先行きDI値下落続く、現状DIは上昇へ…2014年3月景気ウォッチャー調査は現状上昇・先行き下落

2014/04/08 20:00

内閣府は2014年4月8日付で、2014年3月時点の景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によると現状判断DIは先月から転じて3か月ぶりに上昇し57.9となり、水準値50を上回る状態を維持した。先行き判断DIは先月から続いて4か月連続して下落し34.7となり、水準値の50を切る状態が続いている。結果として、現状上昇・先行き下落の傾向を示している。基調判断は先月から変わり「景気は、緩やかに回復している。また、消費税率引上げに伴う駆込み需要が強まっている。なお、先行きについては、駆込み需要の反動減等の影響が見込まれる」とやや詳細な表記が確認できる(【発表ページ:平成26年3月調査(平成26年4月8日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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消費税率改定後の消費減退懸念で先行きの下落続く


調査要件や文中のDI値の意味に関しては、今調査の解説記事一覧【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で説明している。詳しくはそちらを参照のこと。

2014年3月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比プラス4.9ポイントの57.9。
 →3か月ぶりの上昇。「良くなっている」「やや良くなっている」が増え、「変わらない」「やや悪くなっている」「悪くなっている」が減少している。
 →家計では自動車以外の幅広い項目で消費税率引き上げ前の駆け込み需要が生じ、上昇。企業は受注・生産増加で上昇。雇用も求人増加で上昇。

・先行き判断DIは先月比で5.3ポイントマイナスの34.7。
 →消費税率引き上げ後の需要の反動、マインド低下への懸念が強く、全部門で低下を示している。
前回月は消費税率改定前の駆け込み需要について、大雪などの天候不順もありやや振るわなかった面があった。しかし今回月では大いに駆け込み需要が発生し、現状DIを引き上げる形となった。一方で税率改定後への懸念は根強く、先行きDIをさらに押し下げている。34.7という値は、リーマンショック後の景気後退のさなか、続く円高やデフレによる資金繰りの悪化などを受けて2009年11月につけた34.5に近しい(震災直後の2011年3月は26.6をつけている)。

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

小売の先行き判断DIが20台にまで下げる


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向を簡単ではあるがチェックしていく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年3月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年3月)

2013年10月までに契約を取り交わしていれば、各種手続きや支払いが2014年4月以降でも、税率改定前の契約内容で処理ができるという特例を受けられたこともあり、その翌月となる2013年11月分では反動を受けて大きく下げた住宅関連。しかしその後は順調な回復を示している。今回月は下げたがそれもわずかな値に留まっている。

今回月は上記にある通り、消費税率改定前最後の月ということに加え、前月が大雪などで消費の活性化にブレーキがかかっていたことも合わせ、特需的な動きが生じ、現状指数は住宅以外で上昇を示すこととなった。特に小売りや飲食、サービスといった、特需に影響を受けやすい項目で上昇ぶりが著しい。他方企業動向ではそれほど規模の大きな影響は受けていない。

景気の先行き判断DIは税率引き上げ後における消費後退の不安を色濃く表してる。直前に迫った状況での問いということもあり、心理的プレッシャーは極めて大きい。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年3月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年3月)

先月に続き今月も全項目がマイナス。最大の下げ幅を記録しているのは非製造業でマイナス7.8ポイント、次いで小売り関係のマイナス7.2ポイント。先月のような10ポイント以上の下げこそないが、小売関連はついに20台へと突入してしまった。リーマンショック直後の2008年12月につけた16.0ほどではないが、小売業関連の懸念が極めて強いことがうかがえる。

駆け込み需要とその後の不安とそれとは別のプラスの動き


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたり使われた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も合わせて公開している。その中から、世間一般で一番身近な「家計(現状・全国)」「家計(先行き・全国)」の事例を抽出したのが次の文章。

■現状
・前月に続き、消費税増税前の駆け込み需要で耐久消費財である家具、家電、敷物の売上が著しく伸びているのに加え、化粧品、紳士婦人高級衣料・雑貨、美術・画廊、貴金属、時計、眼鏡も好調に推移している(百貨店)。
・消費税増税前の駆け込み需要で来店客、販売量共に増えている。特に、冷蔵庫、洗濯機、エアコンが売れている(一般小売店[家電])。
・消費税増税前のまとめ買い需要が一般食品、菓子、酒類、米、し好品、家庭用品、衣料などを中心に大きくなっている(スーパー)。
・消費税増税前の駆け込み需要が想定より大きく、客数は変わらなかったものの、買上点数と1品単価が上昇したため、売上も想定以上に上がっている(スーパー)。
・駆け込み需要による販売台数の増加が落ち着いてきている。消費税増税までに納車が間に合わないとなった段階で来客数も落ち込み始めている(乗用車販売店)。
・当店も他店も売上が変わらないか多少伸びているが、明らかに消費税増税前の駆け込みである。これは景気とは関係ないと判断すると、変わらない(一般小売店[靴・履物])。
・1月の初売りから3月1週目までは例年の繁忙期同様、動きが良かったものの、3週目
以降は動きが止まった状態が続いている(乗用車販売店)。

■先行き
・消費税増税の影響が一服するには、夏ごろまではかかる。夏休みの旅行の問い合わせは増加しているため、夏のボーナスの支給額によっては良くなる可能性もある(旅行代理店)。
・今後、4月以降の需要に関しては、消費税増税がいよいよスタートすることへの警戒感から、乗り控えが起きてくる(タクシー運転手)。
・消費税増税後の不安感はあるが、賃上げが広がったことで消費マインドは多少好転しており、1997年の消費税増税と違い、影響は限定的で2か月ほどだと思っている(スーパー)。
・消費税増税前の駆け込み需要が想定以上であることから、その反動も大きいと想定するが、現況の景況感などから、消費はいったん落ち込んでも緩やかに回復するのではないかと考えている(百貨店)。
・消費税増税前の駆け込み購入でお金を使い過ぎ、外食の回数や使用金額はしばらくは確実に落ちそうである(その他飲食[居酒屋])。
上記でも示した通り今回月は消費税率改定前の最後の月でもあることから、駆け込み需要に関する表記が多い。その一方で、よく読み直してみると、駆け込み需要とは別の需要の漸増に関する言及も少なからず見受けられる。また税率改定後の反動なども、数か月で状況の好転が見込まれる、前回の税率改定時のような状況とは違うとの意見が意外に多いのもやや驚かされる。

上記掲載部分以外で特徴的なコメントをいくつか拾うと、特に雇用関連でポジティブな反応が多い。雇用では税率改定前の特需は起き難いため、ある意味素直な景気動向を推し量れることになることから、この流れは注目に値する。



消費税率改定直前の
特需発生で消費は
大きく伸びる。
それと共に改定後の
需要の冷え込みへの
不安・懸念は強まる。
他方先行きへの懸念では
達観、楽観論も数多い。
税率改定周りの特需とは
関係の無いポジティブな
動きもあり。
2012年末の政情の変化を受け、それまで悪化状態が続いていた政治経済社会状況は好転しつつある。しかしそれまでの数年間に受けた傷跡は極めて大きく、今なおその傷がいやさぬまま、リアルタイムに経済へマイナスの影響を与えている部分も少なくない。

一方で直近の動向としては、4月からの消費税率改定が一番の注目要素となっている。上記グラフにも示した通り、先行き判断の動向はリーマンショック後の不景気な中での円高で生じた2009年11月の34.5に近いところにまで落ち込んでおり、マインドの低下が強く懸念される。先行きコメントの中で多数見受けられた「数か月で状況は改善」「夏までには」との話がどこまで現実のものとなるのか。4月以降は特に各数字の動きに注目したいところだ。


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