吉野家堅調続き、すき家も順調、鍋は強し…牛丼御三家売上:2014年03月分

2014/04/08 11:30

吉野家ホールディングスは2014年4月7日、同社子会社の牛丼チェーン店吉野家における2014年3月の売上高や客単価などの営業成績を公開した。その発表内容によると既存店ベースでの売上高は、前年同月比でプラス15.5%となった。牛丼御三家と呼ばれる主力牛丼企業のうち松屋フーズが運営する牛めし・カレー・定食店「松屋」の同年3月における売上前年同月比はマイナス0.7%、ゼンショーが展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はプラス9.1%との値が発表されている(いずれも前年同月比・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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鍋正式採用効果は継続し、吉野家・すき家を盛り上げる


↑ 牛丼御三家2014年3月営業成績(既存店)(前年同月比)
↑ 牛丼御三家2014年3月営業成績(既存店)(前年同月比)

牛丼御三家の前年同月比における、公開値による客数・客単価・売上高の動向は上記のグラフの通り。まずは吉野家にスポットライトをあてて、状況の確認を行う。昨年同月の記事を基に営業成績を比較すると、一年前の客単価前年同月比はプラス2.6%。今月はそこから転じて4.6%のマイナスを示している。これは前年同月の反動に加え、同社の主力商品である牛丼を2013年4月に値下げしたのが原因。しかし昨今ではこの反動の幅も小さなものとなりつつある(2013年5月には10%以上もの下げ幅を記録した)。単純試算なら今回月でその影響は終わりを告げることになる。実際2013年4月の客単価前年同月比はマイナス2.2%のため、この反動によるプラス影響もあることから、来月以降数字はかさ上げされることだろう。

他方、この値下げで基本メニューの牛丼価格が3社横並びとなり、他2社の「牛丼価格のプレミアム効果」も消失、牛丼市場はさらにカオス化の様相を呈していた。しかし詳しくは後述するが消費税率改定に伴い、3社はそれぞれ別途の方針を打ちだし、結果として4月以降は牛丼価格は3社とも異なる値を示し、現在に至っている。

同社では【これはオドロキ、目の前のコンロで熱して食べる吉野家「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」発売へ】にある通り、鍋をお客の目の前で加熱し続けながら料理を提供する「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」の2品目の展開を2013年12月5日から開始。食し方の面白さや充実感、話題性、そして味の良さも兼ね合わせており、集客効果は絶大なものとなった。牛丼値下げの下げ幅と比べて客単価の下落が小規模に留まっているのは、この鍋膳効果によるところが大きい。

実際吉野家ホールディングスも先日業績予想の上方修正を示しており(【業績予想の修正に関するお知らせ(PDF)】)、その文面にも「売上の増加に関しましては、主に第4四半期における子会社である吉野家の新商品導入効果によるもの」と明記されている。これにより、売上及び利益増加に鍋膳が大きく貢献したことを再確認できる。吉野家の該当期における新商品は鍋膳しかないからだ。

試しに前々年比を算出したが客数はプラス、客単価はマイナスだがほぼ誤差の範囲に留まっている。鍋膳による客数の上昇が「前年同月の低い値によって生じた反動」ではないこと、主力商品の牛丼値下げによる客単価の下落に関する影響は、鍋膳で十分補完出来ている状況が確認できる。

↑ 牛丼御三家2014年3月営業成績(既存店)(前々年同月比)
↑ 牛丼御三家2014年3月営業成績(既存店)(前々年同月比)

続いて松屋。同社は3月においては直前に販売を終了したものの人気が高かったことから急きょ再販を開始した「豆腐キムチチゲセット」(【松屋の「豆腐キムチチゲセット」再販との話】)をはじめ、豚バラ焼肉定食の増量キャンペーン、鶏の甘辛味噌炒め定食の新発売など、積極的な商品展開を進めている。また、【すき焼き鍋膳(松屋)試食】でも報告したが、吉野家・すき家同様に鍋系定食の導入を試験的・一部店舗ではあるが実施していることが分かった。ただし店舗数限定なのに加え、販売時間が夜間に限定されていることもあり、業績に与える影響はごく一部に限られたようだ。

実数値を見ると客単価、客数、売り上げ共に前年同月から誤差の範ちゅうに収まっている。その前年同月では売上は軟調であったことから、状況は思わしくないことが分かる(前々年同月比を見ると、3社間では一番売上高が低迷している。

最後にすき家。新作メニューの展開は特に無く、先月から続き「牛すき鍋定食」などの火がけコンロ提供による鍋メニューが客数の増加と、客単価の引き上げに貢献した模様。特に同社のネックともいえる客数減少に歯止めをかけ、プラスに引き上げた効果は絶大といえる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2014年3月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2014年3月)

松屋・すき家で続いていた客数減少、そしてそれに伴う売上減退は、震災後に生じた中期的な症状だった。吉野家も似たような症状を持ってたが、牛丼の単価引き下げ、そして鍋膳の適切なタイミングでの投入で、プラスを維持し続けている。そしてすき家もこの2か月は、鍋定食で客数の底上げ、売上の上昇を果たした形となった。

波乱が予測される今年度の牛丼御三家


2013年度は吉野家の牛丼値下げに伴う「牛丼価格プレミアム」の喪失、そして同じく吉野家の「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」投入による鍋ムーブメントと、牛丼御三家は吉野家を主軸に動いた感が特に強かった。そして実際、その吉野家の施策は的確に客足を集め、同社の客数を底上げし、売り上げ増へと導いている。

↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2014年3月)
↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2014年3月)

この動きに便乗…と表現するのはやや酷な感はあるが、すき家でも全店規模で鍋メニューを2014年2月14日から期間限定で投入し、客数の増加と客単価の引上げによる売り上げ増を果たしている。客数の明らかな増加がグラフからも現れている。松屋も上記の通り鍋メニューを投下したが、一部店舗限定でしかも時間制限が厳しいことから、客数の明らかな増加など営業成績にはっきりとその効果が表れるまでの売上には結びつかなかったようだ。

この鍋特需ともいうべき動きもあわせ、3月は次年度4月以降の姿勢表明も合わせ、大きな動きが多数確認されている。まず鍋についてだが、吉野家は4月以降もメニュー継続を決定しており、一部ではさらなる新メニューの導入に向けた試験投入がなされているとの話もある。一方すき家は以前からの公知通り4月1日付で鍋定食の販売を「一時終売」とした(【一時お休み!? すき家の牛すき鍋定食など4月1日で「一時終売」】)。

主力の牛丼・牛めしの価格も【松屋の牛めし並盛プラス10円で290円に・4月1日からの料金改定内容発表】に解説の通り、4月1日以降は吉野家300円・松屋290円・すき家270円(いずれも税込)となり、3社横並びから再び価格差が生じる形となった。価格面では一番プレミアのつく形となったすき家だが、公募増資の調達資金を用いた大規模な店舗リニューアルを公表しており、実際多数の店舗で工事による一部休店の状況が確認できる。

消費性向の変化、特に一人飯的な外食から離れる傾向がさらに強まる昨今、牛丼チェーン各社はどのような施策を打ちだしていくことになるのか。消費者が食に求める根源的な想い「新しくうまいものを食したい」に応える商品(実商品はもちろんだが、周辺環境まで含めたサービスも当然該当する)を提供し、客足を引き留め、新たに呼び込むことができるのか。これから披露することになるであろう、各社の施策、新たな切り札に期待したい。特にファストフード系が大きな注力を示している、吉野家でも一部動きを示した、朝食系メニューへの対応が気になるところだ。


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