60代で進むスマホシフト…モバイル端末利用率動向(最新)
2020/10/12 05:22


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全年齢階層で従来型携帯電話よりスマートフォンが上
調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。
次に示すグラフは年齢階層別の従来型携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末の利用率。所有率ではないので、所有権の有無は考慮外(10代では特に利用していても自分の所有物ではない可能性がある)。

↑ スマートフォン・従来型携帯電話・タブレット型端末利用率(年齢階層別)(2019年)
例えば20代ではスマートフォンと従来型携帯電話の回答値の合計が100%を超え109.9%となることから、双方の端末を同時に利用している人が少なからずいることが分かる。利用スタイルとして使い分けているか、あるいは単に移行の過程にあるかは人それぞれだが、双方項目の年齢階層別の回答率を見るに、従来型携帯電話からスマートフォンへの移行が若年層から少しずつ起きていることが推定できる。
全体ではスマートフォンと従来型携帯電話の差異は72.8%ポイントの差が出ているが、10代から40代まではそれを上回る差でスマートフォンの方が上。また50〜60代ではまだ4人に1人ほどが従来型携帯電話を利用しているが、40代までは2割にも届かない。
スマートフォンの利用率は30代がピークで、それ以降は年が上になるに連れて漸減。従来型携帯電話は10代が最小値で、それ以降は年齢とともに値は増加していく。現時点では60代までのすべての年齢階層でスマートフォンの方が上。
他方タブレット型端末だが、30代がピークを示しているが、値そのものは携帯電話ほど年齢階層別の差異が出ていない。これは先行記事などで触れているが、個人所有の事例がさほどなく、世帯別での所有機として家族皆で使う事例が多々あり、年齢階層別の利用率の差が出にくいことが要因と考えられる。また全体値で従来型携帯電話の値を超えているのも、注目に値する。
1年間の変化をたどる
スマートフォンの急速な浸透ぶり、タブレット型端末の確実な普及の進展は他の調査でも多数の事例で確認できるが、今調査でもそれを裏付ける結果が出ている。次に示すグラフは、今件調査の前回年版、つまり2018年の状況の結果を確認し、今回の2019年分と比較して1年間でどこまで変わったかを算出したもの。例えば全体のスマートフォンの値はプラス4.1%ポイントとあるので、全体においては前年から4.1%ポイントもスマートフォンの利用率が増加したことになる。

↑ スマートフォン・従来型携帯電話・タブレット型端末利用率(前年比、年齢階層別、ppt)(2019年)
60代で大幅なスマートフォンの増加、従来型携帯電話の減少が確認できる。1年間にこれだけ大きな利用率の変動が生じたことになるのは大きな注目点に違いない。60代では確実に従来型携帯電話からスマートフォンへの利用のシフトが生じているものと考えられる。
また20-30代でタブレット型端末の増加が生じているのは注目に値する。全体ではプラス1.6%ポイントの伸びに留まっているが、スマートフォンほどではないものの、まだまだ伸びしろは大きいように見える。
従来型携帯電話よりもスマートフォンの利用率が極めて高い若年層と、まだ従来型携帯電話がそれなりに利用されている高齢層という構造の、携帯電話の利用状況。家庭共用スタイルが多く年齢階層間格差があまり出ないタブレット型端末。若年層ではすでに飽和状態に近づき、中年層にシフトし、高齢層に影響がおよび始めたスマートフォン化の波。携帯電話関連、モバイル系の他調査でかいま見られた動向が、ずばりそのまま明確化した形で現れる結果が出ている。
特に従来型携帯電話からスマートフォンへのシフト動向は貴重なデータで、今後スマートフォンの普及状況がどのような変化を見せるのかを推し量ることができる。今件の結果の限りでは、全年齢階層でスマートフォンの利用率が従来型携帯電話を超えている。とはいえ、60代では未だに1/4以上が従来型携帯電話を利用している。
高齢層の利用スタイルを想像すれば、何か技術上の劇的な変化がない限り、スマートフォンの利用率上昇そのものは継続するが、今後も従来型携帯電話の利用率が高止まりするのは容易に想像できよう。あるいはLINEのように、利用のためにはスマートフォンが事実上必要不可欠となるサービスが、高齢者のスマートフォンの利用率向上を後押しするのだろうか。
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