食肉以外は上昇基調(2014年2月分世界食糧指数動向)

2014/03/10 15:30

資源価格の全般的な値上がりや為替変動、さらには消費税率の変更にあわせ、食品価格の値上げやリニューアルに伴うサイズ・容量変更が相次ぐ昨今。メーカー側による値上げ理由の一つとして良く上げられるのが、原材料の国際価格の上昇。その動向は実態としてどのような動きを示すのか、その概要を垣間見ることができるのが、国連食糧農業機関(FAO、Food and Agriculture Organization)が公式サイトにおいて発表している【世界食料価格指数(FFPI:FAO Food Price Index)】。その最新分にあたる2014年2月分が2014年3月6日付で発表された。今回はこの各種値を基に、当サイトで独自に複数の指標を算出、グラフを生成し、世界規模における食糧価格の推移を精査していくことにする。

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食肉以外は前月からアップへ、乳製品の高値安定は変わらず


今記事中にあるデータの取得元、各種用語に関しては、一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】にある。必要な場合はそちらで確認のこと。

最新データを含めた収録データを基に、まずは1990年以降の推移を一望できる折れ線グラフを生成する。詳細把握はともかく、前世紀終盤以降の中長期的な食料価格の変移を推し量れる。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2014年2月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2014年2月)

砂糖は価格変動性が高い食料品で、投機対象としても良く話題に登る。その実態を体現化するかのような非常に激しい値動きがグラフには表れている。それ以外の食品項目では昔は大きな動きは無く、2005年前後までは下限を50、上限を150とした領域での小刻みな値動きに留まっていた。

2005年終盤以降になると、砂糖も合わせ全体的に少しずつ上昇の気配を示す。その後金融危機「サブプライムローンショック」(2007年夏-)の時期に入ると、急激な上昇を示すようになる。全項目が砂糖同様に大幅な上昇を示している。

これは株式市場の暴落で投資先を失った投資資金が商品先物に流れ込み、食料品価格を投資・投機対象として釣り上げた結果によるもの。先物市場そのものの市場規模は株式市場よりも小さいため、流入資金量に対する反応も大きなものになる。これが現物の食料品の価格をも引き上げる形となった。

その後は反動による急降下、「リーマンショック」(2008年9月以降)による乱高下を経て、現在の高値安定状態に移行している。今世紀初頭の100前後と比べると、2倍前後にまで基準が上昇している。

次にグラフ生成開始時期を最古データの1990年では無く、食糧市場にも大きな影響を与えている金融危機が勃発した2007年に合わせ、対象期間が短いグラフを生成する。これで金融危機以降における動向をより詳しく確認することができる。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2014年2月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2014年2月)

2010年初頭から急変動が相次いで砂糖指標で起きているが、これは砂糖相場での過熱感と豊作で生じた急落、そして需給状態を受けての再上昇の動き。2011年中旬に約400まで上昇し、そこを天井として、昨今では豊作による供給過多、世界的な景気後退で生じた甘味需要の減少(甘味は概してぜいたく品のため、生活が厳しくなると需要は減る)で、値は漸減傾向にある。

それ以外の食料品はこの1、2年で穀物や油脂の急落、乳製品の急上昇などの動きが把握できる。特に乳製品は去年中盤から一方的な値上がりが続いており、これが日本にも小さからぬ影響を与え、チーズなどの価格が値上げされていることはすでに伝えている通りで、実体感している人も多いはずだ。

前月比と前年同月比の動き


直近、そしてここ1年ほどの食料価格の動向確認のため、各指標の元値から「前年同月比」と「前月比」をそれぞれ独自算出(元データでは記載されていない)。その数字の変移が分かりやすいようにグラフを生成する。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2014年2月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2014年2月)

総合指数は前月比でプラス2.6%と先月から転じて上昇、前年同月比はマイナス2.1%と先月から続き下落だが下げ幅は縮小。やや上昇機運を覚える。

個別項目を見ると、前月比では食肉がマイナス0.3%と唯一のマイナスで、他はすべてプラス。前年同月比では乳製品以外はすべてマイナス値を示していることから、「乳製品は上昇継続、それ以外はここしばらくは下落基調にあったものの最近になって上昇に転じつつある」と読むことが出来る。実際グラフを見返しても、その状況解説でさほどずれは無い。特に上記でも記した通り、乳製品の上昇ぶりが気にかかる。

乳製品の高騰化理由の解説に目を通すと「北アフリカ、中東(SMP:脱脂粉乳とWMP:全脂粉乳)、ロシア(特にバター)の需要は引き続き強いまま。西ヨーロッパの温暖な気候は今後の供給量の増加に期待を持たせるものの、オセアニアでの輸出制限は継続中。このため価格が上昇することとなった」と解説している。

農林水産省のレポートで現状を確認


今記事で毎月精査している【農林水産省の海外食料需給レポート】の最新版にあたる2014年2月分にチェックを入れて、FAOの動向の補完を行う。2月28日発表の最新レポートによれば、国際的な穀物需給に関して、小麦・とうもろこし・大麦・米で生産量が増加し、史上最高の量(24.4億トン)となる見込み(前月から変わらず)。消費量も小麦・とうもろこし・大麦・米の全項目で増加し、こちらも史上最高の量となる見込み(24.1億トン、前月から0.1億トンの増加)が続いている。そして期末在庫量見込みは生産量が消費量を上回るので、上昇する傾向を示している(4億7990万トン、生産量比で19.9%(期末在庫量÷消費予想値で計算))。

今回月はやや在庫率・在庫量が減少したが、これは消費量の増加に伴うもの。もっとも昨今では昨年の異常気象に伴う凶作の反動を受け、作付け面積が増加したことによる供給量の増加などをうけ、在庫量そのものは高い水準にある。ただし消費量の増加は継続的で、特に同じ人口に対してより多くの穀物を消費する飼料用の消費が増加していることから、気候変動や大規模な災害、疫病の発生によるリスクを考慮すれば、備蓄量の漸増が望まれる。

乳製品価格の値上げで肌身に覚える人も多い通り、食料品の国際価格における変動は、国内の商品価格にも影響を与える。今後とも気象情報や景気動向と共に、農作物の出来・不出来には十分留意したいところである。


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