業界規模は3兆3254億円・お菓子の売れゆき具合をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/04/03 05:25

羊かんやおまんじゅうのような伝統的な和菓子、ロールケーキやシュークリームのような洋菓子、さらにはガムやチョコレート、アイスクリームにいたるまで、多種多様なお菓子は食生活にメリハリを与え、心を和ませ、憩いのひとときを演出してくれる。それらお菓子を開発・生産・販売するお菓子業界の動向を記した年次レポートとして、全国菓子卸商業組合連合会と全日本菓子協会が共同で設立したe-お菓子ねっと製販代表会議運営による「e-お菓子ねっと」では2016年3月31日に、2015年分の菓子統計データを公開した。今回はその値を元に、2015年のお菓子業界の動向を精査する(【発表リリース一覧ページ】)。

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2015年の概況


元来お菓子は景気動向の影響をあまり受けない商品として知られている。単価が安く手頃に購入できる趣向品であること、創意工夫がしやすく、時節に合わせた新商品を臨機応変に創れること、多種多様な他商品との組み合わせが行えることなどがその理由。昨今ではコンビニによる独自ブランドでのデザート系菓子の展開、シニア層のコンビニ・スーパーの多用化に伴うそれら店舗での積極的な和菓子をはじめとした懐かし系のお菓子の導入、さらには健康を意識した素材や製法に通常品よりも配慮したことをうたった健康志向的なお菓子など、多様な業界内の動きも確認できる。一方、世界全体で見れば景気が良くなるほど甘味の材料とされる砂糖の消費量が多くなる傾向もあり、好景気ほどさらに売り上げを伸ばせることには違いない。

2015年に限れば、中国や欧州動向の不安定化に伴い対外的な経済の不透明感が強まったものの、国内的には5月の暑さや一部地域での集中豪雨などの異常気象が見られたことなどのマイナス要因をのぞけば、夏が比較的低い温度で推移したことが幸いし、売上は前年を上回る形となった。また、来日した海外の観光客による需要増大も、売上増加の一因となった。

輸入原材料をはじめとする砂糖や乳製品、資材などの材料価格の上昇や高止まりは相変わらずだが、各社は価格改定や内容量の変更などの取り組みで対応。新しい価格帯に消費者も馴染みつつある。

今件リリースで取り上げられている、お菓子の品目区分の具体例は次の通り。

・飴菓子
キャンディ類、キャラメル、ドロップ、グミ、ゼリー、清涼菓子、マシュマロ

・チョコレート
チョコレートI(チョコレート生地100%、板チョコ、粒チョコなど)、チョコレートII(同60以上-100%未満、ナッツチョコなど)、チョコレート菓子(同20以上-60%未満、被覆チョコなど)

・チューインガム
板ガム、粒ガム、風船ガム、シュガーレスガム

・せんべい
小麦粉せんべい

・ビスケット
ビスケット、クッキー、クラッカー、プレッツエル、乾パン、パイ、サンドビスケット、その他

・米菓
あられ(もち米製のもの)、せんべい(うるち米製のもの)

・和生菓子
ようかん、まんじゅう、その他和菓子

・洋生菓子
ケーキ、カステラ、ドーナツ、その他洋生菓子

・スナック菓子
ポテト系、コーン系、小麦粉系、米粉系のもの

・油菓子
かりんとうなど

・その他
豆菓子、甘納豆、錠菓、清涼菓子、玩具菓子、おこし、その他の焼菓子、砂糖漬菓子 など

※半生菓子(一般的には、水分が10-30%のものをいう)
小物ようかん、小最中、小まんじゅう、カステラ、カップケーキ、バウムクーヘンなど

目立つ動向を示したいくつかの項目について、概要を確認すると次の通りとなる。

・チョコレート
健康効果の浸透でカカオ比率の高い商品を中心に売れ行きは堅調。カカオ豆などの価格高騰を背景に減量を含む価格改定を各社が実施し、売上を底上げ。他方、ナッツ類系チョコは市場に浸透せず。

・チューインガム
機能価値提供の粒ガムは横ばい、板ガムは厳しい状態が続く。風船ガムは前年比1割の減退で、幼児期のガム喫食が顕著。

・せんべい(小麦粉)
観光客による需要増加あり。原材料へのこだわりを見せる商品、健康志向商品、地域ブランド商品など、特化商品に人気。

・ビスケット
夏の気温があまり上がらなかったこと、輸入ビスケットの減少、イベント商品などが堅調に推移し、一部商品の値上げなども合わせ、売上に貢献。震災絡みで売上が伸びていたクラッカーや乾パンは大きな動きは無し。

・和生菓子
世帯単位の消費量は漸増しているが、コンビニなどでの販売は落ち着きを見せている。贈答需要は相変わらずさえない動き。販売業者は小規模事業者界隈で後継者不足に伴い廃業する店舗が相次ぐ一方、成長を続ける店舗もあり、二極化が進む。

・洋生菓子
スーパーやコンビニ、通販などは堅調。専門店などは前年並み。イベントにおける売り上げはまちまち。原材料の高騰以外に、乳製品の不足も言及あり。

・スナック菓子
ポテト系スナックは好調。コーン系や小麦粉系は低迷。

・その他菓子
玩具菓子は妖怪ウォッチ、アナと雪の女王のような誘因要素が無く横ばい。錠菓、清涼菓子などは堅調。

2011年の震災をきっかけに生じた乾パンなどの防災・備蓄用菓子への特別需要は2013年で終息を迎え、その影はもはやない。消費者の健康志向の強い意志、原材料価格の上昇、誘因要素となるキャラクタの有無、夏場の気温動向など、さまざまな要因がお菓子の売上を左右していることが分かる。

またそれとは別に、ガムの中期的な減退傾向が目に留まる。特に幼児を含む若年層に対するアピール不足が懸念されている。業界側でも多種多様な新商品の開発を続け、奇抜さ、目新しさで新たなユーザーの開拓を模索しているが、消費者側のハートをつかむまでには至っていない。2015年においては粒ガムが機能性商品がそれなりに堅調なため、今後はその傾向をヒントとする形で、今まで以上にさまざまな機能を持つ、効用が期待できるガムが登場するものと考えられる。

グラフで分かるお菓子業界


さて肝心の分野別の売り上げ高だが、各区分別ではチョコレートがトップで約5040億円。次いで和生菓子が約4750億円。スナック菓子などが続き、合計は3兆3254億円(小売りベース)。前年比732億円増(プラス2.3%)。

↑ 菓子小売金額の構成比率(2009年-2015年)
↑ 菓子小売金額の構成比率(2009年-2015年)

↑ 菓子小売金額(2009-2015年、億円)
↑ 菓子小売金額(2009-2015年、億円)

↑ 菓子小売金額(2015年、億円)
↑ 菓子小売金額(2015年、億円)

昨今の高齢化を受けて米菓のシェア・売上高は伸びを示している。一方で意外にも和生菓子の伸び悩みが目立つ。また洋系の菓子ではチョコレートが堅調、スナックも順調だが、一方でビスケットやチューイングガムが厳しい。特にチューイングガムは元々小さめだったシェアがさらに縮小している。

意外といえばコンビニの独自ブランドによる積極展開で一見順調そうに見える洋生菓子も、この7年ほどの間は継続的に売り上げが落ちている実態が確認できる。もっともその分チョコレートが伸びていることから、消費者サイドとしては広い範囲での洋菓子の中で、洋生菓子からチョコレートへのシフトが起きているだけなのかもしれない。

直近となる2015年に限った動きを見ると、大よそ昨年までの流れを踏襲しているように見えるが、チョコレートの継続的な飛躍とビスケットのトレンド転換の確証が見受けられる。チョコレートは上記の通り健康ブームによるところが大きく、また冷夏で夏の需要の落ち具合が最小限に留まったのが幸いしたのだろう(夏はチョコレートが溶けやすいことから、気温が上がるとセールスが落ちる。夏場には溶けにくいタイプのチョコレートが商品として多く展開されるのもそれが要因)。ビスケットも前年比で増加しているが、対観光客需要の増加、イベントものの展開の堅調さ、加えて前年同様にシニア層への受けによるものと考えられるソフトビスケットの人気ぶりが要因。

最後は売上高の前年比。グラフが煩雑化しないよう、直近3年分に限定した。項目別のすう勢が良くわかるグラフに仕上がっている。

↑ 菓子小売金額前年比(2013-2015年)
↑ 菓子小売金額前年比(2013-2015年)

米菓、チョコレート、ビスケットは概して堅調、和生菓子は地味ながらも良い動き、飴菓子は大きく復調の動き(グミが好調となり全体をけん引した)、油菓子やせんべいは軟調さが続いていたが2015年は復調に転じる、チューインガムは勢いを減じているものの、下落基調に変わりはないことなどが分かる。チューイングガムは年ベースで2011年以降毎年5%以上の前年比マイナスを計上していた2014年までと比べればまだ大人しめだが、主要項目区分別ではもっとも下げ率が大きいことに変わりは無く、抜本的な対策が求められる状態となっている。



冒頭でも触れているが甘味系業界は不景気でもさほど影響を受けず、好景気にはさらなるセールスが見込める、手堅い分野として知られている。創意工夫を凝らすこと、他業界との連動性を盛り込むことでターゲットを幅広く設定できるのがポイントとなる。

他方、コンビニの浸透や高齢化社会の到来による消費層の変化、国内旅行需要の低迷によるお土産品の需要の継続的な減少、通販需要の拡大、さらに昨今では海外からの観光客の増加など、多様な変化が起きている。そして商品区分別のすう勢を見るに、全般的にはやわらか系、すぐに食べられる系統のお菓子が伸び(チョコレート、米菓、スナック菓子)、食べるのに時間を要するタイプの菓子(油菓子、チューイングガム、飴菓子)が敬遠される動きがあるようにも見える。「スナック感覚」との言葉ではないが、お手軽感がお菓子全体のトレンドの一環として浸透しているのだろうか。

シニア層が積極的に消費を行い、市場に影響を及ぼすようになったこともあり、機能性を重視した、あるいは健康志向の商品への需要がこれまで以上に高まりを見せているのも特徴の一つ。さらにそれと連動する形ではあるが、少人数世帯化や「チョイ食べ」需要の拡大に伴い、少量パッケージ化や個別包装商品の需要も増加している。同じ商品で需要に合わせた一工夫を凝らすことで、大きな飛躍を見せた商品も少なくない。

コンビニでコーヒーの供給が増えたことを受け、コーヒーと相性の良い商品の開発が相次ぎ、需要もそれに合わせて拡大しているのも注目に値する。チョコレートの売上が堅調なのも、多分にこのコーヒーとの連動性があると考えれば道理は通る。個性を出すために次々と新しい商品が店頭に並び、それが消費者の需要に刺激を与える好要因ともなっている。

お菓子業界のかじ取りの上で、大きな影響を及ぼすであろう要因が次々と他業界、関連業界で生じている。2016年は2015年以上に、多様な変化が見られるに違いない。


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