テレビは高齢者、インターネットは若年層…主要メディアの利用時間(最新)

2023/11/02 02:42

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2023-1025総務省は2023年6月23日に情報通信政策研究所の調査結果として「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を発表した。今回はその内容から、主要メディア、具体的にはテレビ(リアルタイム)・テレビ(録画番組の再生)、インターネット、新聞、ラジオの5種類に関する利用時間の現状を精査することにする。普段からよく見聞きしている「若者のテレビ離れ」「高齢者はインターネットが苦手」の実情を、利用時間から確認する次第である(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。

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10代と60代ではテレビのリアルタイムの視聴時間が4.44倍も違う


今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳-69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13-19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。

次に示すのは調査対象母集団および各年齢階層における、主要5メディア(テレビは視聴スタイル別だが)の1日あたりの平均利用時間。例えば10代のテレビ(リアルタイム)は46.0分と出ているので、テレビを観ていない人も合わせ10代は平日にテレビを平均3/4時間ほど観ている計算になる。またインターネットは回線をつないでいる時間ではなく、実際に利用行動をした時間。他方利用端末はパソコンに限らず、スマートフォンや従来型携帯電話、タブレット型端末、さらにはインターネット接続ができるテレビによる関連サービスの利用も含まれる。

なお「ながら行動」についてだが回答用紙の限りでは「連続して10分以上行った場合は該当」とのみ読み取れ、重複行動はそれぞれ行動したと記録する様式となっている。例えばテレビを観ながら新聞を読む時間帯があった場合、テレビと新聞それぞれに加算されることになる。

↑ 主要メディアの平均利用時間(平日、1日あたり、分)(2022年)
↑ 主要メディアの平均利用時間(平日、1日あたり、分)(2022年)

全体平均ではテレビのリアルタイム視聴が約136分、録画視聴が18分ほど、合わせて2時間半ほど。インターネットが175分ほど、新聞やラジオはそれぞれ10分足らずとなる。メディア関連の調査の常の通り、年齢階層別で大きな差異が生じているのはグラフの形状を見れば一目瞭然。また全体値でもテレビ(リアルタイム)よりもインターネットの時間の方が長いのは印象的ではある。

「若者のテレビ離れ」のフレーズの通り、テレビ視聴時間は概して若年層ほど短く、高齢層になるほど長くなる。特に60代は長めで、1日平均244.2分。4時間以上もテレビを観ている。一方インターネットは20代の利用時間が一番長く4時間半ぐらい。以後利用時間は減る傾向で、60代になると2時間足らずにとどまってしまう。

新聞の購読者、ラジオの聴取者の減少はよく知られるところではあるが、10代では双方とも平日の1日平均で1分も消費されていない。20代も同じようなもので、50代でようやくラジオは10分を超える程度。60代で新聞は17.7分、ラジオは1日16.7分の時間が費やされることになる。

興味深いのはテレビの録画放送の視聴時間。年齢階層別による差異があまり見られない。少しずつ高齢層の方が長くなる傾向が見られる程度。スマートテレビ、HDDプレイヤーの普及によりテレビ番組の録画再生が容易となり、年齢階層を超えて利用されている雰囲気ではある。

テレビ離れとネットへの密着化


続いて前回調査、つまり2021年時点での状況を確認し、今回発表分となる2022年分との差を算出したのが次のグラフ。

↑ 主要メディアの平均利用時間(平日、1日あたり、前年比、分)(2022年)
↑ 主要メディアの平均利用時間(平日、1日あたり、前年比、分)(2022年)

数分ほどの変化はぶれ、誤差の範囲だと考えると、10代と50代、60代でテレビ(リアルタイム)の減少、20代と50代でインターネットの減少、30代でインターネットの増加が主な動き。全体ではテレビ(録画)がわずかに増えただけで後は減少しているが、誤差を超えているのはテレビ(リアルタイム)のマイナス10.5分のみ。

2022年は前年比で大きな減少を示したテレビ(リアルタイム)だが、過去10年間の動きを確認すると、ところどころでイレギュラーな動きがあるものの、おおよそ50代までで減少の傾向が生じているように見える。

↑ 主要メディアの平均利用時間(平日、1日あたり、テレビ(リアルタイム)、分)
↑ 主要メディアの平均利用時間(平日、1日あたり、テレビ(リアルタイム)、分)

減少度合いに関しては、10-30代は急激、40代は緩やかと読める。また2020年で多くの年齢階層において前年比での延びが生じているのは、新型コロナウイルスの流行で在宅時間が増えたからかもしれない。



2022年の時点では10-40代でインターネットの利用時間がテレビ(リアルタイム)を抜いている。つまり「40代以下においてはテレビ<インターネットの時代」である。多分にスマートフォンの普及によるところが大きく、この傾向は今後も続くものと考えられる(今件は各年齢階層の平均値であり、該当メディアを利用していない=利用時間ゼロの人も含めているため、普及率が高いほど平均値も底上げされる)。

スマートフォンの普及がさらに進めば、将来は50代以上においてもテレビの利用時間をインターネットが抜くようになるかもしれない。


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