ウクライナ情勢などを受けて見通しさらに弱気へ…野村證券、2014年3月分の個人投資家動向発表

2014/03/15 20:00

野村ホールディングス(8604)のグループ会社野村證券の一部門「グローバル・リサーチ本部」は2014年3月13日付で、個人投資家の投資動向アンケート調査結果報告書「ノムラ個人投資家サーベイ」の最新版(2014年3月分)を発表した(【野村證券リリース一覧ページ】)。その内容によると今後3か月後の株価見通しを調査対象母集団に問い合わせた「ノムラ個人市場観指数」は、先月から継続して下落、しかも大幅な下落幅を示し、25.6にまで低下した。株価の先行きに対しては「小幅な上昇」を見込む意見が先月から増えたものの、中程度、大きめな株価上昇を見込む意見は激減、株価下落の予想回答者が増加している。株価動向への思惑はさらなる弱気へとシフトしている。

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今調査は1000件を対象に(有効回答数が1000件に達した時点で締切)2014年3月3日から3月4日に行われたもので、男女比は83.8対16.2。年齢層は60代以上がもっとも多く31.5%、次いで50代が3.0%、40代が26.6%など。金融資産額は1000万円-3000万円の層がもっとも多く29.2%、500万円-1000万円が17.7%、3000万円-5000万円未満が12.6%と続いている。回答者の投資経験年数は10年から20年未満がもっとも多く29.3%を占めている。次いで20年以上が29.2%、5年から10年未満が28.9%。

投資に対して重要視する点は、おおむね長期投資が最大値で48.0%と5割近くでもっとも多い。ついで配当や株主優待が24.0%と1/4近く。短中期間の売買に伴う売却益より、配当収入や優待確保などの中長期的な安定感を求める投資方針が多勢(ほぼ3/4)を占めている。

詳細はレポートで確認してほしいが、概要的には次の通り。

・投資指数は25.6ポイント。前回からは11.2ポイントの大幅減少。東京株式市場は今年に入ってから海外要因による影響で軟調さが続いていたが、今回計測時にはウクライナ情勢の緊迫化を背景にリスク資産回避の動きが強まっており、これが株価の見通しにも影をさした形となっている。

・3か月後の日経平均株価の上昇を見込む比率は合計で62.8%。前月分の68.4%からは5.6%ポイントの減少。「1000円程度の上昇」を見込む意見がもっとも多い状況は先月から変わりなく、プラス5.2%ポイントの上昇を見せた。ただしそれ以上の値上げ幅の見込み回答は大きく減り、下落予想の3項目はすべて前月から増加していることから、相場観は下方に引きずられているように見える。

・市場に影響を与え得る要因としては「国際情勢」がトップにつき、前月から6.1%ポイントのプラス。ウクライナ情勢が連鎖的に反応を引き起こし、株式市場にも大きな影響を与えていることから、同項目への回答率も大幅に上昇した。もっともその分、同情勢で大きな連鎖的動きを示している「為替動向」は回答率を下げている。

・魅力的な業種は「資本財・その他」「医薬品」「自動車」「素材」「通信」の順。「金融」「電気機器・精密機器」「運輸・公共」「消費」はマイナス。消費税改定に伴う消費性向悪化懸念を受け、「消費」は先月からさらに下落している。

・ドル円相場に対する見通しは、やや円安方向へ傾倒。ただし変動幅の大きな動きを予想する意見は減っている。

・通貨への投資魅力は「日本円」が再びトップに。その分「アメリカドル」はそれに続き2位に。「ユーロ」の下げ幅がキツイが、「中国元」のマイナス値の高さ(マイナス54.3)にはまだ届かない。

・もっとも注目を集めた金融商品は「国内株式」。次いで「預貯金」「国内投資信託」。この順位は先月から不動で、DI値にも大きな変化は無し。「なし」の値は先月からさらに後退し、DI値そのものがマイナス48.9と大幅に下落しており、投資そのものへの期待は相変わらず。
気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」、すなわち個人投資家に買われやすいと思われる銘柄は、今月も先月から継続してトヨタ自動車(7203)がトップに。魅力的な業種でも「自動車」が引き続き上位にポジションを構え、トヨタへの回答数も他銘柄と比べてケタ違いに多い。回答者世代がややシニアに偏っていることもあるが、同社の信仰的なまでの人気は不変である。

1位……トヨタ自動車(7203)
2位……ソフトバンク(9984)
3位……武田薬品工業(4502)
4位……みずほフィナンシャルグループ(8411)
5位……本田技研工業(7267)
元資料では上位26位までリストアップされているが、今記事では5位までを抽出している。その限りではトヨタのトップはほぼ鉄板、ソフトバンクもこの数か月では上位陣の位置をキープし続けている。さらにいえば今月の順位において上位3社は先月からまったく動きが無いほどの安定ぶり。今件項目は人気投票でしかないものの、個人投資家から注目を集めていること、そして株式の購入が機械的な売買だけでなく人気投票的な意味合いも持つことを考えると、両社の株価が堅調であることの裏付けの一つともいえる。

また今回月では武田薬品工業に加え、本田技研工業のような、質実剛健で安定志向の強い世間一般の認知度が高い企業がランクインしている点に注目。リスク資産回避傾向が強まる中、これらリスクの低そうに見える企業に人気が集まるのも、ある意味必然の流れかもしれない。



中国の経済動向に懸念が強まる中、債務問題でようやく大人しさを見せ始めたヨーロッパが、ウクライナ情勢で一挙に緊迫化しており、先月に続き今月も国際要因で市場感は大きく足を引っ張られた形となった。

また「魅力的な業種」の面で「消費」項目が大きく下げている通り、消費税率改定に伴う消費性向の低迷への懸念は大きい。これは同じく月一で展開されている景気ウォッチャー調査の結果にも大きく表れている。

国内外共に不安要因を抱える昨今、少なくとも年度が改まり連休が明ける位までは、波瀾万丈な市場展開が十分にあり得る状況に違いはない。手堅い銘柄、業種への集中は、これまで以上にその傾向を強めることだろう。


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