「携帯の学校への持ち込み禁止」「携帯はまだ早い」保護者が望む小中学生への携帯規制(最新)

2018/04/16 05:18

このエントリーをはてなブックマークに追加
多様な機能を有し、無限と評しても過言では無い可能性を秘めた携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)だが、同時に十分な啓蒙をしないと、さらには啓蒙をした上でも使い方次第では大きなトラブルに巻き込まれる危険性がある。また子供達がその魅力に取りつかれ、睡眠不足や注力の散漫化、成績の低下など日常生活へ大きなマイナスの影響を及ぼす可能性は否定できない。大人の中には子供達に対し、せめて高校生になるまでは携帯電話を学校に持ち込んではいけない、さらには持たせることも禁止すべきであるとの意見を持つ人も少なくない。今回は内閣府が2018年3月30日付で確定報を発表した、【平成29年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果】を元に、「小中高校生を子供に持つ保護者に関する、小中学生の携帯電話への規制に対する賛否」の現状などを確認していくことにする。


スポンサードリンク


今調査に関する調査要項は先行記事の【小中高校生のネット機器利用状況】を参照のこと。

今件項目は小中高校生を子供に持つ保護者を対象にした調査。大人全員への調査では無いことに注意をする必要がある。その調査対象母集団に対し、「小中学生は学校に携帯電話(従来型携帯電話やスマートフォン)を持ち込むことを禁止」「小中学生へは携帯電話を持たせない」との意見について、同意するか否か(同意の場合のみ回答。非回答者は単に同意していないだけで、否定か意見留保かは今設問からは判断不能)を尋ねた結果が次のグラフ。

なお「小中学生へは携帯電話を持たせない」は設問では「各家庭で小中学生には携帯電話を持たせないようにする」とのみ記述されている。これが小中学生に携帯電話を所有させない(保護者から借り受けて利用すること、利用においては保護者の監視下とすることは問題無しとする)を意味するのか、それとも利用すら許可しないのか(保護者からの借り受けによる利用すら認めない)のかは解釈が分かれるところではある。しかし小中学生のお財布事情を考えれば、事実上は後者を意味すると解釈してよいだろう。

↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(2017年、一部、保護者回答、複数回答)
↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(2017年、一部、保護者回答、複数回答)

全体では「持ち込み禁止」は28.4%、「持たせない」は16.3%が同意を示している。寛容と見るか厳しいと見るかは人それぞれだが、少なくとも7割強は、小中学校への携帯電話の持ち込みについて「否定的では無い」ことになる(肯定か意見留保かは別の話)。

子供の学校種類別では設問で該当する年齢の子供を持つ保護者の意見はほぼ同率だが、高校生の保護者になると「持ち込み禁止」に同意する意見は大きく減る。自分の子供が大きくなり、実際に携帯電話(特にスマートフォン)を持たせた結果、過剰な心配は要らないだろうとの判断の上での回答結果なのかもしれない。あるいは単なる「のど元過ぎれば熱さを忘れ」の可能性はあるが。

経年データを基に生成したのが次のグラフだが、「持ち込み禁止」「保有禁止」ともに昔ほど規制を求める声が強く、最近になるに連れて規制には賛同できない人が増えていた。

↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(一部、保護者回答、複数回答)
↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(一部、保護者回答、複数回答)

2009年時点では4割強が「持ち込み禁止」、1/4以上が「保有禁止」に賛同していたが、2014年ではそれぞれ3割足らず、1/6程度にまで減少した。理由について報告書には何の説明も無いが、周囲環境の変化(実使用者の増加、啓蒙の強化など)に加え、保護者自身も携帯電話を利用している事例が増え、安心感を覚えているのかもしれない(人は概して自分にとって未知なるものを恐れ、他人には薦めない。自分が知っていれば余程のものでない限り、安心だとの錯覚に陥りやすい)。

「持ち込み禁止」は減少率がゆるやかだが、「保有禁止」は確実に減りつつあった。小中学生の携帯電話、特にスマートフォンの所有率が上昇傾向を継続しているのも、保護者側が保有に対して寛容になりつつあるのが一因といえよう。

ところが2015年はこれまでの動きから転じ、持ち込み・保有双方ともに禁止に同意する意見が増加する動きを示した。携帯電話と子供の間に関わる事件や問題が保護者の意識に影響した可能性はある(確認したが2014年と2015年の調査票に違いは無い)。とはいえ2015年以降は再び減少していることから、大勢には変化は無いと見てよいだろう。

なお直近年における回答者の年齢別動向は次の通りとなる。

↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(2017年、一部、保護者回答、複数回答)(保護者父母・年齢階層別)
↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(2017年、一部、保護者回答、複数回答)(保護者父母・年齢階層別)

総数では母親の方が大よそ厳しい。また父母ともに大よそ年が上になるほど厳しい結果が出ている。母親で40代がもっとも厳しいのは、実際に自分の子供が該当する年齢の場合が多いからかもしれない。

ともあれ、子供の携帯電話の利用スタイルに関して、父母別、さらにはその年齢によって姿勢に違いが見られるのは興味深い話ではある。


■関連記事:
【スマホユーザーがどれだけスマホに傾注しているか】
【「インターネットが無いと生きていけない」米成人の46%が実感】
【女子高生の7割は「スマホの無い生活なんて考えられない」】
【「歩きスマホ」規制賛成2割・反対3割、規制されても続ける人3割強】
【子供にスマホを持たせる時の条件、最上位は「課金サイトの利用禁止」】


スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS