新社会人への「つうこんのいちげき」となる言葉とは!?(最新)

2023/04/23 02:41

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2023-0421ソニー生命保険は2023年4月20日、新社会人に対する意識調査結果を発表した。それによればこの春就職する(した)、または就職してから1年が経過した人で構成される調査対象母集団に「先輩社会人から言われたらやる気が奪われてしまう」と認識されているセリフの最上位には「この仕事向いてないんじゃない?」がついた。26.7%の人が同意を示している。次いで「もういいよ、別の人にお願いする」「私が若いころは●●だったのに」が続いている(【発表リリース:社会人1年目と2年目の意識調査2023】)。

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今調査は2023年2月21日から2月24日にかけて、「今春就職する社会人1年生」「就職してから1年経過した社会人2年生」(いずれも20代)に対してインターネット調査形式で行われたもので、有効回答数はそれぞれ500人。男女比はそれぞれ1対1。調査協力会社はネットエイジア。

企業などに就職すれば、大抵において先輩・上司とともに就業時間を過ごすことになる。学生時代にそれなりの訓練、事前学習をしていたとしても、社会人として勤めてからはじめて知ったこと、慣れないことも多く、あらゆることに手間取り、ミスをしてしまうことも少なくない。また教わった事柄を一度で完全に習得・体得できるはずもなく、同じ間違いを繰り返すかもしれない。むしろそのような失敗も含めた経験を経て、企業が求める人材として成長していくもの。

しかしそのような場面において、先輩達からキツイお小言を受けることも当然ある。それらお小言的な言い回しの中でも、理不尽な内容、または理解はしていても「そんな言い方はないだろう」とばかりに、モチベーションを削られる、やる気を奪われてしまう、ある意味「魔法の呪文」的な言い回しは多数存在する。そのようなダークな力を秘めていると思われる言葉を列挙し、「自分ならばこんなセリフを先輩社会人にかけられたら、やる気が奪われてしまう」と思うものを3つまで挙げてもらった結果が次のグラフ。ほぼ同じ条件で行われた過去の調査の結果を併記している(順位は2023年の回答値の高い順。空欄の部分はその年では回答値が公開されていない)。

↑ 先輩社会人に言われたら、やる気が奪われてしまうセリフは(複数回答で3つまで、上位陣)
↑ 先輩社会人に言われたら、やる気が奪われてしまうセリフは(複数回答で3つまで、上位陣)

最上位、つまりもっとも多くの人が「これを先輩社会人から言われたらへこむ」と同意を示したのは「この仕事向いてないんじゃない?」。26.7%と1/4超の値を示している。仕事の成果がうまく出せない、作業でもたつく、さらにはミスをしてしまった時に、このような言葉をかけられると、追い打ちを受けた気分になり、やる気を失ってしまうというもの。たとえ声をかけた先輩側が深い考えを持っていない、さらには「奮闘すべく発破をかけた」と自覚し好意の上で意図的にやったのだとしても、その通りに新社会人が認識することは多くない。仕事に関しては絶対的権威と経験を持つ人からのセリフであるからこそ、なおさら心の痛手は大きい。

レッテル貼り自分個人にではなく、属する世代全体にレッテルを貼る形で酷評する「私が若いころは●●だったのに」のようなセリフも、モチベーションを下げやすい。自分自身の具体的な問題点の指摘ならまだしも、所属属性全体で云々と酷評されてしまっては、反論のしようもないからだ。さらには「自分を個人としてではなく、世代・属性全体の一部としてしかとらえてない」と、個人の否定としてすら認識してしまうかもしれない。

2020年で初めて上位入りした「もういいよ、別の人にお願いする」は2023年では第2位にまで順位が上がっている。語った側は単に他の人に仕事を割り振り直しただけかもしれないが、言われた当人にとってショックは大きい。自分の存在意義を否定され、サポートする価値すらないと思われたと受け取ってしまうからだ。

価値観の相違を先輩側の絶対真理として押し付けるような、いわば理不尽な指導的言い回し「やる気ある?」「そんなことは常識でしょ」も新社会人のやる気を削ぎやすい。新社会人側の人格そのもの、少なくとも仕事面における本人自身を否定するような、自らの誠意や努力そのものを無下にするニュアンスにとらえてしまう。

「前にも言ったと思うんだけど?」「言っている意味分かってる?」は、たとえ本当に指摘された通りの状況だったとしても、反復学習・経験の中でノウハウや知識を習得する立場にある新社会人にとっては、理不尽な指摘には違いない。ましてやそれが先輩社会人の勘違いや記憶違いによるものだとしたら、理不尽さは天すら貫くものとなる(先輩社会人側としても、指導力不足によるミス(相手となる新社会人側が自分と同じ経験と知識を得ていると錯覚してしまう)をしている可能性もあるのだが)。そもそも人は、一度や二度の言葉ですべてを把握し、理解し、自分のものにすることは困難である。

直近年分につき、男女別に見たのが次のグラフ。多くの項目で女性の方が高い値を示している。

↑ 先輩社会人に言われたら、やる気が奪われてしまうセリフは(複数回答で3つまで、上位陣、男女別)(2023年)
↑ 先輩社会人に言われたら、やる気が奪われてしまうセリフは(複数回答で3つまで、上位陣、男女別)(2023年)

回答数は3つまでだが下位層の動向が非公開なため、女性の方が単に気にしているセリフが多いのか、それとも上位陣に集中しているのかは分からないが、女性の方が先輩社会人からの言葉に傷つきやすい、理不尽さを覚える場合が多いようではある。

「そんなことは常識でしょ」「学生気分が抜けてないんじゃない?」「言い訳はするな!」は男性の方が高い値。そもそも論として、女性は男性と比べてこれらの言い回しを使われる機会が少ないのかもしれない。逆に「前にも言ったと思うんだけど?」「女/男だからしょうがないね」は圧倒的に女性の方が言われる機会は多いのだろう。



これらの言葉は得てしてケースバイケースで、(一部を除けば)一律で否定するのも問題。とはいえ、その多くは新社会人に理解、そして納得してもらい知識や経験として会得して欲しいとの思いから発せられる「叱り」ではなく、単なる「怒り」あるいは「嘲笑」的な意味合いが強い。さらには先輩社会人側における自分の優越感を充足する意味を(無意識のうちに)含んでいるかもしれない。それらは決して指導ではなく、単なる先輩らの憂さ晴らし的なものとなってしまい、新社会人には何らプラスとならないどころかマイナスの影響すら与えてしまう。

なかなか上手くいかずに、なぜこうなるのか、それを理解した上で行程を覚えて失敗しないようにしたい実務に関して、先輩社会人から「そんなことは常識でしょ」などと指導されたら、どのような思いを抱くだろうか。夢を抱いて就業したのに「この仕事向いていないんじゃない?」と吐き捨てられたら、いかなる感情が沸き上がるのか。

先輩社会人諸氏は、くれぐれも配慮をしてほしいものである。


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