新生活と春を間近に携帯、トイレタリー、飲料躍進中(民放テレビCM動向:2014年3月分)

2014/04/09 15:30

テレビCM(コマーシャル)は放映時の季節に合わせて内容が目まぐるしく変わっていく。タイミングが合わなければ高額の出稿料もムダ金になってしまうからだ(正月にクリスマスキャンペーンのCMを流しても、誰も見向きもしないだろう)。見方を変えれば、テレビCMの移り変わりを注視することで、季節の変わり様をうかがい知ることができる。映像音声検索技術「AVマーカー」などの各種自社技術を活用して得たテレビCMのメタデータを提供するゼータ・ブリッジは2014年4月4日付で、その2014年3月度分の関東民放5放送局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)のテレビCMオンエアランキングを公開したが、そのテレビCMの放映回数上位陣などからも、新年度を間近にひかえ、その季節感を大いに表した結果が出ている(【ゼータ・ブリッジ公式サイト】)。

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花王が他社を大きく引き離して首位を維持、携帯勢が躍進


データの取得場所、各種データの語彙、今件記事が関東地域のみを対象としている件の説明は、記事集約ページ【定期更新記事:関東民放テレビCM動向(ゼータ・ブリッジ)】で行っている。詳細はそちらのページで。

発表資料では「出演者ランキング」をはじめとして、複数項目の視線から集計されたランキングが公開されている。詳細はそのリリースそのものを参照してもらうとして、まずは「企業別オンエアランキング(放送回数順位)」を確認しよう。上位10位を抽出し、当サイト側でグラフとして生成したのが次の図。

↑ 企業別放送回数ランキング(2014年3月、上位10位)
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年3月、上位10位)

前回月に続き今回も花王が他社を大きく引き離してトップについている。同社はトイレタリー商品を多数展開し、またそれら新商品の広告を積極的に打ち出して知名度を高める施策を積極的に行っている。春は年度の切り替えで各商品の購入機会が多くなることに加え、そのタイミングで一度調達された商品は繰り返し購入される傾向が強く、新規リピーターを確保する絶好の機会ともなるため、積極的なテレビCMの出稿を行っている。また、この時期に多数の人の頭を悩ませる花粉症対策商品の展開も多い。

花王と似たようなポジションにある興和(コーワ)は第7位。特に花粉症周りの商品展開と、その認知度アップのためのテレビCM出稿が目立つ。花粉症に悩まされている人は少しでも状況の改善を切望しており、何か効果的なアイテムは無いかと日頃からアンテナを張り巡らしているため、目に留まりやすいに違いない。


↑ コーワの鼻炎用カプセルのCM。【直接リンクはこちら:コルゲンコーワ鼻炎ジェルカプセル 滝裕可里  テレビCM 『もう溶け出している』篇】


↑ コーワの三次元マスクCM。幻想的なイメージが目に留まる。【直接リンクはこちら:三次元高密着マスク 英玲奈 テレビCM『シールド』篇】

また3月は【大混戦の年度末商戦、そして月次報告最後の月のトップはSBM(2014年3月末携帯電話契約数)】でも解説している通り、携帯電話事業者にとっては最大の売り時となる。学校の学年が上がる、進学する、就職するなど、ライフスタイルの大きな変化に伴い、携帯電話の買い替えや新規購入需要が大きく膨らむからだ。当然、その需要を見込んだ携帯電話関連企業のCM出稿も多くなる。今回月ではソフトバンクモバイル、KDDIの2社が上位入り。NTTドコモも第12位につけている。

さらに新入生、新社員を迎えて各種歓迎会が開催され、その場における需要が期待できることから、ビール系を中心とした飲料関連の企業の躍進も目立つ。上位10位にはキリンビール、アサヒビール、そして日本コカ・コーラと3社もランクインしている。

これら上位10位の企業のCM出稿量について、各放送先のテレビ局ごとに細分化した上で再構築したのが次のグラフ。

↑ 企業別放送回数ランキング(2014年3月、上位10位)(局別)
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年3月、上位10位)(局別)

群を抜いて出稿数全体が多い花王だが、テレビ局毎の回数の偏りはいつも通り。日本テレビ向けが群を抜き、それからやや落ちるもののフジテレビ宛も多く、他の3社は非常に少数に留まっている。似たような特定局への偏りは他の数社でも確認でき、例えば武田薬品工業は日本テレビ、リクルートは日本テレビとフジテレビ、興和はテレビ朝日に多い。他方、日本コカ・コーラのように、どの局にも分け隔てなくCMを展開している企業もある。

10位以内の企業に限って放送回数を累算すると、今回月は日本テレビが断トツで、フジテレビが続き、テレビ朝日、そしてTBSテレビとテレビ東京がほぼ横並びとなる。出稿量の違いが、各テレビ局の「勢い」をぼんやりとながらも投影しているようにすら見えてくる。

携帯電話だらけな年度末


企業別の区切りではなく、個別商品のCM別に算出したランキングは次の通りとなる。企業別ランキング以上に、今回月の特性が良くあられる結果となっている。何しろ上位10CMのうち4本までもが携帯電話関連なのだから。
↑ 商品別オンエアランキング(放送回数、2014年3月)
↑ 商品別オンエアランキング(放送回数、2014年3月)

携帯電話以外では新年度を迎えることもあり、リクルート社の展開が目立つ。特に同社の各種サービスを包括し、あらゆる面でサポートを行うと共に、特典が付与される「リクルートポイント」のCMが大量に投入されているのが目に留まる。

また新年度を迎える云々とは関係なく、上映告知としての「アナと雪の女王」も上位入りしている。同映画は上映開始以降好調な成績を挙げており、すでに日本国内の観客動員数は100万人を突破するなど、好評さを裏付ける数字が続々と展開されている。


↑ 「アナと雪の女王」予告編。3Dアニメという点でも興味深い。【直接リンクはこちら:「アナと雪の女王」予告編】

CMを見て映画に興味を抱き、劇場に足を運んだ人も少なからずいるのではないだろうか。



上記リンクにもある通り、携帯事業者各社は4月以降、契約者数の純増についてこれまでの月次から四半期毎への公開へと方針を切り替えた。大義名分としてはMNPなどの競争が激化しすぎるのは良くないとの判断によるものだが、それではテレビCMへの出稿に関してはどのような判断が下されるのだろうか。

同じようにテレビの過度の露出は競争を煽るからひかえめに、となるのか、あるいは逆に公表ペースがゆるやかなものとなったから、その分テレビCMでアピールをとの切り口を見せるのか。場合によっては4月以降のテレビCM動向にも大きな変化が生じることになるかもしれない。


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