砂糖をはじめ各種上昇、乳製品のみ下落へ(2014年3月分世界食糧指数動向)

2014/04/10 15:30

消費税率の改定タイミングに合わせ、さらには新年度に突入することもあり、昨今の資源価格の値上がりや為替変動に適切な対応をすべく、食品価格の実質的な(本体価格の)値上がりを多々見受けるようになった。常日頃スーパーなどで手にしている食材の価格に変化が生じ、違和感を覚えた人も少なくあるまい。各種要素の中でも大きな影響を与えているのが、原材料の国際価格の上昇。この価格変動について、国連食糧農業機関(FAO、Food and Agriculture Organization)が公式サイトで発表している【世界食料価格指数(FFPI:FAO Food Price Index)】を通じ、その現状や過去からの動きなどを知ることが出来る。今回は2014年4月3日に発表された最新版の値、2014年3月分を中心に、当サイトで独自に複数の指標を算出。その値を用いてグラフを生成し、食糧価格の世界規模における推移を精査していくことにする。

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乳製品以外は前月からアップへ、砂糖の上げ幅が大きい


今記事中にあるデータの取得元、各種用語については、一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】にある。必要な場合はそちらで確認してほしい。

最新データを含めた収録データを基に、まずは1990年以降の推移を一望できる折れ線グラフを生成する。前世紀終盤以降の中長期的な食料価格の変移をざっとではあるが確認できる。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2014年3月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2014年3月)

砂糖は価格変動性が高い食料品。投機をテーマとした作品でも良く登場するので、その類の話で知っている人も多いはず(小豆ほどではないが)。その実態がグラフ上にも良く表れている。それ以外は概して大人しい動きが、少なくとも2005年までは続いていた。

ところが2005年終盤以降になると、砂糖だけでなく他の食品も少しずつ上昇しはじるめる。その後金融危機のきっかけとなる「サブプライムローンショック」(2007年夏-)が起きると、急激な上昇を示すようになる。砂糖だけでなく他の食品も、砂糖と同じような振れ幅で上昇を示している。

これは株式市場が暴落し、そこから逃げ出した投資資金の流入先として商品先物を多数の投資家が選び、その結果としてさらなる投機的な市場動向に陥ったのが原因。市場規模は商品先物市場の方が小さいため、当然、市場の反応は劇的なものとなる(多少オーバーな例えになるが、年に2回の某エンタメ系イベント用の会場が使えなくなり、地方の公民館が代替場所としてあてられたようなものだ)。

その後は急激な上昇を懸念する投資家心理の影響を受けた反動による急降下、「リーマンショック」(2008年9月以降)による乱高下を経て、現在の高値安定状態に移行している。多少のぶれはあるものの、各食品項目は200前後の値を推移しており、基準値、かつ今世紀初頭までは水準値でもあった100からは倍増していることが分かる。

次にグラフ生成開始時期を最古データの1990年から大きく現代に向けて近づけ、食糧市場にも大きな影響を与えている金融危機が勃発した2007年とし、対象期間が短いグラフを生成する。金融危機以降の価格動向をより詳しく確認することができる。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2014年3月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2014年3月)

2010年初頭からジェットコースターのような値の動きが相次いで砂糖指標で起きているが、これは砂糖相場での過熱感と豊作で生じた急落、そして需給状態を受けての再上昇の動き。2011年中旬に約400まで上昇し、そこを天井として、昨今では豊作による供給過多、世界的な景気後退で生じた甘味需要の減少により、値は低下を続けている。

それ以外の食料品の動向を確認すると、穀物や油脂が下落気味、乳製品の上昇などがこの1、2年の間に起きているのが分かる。特に乳製品は国内のチーズやバターといった身近な製品価格の値上がりを間近に体感していることから、この動向に「なるほど感」を覚える人も多いはず。

前月比と前年同月比の動き


最新の値、そして直近1年ほどの動向を確認するため、各指標の元値から「前年同月比」と「前月比」を独自算出(元データでは記載されていない)した上で、その数字の変移が分かりやすいように生成したのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2014年3月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2014年3月)

総合指数は前月比でプラス2.3%と先月から続いて上昇、前年同月比はマイナス1.0%と先月から続き下落だが下げ幅は縮小。折れ線グラフを見ても分かる通り、この数か月は上昇の気配が感じられる。

個別項目を見ると、前月比では乳製品以外はすべてプラス、前年同月比では乳製品と油脂が大きくプラスで穀物が大きなマイナスを示していることから、「乳製品はここしばらく上昇が続いていたが直近月はやや落ち着きを示している」「油脂は上昇中」「砂糖はここ数か月にプラスへと転じた」「穀物は下落から転じてプラスへと変化を示している」などの動きが見て取れる。特に乳製品はこの2年ほどの間上昇一本やりな状態だったため、今回月の下落は好ましい動きではある。

乳製品に関する解説に目を通すと「中国、そして情勢不安が生じたロシア周辺国による需要の減退、ニュージーランドや北半球の酪農関係国における供給増加への期待が価格下落の原因。特に中国からの粉ミルクの購入減退が大きな影響を与えている」と記述されている。実態数、先行きの思惑も合わせ、中国の影響が少なからぬものであることを再確認させられる。

農林水産省のレポートで現状を確認


今記事で毎月精査している【農林水産省の海外食料需給レポート】の最新版にあたる2014年3月分を確認する。3月31日発表の最新レポートによれば、国際的な穀物需給に関して、小麦・とうもろこし・大麦・米で生産量が増加し、史上最高の量(24.5億トン)となる見込み(前月から項目数は変わらず、量は0.1億トン増加)。消費量も小麦・とうもろこし・大麦・米の全項目で増加し、こちらも史上最高の量となる見込み(24.1億トン、前月と項目、量共に変わらず)が続いている。そして期末在庫量見込みは生産量が消費量を上回るので、上昇する傾向を示している(4億8700万トン、生産量比で20.2%(期末在庫量÷消費予想値で計算))。

今回月はやや在庫率・在庫量が増加した。消費量は増加の一途をたどっているが、予想在庫量が増えたのが原因。ただし備蓄率が年間ベースで2割、つまり2か月分程度でしかない状況は、やはり不安ではある。

今回月は乳製品の値は幾分ながらも落ちたものの、それ以外は押し並べて上昇している。特に穀物価格の上昇が気になる。説明によればアメリカ中南部の干ばつ懸念やブラジルの悪天候、さらにはウクライナ情勢を受けて同地域の輸出穀物のリスク上昇が値上がりの要因となったと説明されている。これらの要因から鑑みるに、しばらくは上昇が続きそうである。


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