ラジオの伸長は情報・通信が大きく貢献…4マス別個の業種別広告費推移(最新)

2018/02/27 05:11

2018-0225先行記事【総広告費は6兆3907億円・紙媒体は新聞と雑誌揃ってマイナス、インターネットは1割強の伸び…過去30年あまりの媒体別広告費動向(最新)】にて解説の通り、電通は2018年2月22日付で日本の広告費に関する調査報告書を発表した。これには日本の広告市場動向が把握できる数多くのデータが盛り込まれている。今回はそのデータを用い、いわゆる4大従来型メディア(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ。4マス)に対する、各クライアント業種別の広告費について、前年比を調べることにする。各業種がそれぞれの媒体に与えている・認識している影響力、ウエイトの変化などが把握できよう(【発表リリース:2017年 日本の広告費】)。

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2017年における媒体別広告費前年比は次の通り。インターネットが堅調、4大従来型メディアはラジオがプラス、紙媒体とテレビは不調、従来型は大よそ軟調との結果が出ている。

↑ 2017年媒体別広告費前年比(再録)
↑ 2017年媒体別広告費前年比(再録)

今調査報告書では広告出稿元(クライアント)を21業種に区分し、4大従来型メディア(「テレビメディア」においては衛星メディア関連は除く)それぞれに対する出稿広告費、各メディアが受領している出稿額全体に対する構成比、そして前年比の一覧が掲載されている。まずは「新聞」についてその動きに関するグラフを生成し、状況を確認する。なお次以降4媒体のグラフは、すべて縦軸の仕切りを同じものとし、状況の比較がし易いようにしている。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2017年、前年比)(新聞)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2017年、前年比)(新聞)

紙媒体として軟調さが際立つ「新聞」だが、その内情としてほとんどの業種でマイナスを示しているのが要因であることが把握できる。最大のマイナス幅を示したのは「家電・AV機器」で1/4を超えている。他にも「精密機器・事務用品」「自動車・関連品」「金融・保険」「外食・各種サービス」が1割超えの下げ幅。情報の速報性へのウェイトが高い業種が多々見受けられる。「エネルギー・素材・機械」「薬品・嗜好品」「官公庁・各種団体」はプラスだが、その幅は限定的。

続いて「雑誌」。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2017年、前年比)(雑誌)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2017年、前年比)(雑誌)

全体の下げ幅が「新聞」よりも大きいだけに、項目別でも一層の状況の悪さが印象的。最大の下げ幅こそ「エネルギー・素材・機械」のマイナス17.1%で済んでいるが、多数の業種が1割を超えた下げ幅を計上している。プラスは「官公庁・団体」の1業種だけ。

紙媒体との観点では親和性が高いはずの「出版」(新聞、雑誌、書籍、語学教材、他の刊行物)ですらマイナス9.3%と大きく下げているのは、何とも皮肉な結果ではある(無論一部は同一コンテンツを用いたインターネット媒体上に流れているのだろうが、それでも紙媒体としての雑誌上の広告が減ったことに違いは無い)。

次は「ラジオ」。4大従来型メディアの中では2017年において唯一前年比でプラスを計上している。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2017年、前年比)(ラジオ)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2016年、前年比)(ラジオ)

中には「ファッション・アクセサリー」のように1/4超えの下げ幅を示している業種もあるが、マイナス幅の業種は限定的。プラスを計上した業種の多さが目立つ。しかも1割超えの上げ幅を示したのは5業種に及ぶ。「情報・通信」の突出した上昇は報告書でも言及している通り、ラジコの利用者増加やスマートスピーカーとの連動性により、業種との連動性の高さに着目されるようになったのが要因と考えられる。

最後は「テレビ」。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2017年、前年比)(テレビ)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2017年、前年比)(テレビ)

最大の下げ幅を示したのは「官公庁・団体」のマイナス26.1%。最大の上げ幅は「案内・その他」のプラス15.3%。下げた業種数が多く、上げた業種だけでは全体のけん引を仕切れなかった感がある。

4マスの中では一番広範囲への媒体力・告知効果が高いのが「テレビ」。各商品・サービスとの相性のよし悪しもあるが、各業種の勢いが多分に表れているのが興味深い。



文中でも触れているが今回のグラフは、「各媒体を対象とした」「個々の業種別の」「広告費の前年比」。下げ率は同じでも業種が出稿している額面が異なれば、該当媒体に与える金額面の影響度合いは異なる。元々の額面が1ケタ違えば、前年比では同じでも、減った額・増えた額は1ケタ異なる。当然、広告出稿を引き受ける媒体側に与える影響も違ってくる。

そこで参考値として、「前年比の比率」に「2017年における各媒体の金額上の構成比」を乗じ、年間変移における影響度的指数を算出したのが次のグラフ。値が大きいほど、その業種の広告費に対して大きな影響を与えたことになる。例えば前年比が30%のプラスでも、その業種が出稿する広告の総額が対象メディアにおいて0.1(%)しかなければ、影響度合いは0.3×0.1で0.03しか無い。逆に伸び率が3%しか無くとも、総額比率が10.0(%)あれば、0.03×10=0.30となり、10倍もの影響度合いを持つことになる。

↑ 業種別・2016年-2017年の広告費変移が与えた影響度(前年比×2017年の構成比)
↑ 業種別・2016年-2017年の広告費変移が与えた影響度(前年比×2017年の構成比)

前年比では大きな伸びを示した「ラジオ」の「情報・通信」が、額面上で与えた影響も大きかったことが分かる。同時に上げ幅は1割台だった「食品」も、全体のプラス化に大きく貢献したようだ。

他方「雑誌」の全体としてのマイナスには「化粧品・トイレタリー」や「ファッション・アクセサリー」の減少が大きく響いたみともうかがえる。「テレビ」の全体の下げが限定的だったのは「不動産・住宅設備」によるところが大きい。

ともあれ、各媒体における各種業種への報道姿勢と、今件影響度双方の変化度合いを比較すると、色々と面白い連動性が見えてくる、かもしれない。


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