災害廃棄物処理96%まで進行、津波堆積物も9割超に…震災がれき処理動向(2014年2月28日時点)

2014/03/28 14:30

先の東日本大地震・震災で大きな被害を受け、災害廃棄物や津波堆積物から成る震災がれきを大量に生じることになった被災三県(岩手県・宮城県・福島県)における、震災がれきの処理進捗状況について、当サイトでは復興庁の公開データを基に、月一のペースで状況把握と分析を行っている。今回は2014年3月27日付で発表された同年2月28日時点の状況分につき、過去のデータと合わせ、当サイトで独自算出した指標も合わせ、分析を行うことにする。

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震災がれきは2800万トン、そのうち未処理分は170万トンにまで減少


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)など、今記事内で用いられる各種がれきに関する用語は、関連記事の一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)にまとめて解説している。必要な場合はそちらで確認をしてほしい。

最初に確認するのは、がれきなどにおける「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物などは災害発生現場から直接処理場に運ばれるのではなく、一端仮置き場に搬送され、そののち色々な方法で処分(焼却、埋め立て、再利用など)される。直接現場から処理現場に運ぶと、処理工程や作業そのものの混乱が懸念されるからである。要は商品の物流と同じ。また現場(大部分は生活の場やその隣接地域)からの「がれき」排除を最優先事項としているのも、理由としては大きなものとなる。全体では2014年2月28日時点で災害廃棄物が98.3%・津波堆積物は96.4%との値が出ている。

↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2014年2月28日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2014年2月28日時点)

がれき処理の作業進行と共に、当然、仮置き場に運ばれた総量は増加する(仮置き場から各実処理へ移行したものは差し引かない)。その一方、がれきの推定総量の再計測、特に震災関連で廃棄物が新たに発生することから、今件数字は一方的には上昇しない。同じ運搬量でも残量、そしてがれき総量が増加すれば、当然処理率は低下する(母数が増えれば比率は下がる)。

実際、前回記事でのがれき総量は2778万トン、今回月では2800万トンとなり、22万トンほど増加している。現状では「災害廃棄物」「津波堆積物」共に搬入率は9割を超えているが、昨今では新たながれきの発生による加算で処理が追加発生していること、そして作業が難しい地域での処理が中心となっており、この数か月間では大きな変化は生じていない。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフで現状確認を行う。「処分」は多用な手法によるもの。単純な埋め立て処分をイメージしがちだが、他にも焼却、再生燃料化、素材として売却処分、リサイクルなどが選択肢として挙げられる(無論対象の状態や材質で選択肢は限られる)。今グラフ内の「未処理」とは、被災現場に残された状態だけでなく、「仮置場」に搬入されている状態のものも含むことに注意。一部で誤解をしている向きもあるが、「仮置場」に移しただけでは「処分」にはならない。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年2月28日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年2月28日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年2月28日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年2月28日時点)(万トン)

上記にある通り全体で仮置き場への集約率は災害廃棄物は98.3%・津波堆積物は96.4%までと、双方とも9割5分以上にまで進んでいる。しかしその先の行程となる処理・処分済みの状況では、そこまでは達していない。特に津波堆積物の遅れが目立つ。この理由として「震災がれき」の処理では通常の建築物の取り壊しで発生するがれきと比べ、内容が複雑で量も多く(想定されない状況下でがれき化している)、処理に時間がかかるのが最大の理由。何しろ大抵において、そのがれき自身が何から構成されているか、それすらも分からない場合が多いのだから(特に津波の被害地域では、その場に存在していた建物によるがれき「のみ」とは限らない)。

当然内容物の選り分けをはじめ、莫大な処理行程が必要となる。個々の被災県内の処理だけでは、能力的・物理的に短時間での作業進行は不可能であり、迅速な処理には被災地外の処理ラインを併用することが望まれる。しかしながらこの「被災地外での処理」に関しては、御承知の通り、これまで数多くの非科学的・感情的・煽動的な理由による障害・妨害が続けられている。

がれきの処理は物理的、さらには地域住民の心理的な観点において、復興への足掛かりとなる。廃棄物はそこに存在するだけで、被災者の記憶を沸き返させ、復興が遅延している状況を目の当たりにさせ、周囲の人々の心を傷つけていく。可及的速やかな処理が強く望まれる。

津波堆積物処理も9割突破…全体的な処理の推移


復興庁では同庁公式サイト上で2011年12月時点分以降、災害廃棄物等の搬送動向の情報をほぼ一か月の間隔で公開している。その公開資料上で、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分、一方で津波堆積物は2012年7月31日分以降。

それらの公開値を基に、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、今回精査している最新値の2014年2月28日時点は、震災から約3年における値。それでもなお100%に達していない状況を見るに、震災の規模の大きさを再確認させられるのはもちろんのこと、分散処理がさまざまな妨害活動によって妨げられたことへの憤りを改めて覚えさせられる。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2014年2月28日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2014年2月28日)

グラフのカーブ度合いからは一目瞭然だが、災害廃棄物の処理は2012年の年末、津波堆積物は2013年の春先から処理が加速している。一要因としては「福島県における国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外された」のが原因として挙げられる。しかし主要因は政情変移に伴う処理への姿勢・対応の変化によるものと考えられる。

また災害廃棄物では2013年半ばから、津波堆積物でも2013年末あたりから、上昇カーブがやや緩やかなものに変化を見せている。これは処理が終盤に迫るに連れて、困難な場所での作業を手掛けるためによるもの(数字の上では作業工程が複雑なものでも、容易なものでも、同一重量として扱われる)。処理の最終段階に入った証といえる。

なお今回月までの値を基に単純計算をすると(震災直後の混乱期、処理の決定がなされるまでの処理不可能状況を半年と試算し、それ以降2014年2月28日までの時点で約30か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するまでにあと約1.2か月、津波堆積物はあと約3.1か月ほどかかることになる。1か月前の記事と比較すればお分かりの通り、実日時が1か月経過しても、予定終了期間は1か月分も減っていない。これは直上の説明の通り、処理が終盤のプロセスに移行しているからである。

全体進捗率は94.0%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握するため、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方(つまり「震災がれき」全体)の処理済み・未処理トン数、さらには総推定重量に対する処理進捗状況を公開値をベースに独自算出し、その値を元にグラフを生成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年2月28日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年2月28日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年2月28日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年2月28日時点)(対全体進捗比率)

ベタ塗り部分が処理済、ぼかし塗りが未処理(現場に置かれたままのもの、仮置き場に移されたものを合わせた値)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できる。現時点では震災がれきの処理は94.0%まで進んでいる。

今グラフのうち、特に万トン数の積み上げグラフから見るに、今なお170万トンもの震災がれきが処理されず、その姿のままで仮置き場や現場に残されている(あくまでも現時点で把握できる範囲)。引越しに使われることもある大型の4トントラックなら42.5万台分、戦艦大和(満載時、7.11万トン)ならば約24隻分と表現すれば、その量がイメージできるはず。

先月の記事で伝えたように、岩手県・宮城県では今年3月末までに「災害廃棄物」の処理を終える目標を掲げており、それはほぼ達成できそうな感はある。元資料でも各県をブロック区分した項目の「処理割合」の数字を見ると、両県では軒並み99%台から100%(完了)の値が並ぶ。一方、福島県では国の直轄対処地域もあるのに加え、公開値の範囲で見ても状況はあまり思わしくない。

もちろん震災がれきが取り除かれ、処分が実施されても、それですべてが終わったわけでは無い。むしろそこからスタートとなり、復興、回復、さらにはさらなる発展への道のりを歩んでいくこととなる。残された震災がれき関連の作業はもちろんだが、それに続く各種事業でも極力いわれなきハードルが取り除かれるよう、心から願いたいものだ。

なお処理状況がある程度進んできた現状を受け、今件に関する一連の記事について、今回分、または次回分以降は、現行の「発表毎の別記事・蓄積型展開」から、「逐次更新・上書き型」へと掲載スタイルを変更する予定。記録を残すとの視点で考えれば後者はあまり好まれないのだが、現状の検索事情からは選択せざるを得ない。あらかじめご了承願いたい。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)
【「がれきの撤去」はまだ半ば…被災三県がボランティアに望むこととは】(2011年11月)

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