自宅の方が楽、料金が高い、映画館が無い…なぜ映画館で映画を観ないのか、その理由をグラフ化してみる(2015年)(最新)

2015/03/01 14:05

映画にまつわる市場動向として、昨今話題に登るのが「映画離れ」と呼ばれるもの。しかしライフメディアのリサーチバンクが2015年2月25日に発表した、映画館に関する調査を見ていくと、厳密には「映画離れ」と「映画館離れ」の2つが同時に起きているのが分かる。さらに後者では、「料金が高い」以上に「自宅で観る方が楽」との理由で映画館への来館を避ける人が多いなど、世間一般に良く言われる事情以上に多様な理由があり、その結果として「映画(館)離れ」が起きていることがうかがえる(【発表リリース:映画に関する調査】)。

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今調査は2015年2月13日から18日に渡ってインターネット経由で、10代から60代の男女に対して行われている。有効回答数は1200件。男女比、10歳区切りの世代構成比は均等割り当て。

先行する別途記事にある通り、今調査対象母集団ではテレビや映画館への来館も合わせ、映画そのものを観ない人は増加傾向にあり、直近2015年では13.6%に達している。

↑ 映画を観る頻度(観賞方法は問わず)(「映画は観ない」人の割合)(再録)
↑ 映画を観る頻度(観賞方法は問わず)(「映画は観ない」人の割合)(再録)

また、映画を観る人のうち、映画館には行かない人も毎年増加している。さらに映画館に行く人であっても、映画館への来館頻度は減少傾向にある。直近2015年ではやや復調の動きを見せたが、これがトレンドの転換を意味するか否か、現状では判断は難しい。

↑ 映画館で映画を観る頻度(映画は観ない人以外)(再録)
↑ 映画館で映画を観る頻度(映画は観ない人以外)(再録)

「映画離れ」とは冒頭で触れた通り「映画そのもの離れ」と「映画館離れ」の2つのルートで起きている。そして「映画館離れ」はさらに、映画館そのものに足を運ばなくなる人(映画そのものはテレビなどで鑑賞する)、映画館に行くには違いないが来館頻度が減る、合計で2パターンで起きていることになる。

それではなぜ「映画館離れ」が起きているのか。映画を観るが映画館には行かない人(映画そのものが好きでは無くなったので、映画館に行かなくなった人では無い)に聞いた結果を、経年変化で確認したのが次のグラフ。映画館に行くが頻度を減らしている人は回答に加わっていないが、理由にはさほど大きな違いは無いだろう。

↑ なぜ映画館に行かないのか(映画は観るが映画館には行かない人限定)
↑ なぜ映画館に行かないのか(映画は観るが映画館には行かない人限定)

大きな理由は2つ、「自宅で観る方が楽」「観賞料金が高い」。前者はテレビの大型化やスマートテレビ化で、自宅テレビによる映画鑑賞の環境が整備されたことが大きい。映画館で映画を鑑賞するとなると、上映時間に合わせる形で足を運び、周囲に気遣いながら鑑賞しなければならない。大画面と臨場感が最大のメリットだが、それすら自宅との差異はさほどのものではなくなりつつある。

映画館の観賞料金は値上げされているわけではないものの、娯楽の多様化に伴う相対的な意味での割高感に加え、自宅の環境整備で、対価分の価値を見いだせなくなったところが大きい。昔なら「大画面で迫力ある最新作の映画なら1800円出しても良い。自宅のテレビではいつ放映されるか分からないし画面も小さいので魅力に欠ける」だったのが、今では「ちょっと待てば自宅で大迫力の画面で観賞できるから、わざわざ1800円を出すほどの価値は無い」と判断されてしまう次第である。

経年で理由の変化を詳しく見ていくと、具体的な全項目で回答率が減り、「特に理由なし」のみが上昇している。前年2013年では大きく跳ね上がった「自宅で観る方が楽」「観賞料金が高い」も値を10%ポイント前後減らしており、多数要件で「映画は好むが映画館に行くのには及ばない」とする考えの人が減っていることがうかがえる。見方を変えると「映画を観る」という娯楽そのものに、映画館での鑑賞と自宅テレビでの観賞の差異をあまり感じなくなっているため、特段理由付けをする必要すら覚えなくなっているのかもしれない。

もっとも「自宅で観る方が楽」「観賞料金が高い」が回答率の半数近くを占めていることに変わりはない。映画というコンテンツそのものを否定するものでは無く、映画館の存在意義が薄れつつあることに対する反応と考えられることから、映画関係者には複雑な結果に見えるに違いない。



映画館での映画鑑賞は何物にも代えがたい魅力がある。それは疑う余地は無い。今調査では別項目で問われているデジタル3D映画もその一つ。一方で映画館の魅力は「相対的に」その立ち位置を下げつつあるのも否定できない。

高性能テレビの普及やスマートテレビ化、インターネットによる動画配信、消費者の趣味趣向の多様化など、変化する環境に、どこまで映画(館)は抗えるか。あるいは変化を認めた上でそれに乗るような仕組みを考えるか。大規模な戦略転換、発想の変換が求められている状況にあるのは間違いあるまい。


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