業界規模は3兆4298億円・お菓子の売れゆき具合をグラフ化してみる(最新)

2020/04/13 05:20

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2020-0412羊かんやおまんじゅうのような伝統的な和菓子、ロールケーキやシュークリームのような洋菓子、さらにはガムやチョコレート、アイスクリームにいたるまで、お菓子は食生活にメリハリを与え、心を和ませ、憩いのひとときを演出してくれる。それらお菓子を開発・生産・販売するお菓子業界の動向を記した年次レポートとして、全国菓子卸商業組合連合会と全日本菓子協会が共同で設立したe-お菓子ねっと製販代表会議運営による「e-お菓子ねっと」では2020年4月10日に、2019年分の菓子統計データを公開した。今回はその値を基に、2019年のお菓子業界の動向を精査する(【発表リリース一覧ページ】)。

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2019年の概況


元来お菓子は景気動向の影響をあまり受けない商品として知られている。単価が安く手頃に購入できる嗜好品であること、創意工夫がしやすく、時節に合わせた新商品を臨機応変に創れること、他商品との組み合わせが比較的容易に行えることなどがその理由。昨今ではコンビニによる独自ブランドでのデザート系菓子の展開、シニア層のコンビニ・スーパーの多用化に伴うそれら店舗での積極的な和菓子をはじめとした懐かし系のお菓子の導入、さらには健康を意識した素材や製法に通常品よりも配慮したことをうたった健康志向的なお菓子など、多様な業界内の動きも確認できる。一方、世界全体で見れば景気がよくなるほど甘味の材料とされる砂糖の消費量が多くなる傾向もあり、好景気ほどさらに売上を伸ばせることには違いない。

2019年に限れば、雇用や所得の改善が続く一方で、香港問題や日韓問題、中国経済の低迷感から輸出の勢いに足踏みが見られるようになり、さらに台風などの自然災害や暖冬、さらには消費税率の引き上げがあり、個人消費が大きく足を引っ張られる形となった。このような悪材料の多い環境の中で、菓子の需要拡大に向けた消費者へのさまざまなアプローチが展開された。結果として全体では生産数量は前年を下回ったものの、生産金額・小売金額ともに前年をわずかだが上回る結果になった。

今件リリースで取り上げられている、お菓子の品目区分の具体例は次の通り。

・飴菓子
キャンディ類、キャラメル、ドロップ、グミ、ゼリー、清涼菓子、マシュマロ

・チョコレート
チョコレートI(チョコレート生地100%、板チョコ、粒チョコなど)、チョコレートII(同60-100%未満、ナッツチョコなど)、チョコレート菓子(同20-60%未満、被覆チョコなど)

・チューインガム
板ガム、粒ガム、風船ガム、シュガーレスガム

・せんべい
小麦粉せんべい

・ビスケット
ビスケット、クッキー、クラッカー、プレッツエル、乾パン、パイ、サンドビスケット、その他

・米菓
あられ(もち米製のもの)、せんべい(うるち米製のもの)

・和生菓子
ようかん、まんじゅう、その他和菓子

・洋生菓子
ケーキ、カステラ、ドーナツ、その他洋生菓子

・スナック菓子
ポテト系、コーン系、小麦粉系、米粉系のもの

・油菓子
かりんとうなど

・その他
豆菓子、甘納豆、錠菓、清涼菓子、玩具菓子、おこし、その他の焼菓子、砂糖漬菓子など

※半生菓子(一般的には、水分が10-30%のものをいう)
小物ようかん、小最中、小まんじゅう、カステラ、カップケーキ、バウムクーヘンなど

目立つ動向を示したいくつかの項目について、概要を確認すると次の通りとなる。

・チョコレート
生産数量は前年比マイナスだが、生産金額はプラス。ここ数年言及のあった健康効果の浸透によるカカオ比率の高い商品の伸びは今一つだったようで、特段のコメント無し。チョコレート菓子が健闘。

・チューインガム
機能価値提供の粒ガムは下げ幅は小さいものの、それ以外のガムは厳しい状態が続く。機能価値がセールスポイントの商品提供と、コンビニを中心にしたパウチタイプのラインアップが底堅い。

・せんべい(小麦粉)
9月までは順調だったが10月の台風や消費税率の引き上げで消費が落ち込み、生産数量・生産金額は前年を下回る。小売金額は前年並み。特に京都、大阪、九州で売上が減少。

・和生菓子
家庭内消費は堅調なものの、贈答品での売上が軟調なこと、消費税率引き上げで消費停滞ムードが足を引っ張る形となり、前年比では生産数量・小売金額ともに前年比マイナス。小豆の高騰を受け生産金額は前年並み。

・洋生菓子
消費税率の引き上げの影響は10月以外は限定的、バレンタインデーやクリスマスのような季節イベントではほぼ平年並みを確保。しかし労働時間短縮による生産数量の引き下げや不採算部門の整理、そして自然災害や天候不順などの影響で客数減が生じ、微減に。

・スナック菓子
ポテト系は前年後半の大きな伸びの反動や国産原料の量不足があったものの、新商品の投入を受けて増加。コーン系もプライベート商品の積極展開で増加。小麦系や野菜系も生活・消費スタイルに合わせた新商品や新食感の商品を続々投入した結果、増加。結果として生産数量・生産金額・小売金額ともに前年比でプラス。

2011年の震災をきっかけに生じた乾パンなどの防災・備蓄用菓子への特別需要は2013年で終息を迎え、その影はもはや無い。消費者の健康志向の強い意志、原材料価格の上昇、誘因要素となるキャラクタの有無、天候などの自然の動向など、さまざまな要因がお菓子の売上を左右していることが分かる。一方でお菓子そのものの品質や内容、種類とは別に、中小規模の店舗における後継者不足、廃業問題も今後さらに大きな問題となりそうな感はある。書籍同様販売プラットフォームが減ればそれだけ市場は縮小しうる(もっとも業界全体の商域カバーとしてはコンビニがその分をカバーして余りあるのも否定はできない)。

またそれとは別に、ガムの中期的な減退傾向が目に留まる。特に幼児を含む若年層に対するアピール不足が懸念されている。業界側でも多様な新商品の開発を続け、奇抜さ、目新しさで新たなユーザーの開拓を模索しているが、消費者側のハートをつかむまでには至っていない。2019年においては前年に続き粒ガムや機能性商品がそれなりに手堅い動きを示しているため、今後はその傾向をヒントとする形で、今まで以上にさまざまな機能を持つ、効用が期待できるガムが登場するものと考えられる。

グラフで分かるお菓子業界


さて肝心の分野別の売上高だが、各区分別ではチョコレートがトップで5630億円。次いで和生菓子が4650億円。スナック菓子が続き、合計は3兆4298億円(小売ベース)。前年比389億円増(プラス1.15%)。

↑ 菓子小売金額・構成比率
↑ 菓子小売金額・構成比率

↑ 菓子小売金額(億円)
↑ 菓子小売金額(億円)

↑ 菓子小売金額(億円)(2019年)
↑ 菓子小売金額(億円)(2019年)

社会の高齢化を受けて米菓のシェア・売上高は伸びを示している。またせんべいも下げ止まりを見せ、和風や柔らかい系統のお菓子が勢いを見せている雰囲気を感じられる。

洋系だが柔らかいとの観点では合致する、そして機能系商品で若年層にも受け入れられているチョコレートは急成長。飴菓子もこの数年でマイナス基調からプラス基調に転じている。説明によるとグミなどの柔らかいソフトキャンディや清涼菓子が好調とのことで、なるほど感を覚えさせる。

一方でチューインガムの厳しさがひときわ目立つ。元々小さめだったシェアがさらに縮小している。記録のある限りで2018年に続き2年連続しての1000億円割れである。

最後は売上高の前年比。グラフが読み難くならないよう、直近3年分に限定した。項目別のすう勢がよくわかるグラフに仕上がっている。

↑ 菓子小売金額(前年比)(2017-2019年)
↑ 菓子小売金額前年比(2017-2019年)

チューインガムが軟調なのは相変わらずだが、チョコレートやスナック菓子、飴菓子の堅調さ、和生菓子や洋生菓子の不調ぶり、そして2018年がやや特異な動きを示していたことが分かる。



冒頭でも触れているが甘味系業界は不景気でもさほど影響を受けず、好景気にはさらなるセールスが見込める、手堅い分野として知られている。創意工夫を凝らすこと、他業界との連動性を盛り込むことでターゲットを幅広く設定できるのがポイントとなる。

他方、コンビニの日常生活への浸透や高齢化社会の到来による消費層の変化、機能性商品の需要増加、通販需要の拡大、さらに昨今では海外からの観光客の増加など、多様な変化が起きている。そして商品区分別のすう勢を見るに、全般的には和風、やわらか系、すぐに食べられる系統のお菓子が伸び(チョコレート、米菓、生菓子)、食べるのに時間を要するタイプの菓子(油菓子、チューインガム、飴菓子のうち堅い系。グミは伸びている)が敬遠される動きがあるようにも見える。「スナック感覚」との言葉では無いが、お手軽感がお菓子全体のトレンドの一環として浸透しているのだろうか。

シニア層が積極的に消費を行い、市場に影響を及ぼすようになったこともあり、機能性を重視した、あるいは健康志向の商品への需要がこれまで以上に高まりを見せているのも特徴の一つ。さらにそれと連動する形ではあるが、少人数世帯化や「チョイ食べ」需要の拡大に伴い、少量パッケージ化や個別包装商品の需要も増加している。同じ商品で需要に合わせた一工夫を凝らすことで、大きな飛躍を見せた商品も少なくない。

お菓子業界のかじ取りの上で、大きな影響を及ぼすであろう要因が次々と他業界、関連業界で生じている。2020年は2019年以上に、多様な変化が見られるに違いない。


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