家族・知人との連絡はほぼ全員…新興国のソーシャルメディア利用状況を探る

2014/02/28 15:30

特定対象者への意志の疎通や不特定多数への表明、画像や映像の掲載、各種ニュースの取得など、インターネットにおける情報関連のさまざまなサービスをまとめて利用できるのがソーシャルメディアの長所の一つ。それ故に、インターネットが使える人の多くがソーシャルメディアを活用し、それらの機能を用いている。今回はアメリカの大手調査機関【Pew Research Center】が2014年2月13日に発表した、新興国の携帯電話(一般携帯電話とスマートフォン双方を含む)事情の調査報告書【Emerging Nations Embrace Internet, Mobile Technology】を基に、新興国のソーシャルメディア利用者における主な機能の利用状況を確認していくことにする。

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連絡や音楽・映画の感想披露はどの国も多め


今調査は新興国24か国の18歳以上の人、それぞれ800人から3200人程度を対象に、対面調査方式で2013年3月から5月に渡って行われている。原則として各国の大人を代表する抽出が行われているが、一部国では特定地域の除外がなされている。

まずはソーシャルメディアにおいてもっとも基本的な、知り合いとの意志疎通、そして雑談としてはもっともメジャーな音楽・映画に関する感想の共有をするか否かについて。例えば週末のハイキングに関するスケジューリングについて知人へソーシャルメディア経由で確認をしたり、先日公開された新作映画の感想を書き込み、他人に披露をすると共に同意を求めるといった具合である。

↑ ソーシャルメディアで次のことをしているか(ソーシャルメディア利用者限定、2013年3月-5月)
↑ ソーシャルメディアで次のことをしているか(ソーシャルメディア利用者限定、2013年3月-5月)

携帯電話全般の保有者に占めるSMS(ショートメッセージサービス)の利用率が極めて高い(今調査結果全体では携帯電話保有者の78%)のと同様に、ソーシャルメディア利用者における家族・知人との連絡に利用する人の割合も高い。中央値は96%。多くの国で98%から99%という、事実上「全員」と見なしても良い回答が得られている(レバノンでは言葉通り「全員」)。新興国でもソーシャルメディアは連絡用ツールとして重宝されているのが分かる。

他方、一般的な雑談として代表される「音楽や映画の感想を共有」では、中央値は73%。国による差異が見られる。特に低いのはレバノンの47%、エルサルバドルの65%。特に報告書ではこの理由について言及していないが、レバノンでは「家族や知人との連絡」で高い値を示していることから、連絡を取り合うのが重要・先行事項で、音楽・映画の感想を語る余裕が無いのかもしれない。

それらの国々を除けば、概して回答率は7割から8割と高め。雑談的な形で意見を述べたり、コメントをするといった意志疎通がなされている。

政治や宗教のやり取りは?


同じ意志疎通のネタでも、音楽や映画では無く、個人の主張度合いが強く、対立することも多い政治や宗教ネタではどのような傾向が見られるだろうか。まずは宗教関連。

↑ ソーシャルメディアで宗教に関する意見を共有している(ソーシャルメディア利用者限定、2013年3月-5月)
↑ ソーシャルメディアで宗教に関する意見を共有している(ソーシャルメディア利用者限定、2013年3月-5月)

ロシア、中国の低さと、中東・アフリカ地域の高さが目に留まる。中央値は43%だが、その周辺に集約するのではなく、多い国と少ない国に二極化している雰囲気ではある。宗教そのものに対する関心の度合いが、そのままソーシャルメディア上での意見交換の度合いに反映されているようだ(一部の国では法的リスクを避けるために意見をしない、という事情もあるのだろうが)。

他方、政治関連となると宗教よりは活発な利用状況が見受けられる。そしてこれもまた、中東とアフリカで多用されている。

↑ ソーシャルメディアで政治に関する意見を共有している(ソーシャルメディア利用者限定、2013年3月-5月)
↑ ソーシャルメディアで政治に関する意見を共有している(ソーシャルメディア利用者限定、2013年3月-5月)

宗教関連ではほとんど利用していなかったレバノンだが、政治関係は今調査対象国ではもっとも高い72%という値を示している。同国の政治に対する関心度の高さが分かる(。もっとも同国の現状からは当然かもしれない)。

中東諸国ではそのレバノンだけでなく、トルコを除きいずれも6割以上の利用率を示している。ここ数年来地中海沿岸諸国に政治的変動と混乱を巻き起こしている「ジャスミン革命」の機運が、ソーシャルメディアを介した情報交換、議論の中で高まりを見せたことをうかがわせる値ではある。



新興国のソーシャルメディアの利用普及は、インフラの整備やコスト上の問題から、主に携帯電話を介して進んでいく。機動力が高い端末なだけに、リアルタイムでの情報のやり取りも活発なものとなり、スピーディーな、時として暴走に類した話の流れが形成される。

今後さらに携帯電話、特にスマートフォンの所有者が増え、ソーシャルメディア利用者が増加し、意見のやり取りをする人が増えることで、これまでそのような手段を持たない人の多かった新興国ではいかなる社会的変化が起きていくのか。過去には無かった状況には違いなく、気になるところではある。


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