新聞はそれでも一番…米ニュースメディアの売上規模を比較してみる(SNM2014版)

2014/04/01 14:30

アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2014年3月26日、デジタル・非デジタル双方におけるアメリカでのニュースメディアの動向と展望に関する報告書【State of the News Media 2014】を公開した。これは現状分析と将来への展望をPew Research社独自の調査結果、公的情報、さらには他調査機関のデータを合わせてまとめ上げた「米デジタルニュース白書」のようなものである。今回はその中から、アメリカにおけるニュースメディアの規模を記した部分を基にグラフを生成し、状況の把握を行うことにする。

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最近ではアメリカの新聞協会におけるデータ更新がなされておらず、直近状況を業界単位で知ることは難しいが、紙媒体の代表格的存在であり、ニュースメディアの大黒柱のうちの1本ともいえる新聞が、日本同様にアメリカにおいても苦境に立たされているのは間違いない。昨年版の「State of the News Media 2013」をまとめた記事のうちの1つ【米新聞社の本業売上推移をグラフ化してみる(SNM2013版)】でも解説しているが、部数減退とメディア力の低下に伴い、特に広告費が減退を続けている。

↑ 新聞売上推移(米、億ドル)(2003年以降の広告費にはオンラインも含む)(-2012年)(一部補正の上、再録)
↑ 新聞売上推移(米、億ドル)(2003年以降の広告費にはオンラインも含む)(-2012年)(一部補正の上、再録)

しかしながらニュースを伝える媒体としては、アメリカにおいて新聞が今なお巨大なメディアであることに違いは無い。次のグラフは主要ニュース媒体の総売り上げを示したものだが、新聞が言葉通りケタ違いの売上を示している。

↑ 米ニュース媒体の売上(億ドル)
↑ 米ニュース媒体の売上(億ドル)

まず新聞だが、386億ドルという値は最初のグラフと整合性が取れていない。最初のグラフによれば販売売上104億ドル(オンライン含む)に広告が223億ドル。合わせると327億ドルで、2つめのグラフの386億ドルとは60億ドル近い差異が生じてしまう。説明によればイベントや流通などの多種多様な補助的収入、ダイレクトマーケティングによる収入(チラシなど)が含まれるため、この額になるのだという。

新聞以外でもっとも大きい売り上げを上げているのは地方テレビだが、それでも89億ドル。ネットワークテレビ、つまり全国規模のニュースはわずか21億ドルでしかない。そして新聞やニュース関連の話では常に救世主的に扱われ、成長率では群を抜くデジタル系は8億ドル。「あれ? こんなに少ないの??」と思う人もいるだろう。

グラフの右側には、原本では別扱いされている値を併記した。これらはインターネット上のニュースメディアとして著名なサイトの売上を「従来型メディアと同一単位で」並べたもの。無論従来型は個々のメディア全体で、そしてこれらのサイトは1サイトあたりの売上なので、単純比較は適切とは言い難いのだが、状況の把握やビジネスとしての成り立ち度合を考慮するため、あえてこのような形にした。

これは日本のニュースメディアでも同様なのだが、新規参入型のメディア、具体的にはインターネットなどによる独自メディアは購読者数と共に影響力を増しつつあるが、金銭面、ビジネスという点では今なお小さな規模でしかない。そして従来型メディアの新聞は、少なくともビジネスの観点では巨大な影響力を有している。この巨大な力を持つ新聞が急速にその影響力を縮小し、売り上げを落とす一方、成長率はともかく実額面では新メディアのみでは到底補完しきれず、ニュースメディアそのものが規模を縮めているというのが実情である。

とはいえニュースの需要そのものが減ったわけでは無く、売上そのものが落ちているのに過ぎない。見方を変えればニュースそのものが「売上を得難い」対象になりつつあることを意味する。それ故に、従来のスタイルを踏襲し続ける旧来メディアは採算が取れにくくなり、経営的な面で窮地に追いやられるという次第である。



概してメディア関連の変化は、アメリカが先行することが多い。日本のメディア周りの動きも、往々にしてアメリカを追いかける傾向がある。文化や社会習慣、決まりごとの違いから、一様に同じ道を歩むことはないものの、大いに参考になることには違いない。今後アメリカのニュースメディア、特に新聞がどのようにして窮地を切り抜けていくのか、その手法を注意深く見守りたいところだ。


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