「LINEの次にGoogle+が高利用率」総務省の調査結果を検証する

2014/04/18 09:45

総務省は2014年4月15日、情報通信政策研究所の調査結果として、「平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の速報データなどを発表した。詳細は逐次精査分析していくが、今回は先行する形で、気になるデータの検証を行うことにする。具体的には今調査結果において、ソーシャルメディアの利用状況として、LINEに続きGoogle+の利用率が高いとの結果が出ているという点である(【発表リリース:「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(速報)の公表】)。

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Google+が最多利用のソーシャルメディア!?


今調査は2013年11月30日から12月8日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。

ランダムロケーションクォーターサンプリングでは、世代別抽出の割合はかなり現実に即したものとなる。今調査でも調査対象母集団の世代別構成比と、同年齢階層の人口比(直近の国勢調査の結果を基に算出した該当世代全体に占める世代別構成比。10代は13歳以上でカウント)にはほとんど差異が出ていない。全体数で各調査項目の値を算出した際に「回答しやすい高齢者が多いから数字が偏る」という仮説は成り立たない。

↑ 回答者数(世代別)
↑ 回答者数(世代別)

↑ 回答者の世代比率
↑ 回答者の世代比率

さて、今調査ではソーシャルメディアとしてLINE、Google+(今回年から)、Facebook、Twitter(ツイッター)、mixi、Mobage、GREEを提示し、これらを使っているかを尋ねている。そしてそれらの使用状況などから、ソーシャルメディア全体の利用状況を勘案している。次のグラフはその比率で、個々ソーシャルメディアの利用率は「全体比」を示している。例えばLINEは44.0%とあるので、調査対象母集団全体の44.0%がLINEを使っていることになる。ソーシャルメディア利用者(全体の57.1%)のうちの44.0%、つまり全体比では57.1%×44.0%=25.1%という意味ではない。

↑ ソーシャルメディア利用者率(世代別)
↑ ソーシャルメディア利用者率(世代別)

↑ ソーシャルメディアの利用率(サービス毎・全体)
↑ ソーシャルメディアの利用率(サービス毎・全体)

20代が最多利用でそれ以降は歳を重ねるにつれて利用率が落ちる、LINEがもっとも使われていて、FacebookやTwitterなどが堅調、mixiはそれらに続くポジションにある、などは他調査と変わらない。今回問題としているのは、Google+(プラス)の値である。

Google+の利用者率は今調査の限りでは27.3%。Facebookを抜き、LINEに次いで第2位。LINEは厳密にはソーシャルメディアでは無くコミュニケーションツールである実態を考えれば、Google+がFacebook、Twitterなどを抜いて日本でもっとも使われているソーシャルメディアということになる。

「Google+利用者」の中身を検証する


Google+も含めた日本のソーシャルメディアに関する利用率の調査はこれまでにも複数か所で行われているが(例えば【ツイッター44%、LINE38%…若年層のソーシャルメディア利用動向】【LINEやツイッターが伸び、mixiが落ちる…新成人のソーシャルメディア事情】など)、それらを見てもここまで高利用率を示した、他のソーシャルメディアと比べて抜きんでた結果を見せているものは無い。

↑ 現在利用しているソーシャルメディア(シニアを対象とした調査対象母集団全体比)(複数回答)
↑ 現在利用しているソーシャルメディア(シニアを対象とした調査対象母集団全体比)(複数回答)(【シニアのソーシャルメディア利用、一番人気はFacebook】から再録)

そこでまずは今調査におけるGoogle+の利用者の内情を確認することにした。何かイレギュラーな値があれば、そこに問題点があるかもしれないからだ。各世代別の構成人数、及び利用率は公開されているので、それを基に世代別Google+利用者数を算出し、そこからGoogle+利用者全体における世代構成比を導き出す。

↑ Google+利用者全体における世代構成比
↑ Google+利用者全体における世代構成比

ソーシャルメディア利用者率と大きな違いは無く、歪みも見られない。特定世代が不自然な値を示しているわけではなさそう。

さらにソーシャルメディア利用者全体に占める、Google+利用者率を算出する。仮に特定世代で大きく値が跳ねるような結果が出れば、その世代で回答時に何らかのトラブルが生じていた可能性がある。

↑ ソーシャルメディア利用者におけるGoogle+利用者率(世代別)
↑ ソーシャルメディア利用者におけるGoogle+利用者率(世代別)

やや振れ幅が大きいものの、特定世代の異常値は見かけられない。「ソーシャルメディアを使っている」と回答した人の半数前後はGoogle+を利用していることになる。数字そのものには問題はなさそうだ。

歳を取るほど「一番使っているソーシャルメディアはGoogle+」…!?


そこで見方を変えて、世代別の各ソーシャルメディア利用率をグラフ化する。個々の世代全体数に対し、それぞれのソーシャルメディアを何%の人が使っているかを示したものだ。

↑ ソーシャルメディアの利用率(世代別、全体比)
↑ ソーシャルメディアの利用率(世代別、全体比)

Google+の利用者率が若年層で高く、高齢層で落ちるのは上記グラフの通りだが、同世代の他のソーシャルメディア利用率との比較では奇妙な動きが確認できる。若年層ほど「他のソーシャルメディアと比べて」低めに留まり、歳を経るに連れて高くなる。単純な順位でも、20代では4位に留まっているが、30代では3位、40代・50代では2位、そして60代ではトップの利用ソーシャルメディアとなる。Google+が汎用的検索エンジンGoogleの連動的なサービスとはいえ、これは少々説明がつきにくい動きではある。

そこで報告書をもう一度見返すことにした。今件は速報の段階で、現状では調査結果の概要しか公開されていない。しかし前年、2013年にはほぼ同じ様式で「平成24年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」が実施・結果発表がなされており、こちらは詳細報告書の他、アンケート調査票なども確認できる。そこで、該当項目を調べることにした。

今速報に記述の通り、Google+は今回調査から加わったもので、前回は未掲載となっている。しかしどこの項目で行われたかは容易に確認が可能。今速報では前年調査との比較も随所で行われており、それを参考にできるからだ。具体的には「問3」に該当する項目で、この問いから今件「ソーシャルメディアの利用状況」を計測したと考えられるのだが……

↑ 2012年分における該当箇所と考えられる質問様式
↑ 2012年分における該当箇所と考えられる質問様式

「ソーシャルメディア」という文言は無い。「ソーシャルメディア」と表記することで何らかの偏見を覚えてしまう可能性を危惧したからなのか、単に「ウェブサイト/アプリ」とのみ表記し、ソーシャルメディア(とその類)が一覧に挙げられ、利用しているか否かを質問している。次の問いである「問4」でようやく、「あなたはふだん、Twitter、Facebook、ミクシィなどのソーシャルメディアで以下のようなことをどのくらいの頻度でしていますか」と表記し、上記サービスがソーシャルメディアらしいことをうかがわせている。もっともその前の「問2」ではパソコンやスマホの利用スタイルそのものを尋ねており、「問3」がソーシャルメディアについて尋ねているという連想は(事前知識が無ければ)しにくい。

また、前年と今年で値の比較をするため、設問の様式を大きく変更するとも考えにくいことから、今年の調査票では「問3」において、選択肢に「Google+(グーグルプラス)」を加えただけであろうことは容易に想像が出来る。

そして、検索エンジンとしての「Google」は多くの人が知るところではあるが、ソーシャルメディアの「Google+(グーグルプラス)」は必ずしもそうとは言い切れない。ソーシャルメディアと明言されていない設問で、他のサービスと並んで「Google+(グーグルプラス)」が並べられ、使っているか否かを問われた場合、「Google+(グーグルプラス)」そのものを詳しく知らない人はどのような判断を示すだろうか。

素直に、設問者の意図通り「聞いたことが無いから」として「利用していない」を選ぶだろうか。「Googleなら毎日検索に使っているヨ」として誤回答してしまわないだろうか。または「Google+というのは、Googleの何か付加価値的なものだろうか。Googleを使っているのだから、使っているも同然だな」と、「Google+」という表記そのものを認識しつつも、中身を把握せずに答えていることはないだろうか。さらにはGoogleの他サービスにおいてアカウント取得・ログインをした上で利用するサービスを用いていて、それを使っていれば「Google+、利用中」と勘違いしていないだろうか。

それらの誤認回答の可能性は十分に考えられる。どの世代にも一定数の誤回答者が存在し、それがGoogle+の利用回答数を底上げしているとすれば、本当に使っている人が多い若年層世代ほど高い値を示しつつ、他のソーシャルメディアと比べて歳を経た上での下落率が低い(一定数が底上げされているのだから)のも納得がいく。

↑ 推論に基づいたGoogle+利用層(イメージ)
↑ 推論に基づいたGoogle+利用層(イメージ)



現時点では2013年分の調査票が未公開のため(前年通りなら7月頃公開予定)、確定はできないものの、「検索サービスのGoogleと、ソーシャルメディアのGoogle+を勘違いして回答した人がどの世代にも一定数おり、それが全体のGoogle+利用率を底上げする形となった」と推論づけられる。仮にその推論が正しいとすれば、今調査のGoogle+関連の値は、多分にぶれが生じていると見なさなければならない。もちろんGoogle+がそれなりに高い利用率を示していることに違いはないだろうが、今件素データのようにFacebookを超えた値であることは考えにくい。

ではどうすればこのようなトラブルが防ぎ得たのか。設問の前に各サービスの概要を説明として加える、例えば今件Google+なら「Google+とはGoogleが提供しているソーシャルメディアです」、これを選択肢分だけ追加すれば良い。さらに問いの文面を「以下にいくつかのウェブサイト/アプリのリストがあげられています」では無く、「以下にいくつかのソーシャルメディアなどのサービスを提供するウェブサイト/アプリのリストがあげられています」とし、列挙されるサービスがソーシャルメディアかその類であることを回答者に認識させる配慮が必要となる。

FacebookやTwitter、mixiなどは単独のソーシャルメディアサービスとして展開しているが、Google+はGoogleというメジャーな検索サービスと深い連動性を持ったソーシャルメディアで、名前も非常によく似ている。今件推論が正しいとすれば、Googleそのものがあまりにもメジャーすぎるが故のトラブルではあるが、その可能性に配慮した設問を願いたいものである。


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