ラジオ以外は概して好調、新聞が健闘(電通・博報堂売上:2014年2月分)

2014/03/12 15:30

博報堂DYホールディングスは2014年3月11日に、同社グループ主要3社の博報堂、大広、読売広告社それぞれにおける2014年2月分の売上高速報を公開した。また電通ではそれに先行する同年3月7日に単体売上高を発表している。これにより日本国内の二大広告代理店での2014年2月次の売上データが出揃う形となった。今回はその両社の主要種目別売上高の前年同月比を独自に算出し、さらに指標を計算して各種グラフを生成、それぞれの広告売上動向や広告業界全体の動きの精査を行うことにする。

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ラジオは不調、それ以外は大体好調、4マスでは新聞が大きく伸びる


データ取得元の詳細情報、各項目に関する算出上の注意事項は、記事の集約ページ【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で解説済みなので、必要な場合はそちらにて確認のこと。

↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年2月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年2月分種目別売上高前年同月比

先日3年目を迎えることとなった東日本大地震・震災後は、その被害の影響を受けて広告市場も大きく(大抵はマイナス方面に)揺れ動いた。その動揺による変移もようやく落ち着きを見せ、昨今では震災前の各広告項目が示していた動きを踏襲しつつある。具体的には従来型4マスの影響力が低下し、インターネットが伸びるというもの。一方で震災による一時的な現象では無く、震災を通じて加速化した、あるいは新たに発現した動きとして「テレビの復調」「従来型広告の伸長」などがある。

今回の2月分の動向を確認すると、従来型4マスでは先月に続きラジオが軟調。雑誌は目立った動きがないものの、新聞とテレビが順調。テレビは前年同月ではプラスマイナスゼロ前後を行き来していたことが確認されており、純粋な伸びによる成果といえる。一方新聞は、前年同月におけるさらなる前年同月比が電通マイナス4.7%・博報堂マイナス16.5%であったことから、その影響・反動が幾分あるように思える。ただしその反動分を差し引いても、新聞の勢いが良かったことは否定できない。

2月のメディア周りの事象といえばソチオリンピックが思い浮かぶが、その影響は多分にあるといえよう。特にテレビは上昇率こそ新聞には叶わないものの、額面が大きいことから、広告売上全体に占める貢献度も大きなものとなる。

インターネット広告は両社ともほぼ同じ勢いで堅調。こちらもまた、ソチオリンピックによる特需が発生したと考えれば十分に道理は通る。特に電通は前年同月においてもプラス13.1%を示しており、そこからさらに35.8%も上げていることから、相当な成長率であることが認識できる。

↑ 参考:電通2014年2月度単体売上(前々年同月比)
↑ 参考:電通2014年2月度単体売上(前々年同月比)

従来型広告もまた両社共に堅調。今回月は特に博報堂が良い動きを示したようだ。

取りまとめると「4マスは新聞とテレビが順調、ラジオが不調。ネットも従来型も強めで、全体としてもプラス」という形にまとめられよう。

電通の総額推移で広告業界の回復ぶりを確認


次のグラフは電通の今世紀における各年2月の広告売上総額推移を抽出し、その動向を折れ線グラフにしたもの。同じ月の経年売り上げの動きを確認することで、季節属性(季節や月により広告出稿の大小が生じること)に左右されずに、年単位での売り上げ推移、そして広告市場の情勢を推し量れる。

↑ 電通月次売上総額推移(各年2月、億円)(-2014年)
↑ 電通月次売上総額推移(各年2月、億円)(-2014年)

電通の各年2月における総額動向を確認すると、2007年でややくぼみを見せたものの、2008年までは景況感の良さを受けて売り上げは概して成長する流れにあった。しかし2009年に入ると2008年9月のリーマンショックの影響を受け、売り上げは激減。それ以降も長引く景気低迷により売上もさえず、リーマンショック後の急降下からの反動以降は横ばいを示していた。また2011年の震災で再び頭を押さえられ、こうべを垂れるような形状を示している。2014年になるとようやく回復の動きを示したが、まだ一連の金融危機-リーマンショック-震災というコンボ的な展開からの立ち直りとまでは言い難い。

大雪による欠品告知今年の2月に限れば上記に説明の通り、ソチオリンピックによる特需でポジティブ、2回の積雪による影響でネガティブの要素が生じている。結果としてはポジティブの方がはるかに強い影響となり、売り上げを底上げしたようだ。また先月の記事で言及したが、2月9日投票の都知事選も一部影響を与えた可能性はある。

この動きは売上全体としての動向であり、広告市場を包括した動きに近しいものだが、その売り上げを構成する各種部門のシェア、パワーバランスは大きな動きを示している。従来型広告はさほど変化がない、むしろ震災以降は成長のさなかにあるが、インターネット広告は大きく飛躍し、その分従来4マスの売上が漸減している。【新聞とネットの順位交代…今年一年の従来4マスとインターネットの広告売上動向を振り返ってみる(2013年)】で詳しく解説した通り、新聞とインターネットの売上におけるポジションが入れ替わる節目も去年経験しているのが良い事例である。

なお最上位にあるグラフだが、各項目は類似・同一ではあるものの、両社間、さらには各社の項目間で具体的な金額面について、同じ意味を示しているわけでは無い。例えばインターネット広告の伸び率は電通と博報堂でほぼ同じ値ではあるものの、額面では大きく異なっている。

下記に金額面での具体例をまとめてグラフ化しておく。項目別ではインターネット分野の市場規模は、従来4マスの最大勢力であるテレビと比べると数分の一でしかない。インターネット広告が成長過程にあることに違いはないものの、同時にテレビとは言葉通りケタ違いの市場規模であり、現状ではとても追いつくようには見られない。

↑ 電通・博報堂DYHDの2014年2月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂DYHDの2014年2月における部門別売上高(億円、一部部門)

また、電通と博報堂間では売上総額で約2倍、「その他」部門でも数倍以上もの差がある(今回月はほぼ10倍)。得手不得手はあるにしても、両社の許容範囲、規模の違いを再認識させられる。



電力問題は需給状況の視点ではやや改善の動きを示しているが、カントリーリスクや中長期的な供給問題、さらにはランニングコスト・電気料金の点ではリスクをむしろ積み増ししている。先日発表された景気ウォッチャー調査の具体的コメントにも、特に企業方面で電気料金の高騰ぶりを頭痛のタネとしている言及がそこかしこに見つけることが出来る。電気はインフラであり、企業にとっては血であり水であり空気である。そのコストが高くつくのなら、企業活動に大きな金銭上の足かせとなることは言うまでも無く、さまざまなきしみが生じている。市民生活に直接関わりないものは、すべて非存在の案件でしかないとの考えは、単なる狭い領域での見識でしかない。

電力に関する企業が抱く強いストレスは、広告面にも波紋を広げている。デジタルサイネージなどの電飾系広告はひかえられ(これでもまだ大人しくなったほうだが)、その分従来型広告が活性化している。この状態が悪い訳ではないが、デジタル系の広告が意図せぬ事由によりハードルが高い現状は、必ずしも健全とはいえない。

現在進行期の3月は年度末にあたり、各種新商品・サービスが展開するために、毎年広告の売り上げは盛況を博すことになる。元々売上高が大きい月なだけに、景況感によるぶれも大きくなるため、景気動向をより容易に推し量れることになる。果たしてどのような結果が数字となって現れるのか。経産省の「特定サービス産業動態統計調査」と共に、注視していきたいところだ。


■関連記事:
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(上)…4マス+ネット動向編】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(下)…ネット以外動向概況編】

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