、それを加算した上でも利用者はさほど多くない実情を見るに、そのような形でのニュース取得者もまた、少数派のようである。

多様な意味で注目を集めているキュレーションサービスだが、こちらは全体で9.7%と少なめ。ただし若年層でいくぶん利用率が高く、20代・30代では新聞社提供の無料サイトを超えるほどの利用率を示している。

同様の調査は前年も行われている。そこで前年比を算出したのが次のグラフ。

↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(複数回答、前年比、年齢階層別、ppt)(2017年)
↑ ニュースを読んでいるテキスト系媒体(複数回答、前年比、年齢階層別、ppt)(2017年)

特段傾向だった動きは見出し難い。あえて言えば40代以降でソーシャルメディア提供のニュース配信サービスが増えている、紙の新聞は50代までは大よそ減っている、新聞社提供の無料サイトはわずかだが全年齢階層で増加の動きがある、ぐらいだろうか。

全体的には紙の新聞と「いずれも読まず」が減り、他の媒体は増えている。デジタルなテキスト系媒体へのシフトが生じていると解釈するべきか。

どれをもっとも使っているか


これら新聞・ニュースサイトのうち、どれを一番使っているかを聞いた結果が次のグラフ。

↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(2017年)
↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(2017年)

全体では1/3強が紙の新聞、次いでほぼ同率で1/3強がポータルサイト提供のニュース配信サービス、ソーシャルメディア提供のニュース配信サービスが1割強、選択肢内ではいずれも使っていないとの回答が1割近く。これが主な状況。

年齢階層別動向では10代ではポータルサイト提供のニュース配信サービスとソーシャルメディア提供のニュース配信サービスがほぼ同率で合わせて6割強。20代以降はポータルサイト提供のニュース配信サービスのウェイトが高まり、ソーシャルメディア提供のニュース配信サービスは減少していく。20代から40代まではポータルサイト提供のニュース配信サービスが最大値を示すが、歳とともに紙の新聞の値が増加し、50代では過半数を得て最大値となる。

トップの媒体のみを挙げると、10代から40代はポータルサイト提供のニュース配信サービス、50代以降は紙の新聞となる。キュレーションサービスや新聞社の有料・無料サイトは「もっとも利用している」の選択としてはほとんどゼロ、誤差範囲でしかない。

前年比の算出結果は次の通り。

↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(複数回答、前年比、ppt)(2017年)
↑ もっとも利用しているニュース・テキスト系媒体(複数回答、前年比、ppt)(2017年)

際立って傾向だった動きは見出し難い。あえて言えば、50代までで紙の新聞離れが進んでいるが60代では逆に距離を縮めている、30代以外の層ではポータルサイト提供のニュース配信サービスの値が増えている、ぐらいだろうか。



新聞社自身のニュースサイトは有料版がほとんど使われず、無料サイトも利用率は想像以上に低い。やはりまとめて一度に確認ができるポータルサイトのサービス、そして常用しているソーシャルメディアが提供するニュース配信サービスの利便性に、多くの人が魅力を覚えているようだ。

一時期は次世代を担うサービスとして注目されたキュレーションサービスは伸びが今一つで、むしろポータルサイトやソーシャルメディア提供のサービスへの集中が目立つ。海外はともあれ日本では、その運用・配信スタイル、そして品質に少なからぬ疑問が呈されたのが原因かもしれない。


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