テレビへは情報・通信や交通・レジャーが大きく貢献…4マス別個の業種別広告費推移(2016年)(最新)

2016/02/28 11:49

先日【総広告費は6兆1710億円・インターネットは1割強の伸び…過去30余年の媒体別広告費動向(2016年)(最新)】にて解説の通り、電通は2016年2月23日付で日本の広告費に関する調査報告書を発表した。これには日本の広告市場動向が把握できる数多くのデータが盛り込まれている。今回はそのデータを用い、いわゆる従来型4マス(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ)に対する、各クライアント業種別の広告費について、前年比を調べることにする。各業種がそれぞれの媒体に与えている・認識している影響力、ウエイトの変化などが把握できよう(【発表リリース:2015年 日本の広告費】)。

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2015年における媒体別広告費前年比は次の通り。インターネットが堅調、従来型4マスは大よそ不調、従来型はやや軟調、そして総じて紙媒体が強めの軟調との結果が出ている。

↑ 2015年媒体別広告費前年比(再録)
↑ 2015年媒体別広告費前年比(再録)

今調査報告書では広告出稿元(クライアント)を21業種に区分し、従来型4マス(「テレビメディア」においては衛星メディア関連は除く)それぞれに対する出稿広告費、各メディアが受領している出稿額全体に対する構成比、そして前年比の一覧が掲載されている。まずは「新聞」についてその動きに関するグラフを生成し、状況を確認する。なお次以降4媒体のグラフは、すべて縦軸の仕切りを同じものとし、状況の比較がし易いようにしている。そのため一部業種では上下幅を超えた棒グラフが生成されてしまっている部分がある。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2015年、前年比)(新聞)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2015年、前年比)(新聞)

4マスでは一番下げ幅の大きい「新聞」だが、その内情としてほとんどの業種でマイナスを示しているのが要因であることが把握できる。最大のマイナス幅を示したのは「家電・AV機器」、ほぼ同率で「エネルギー・素材・機械」。それぞれ前年比で約2割の減少。プラスを計上したのは「食品」と「金融・保険」の2業種のみ。グラフのプラス領域が寂しい状況なのが印象的。

続いて「雑誌」。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2015年、前年比)(雑誌)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2015年、前年比)(雑誌)

状況は「新聞」とさほど変わらずで、プラス業種は「精密機器・事務用品」「交通・レジャー」「外食・各種サービス」の3つのみ。ただしマイナス領域にあるグラフの面積が少なく、「新聞」よりはまだ下げ幅が少ない様子がうかがえる。最大の下げ幅を示したのは「案内・その他」でマイナス20.7%。

紙媒体との観点では親和性が高いはずの「出版」(新聞、雑誌、書籍、語学教材、他の刊行物)の値が前年から変わらず(金額は前年と同一の25.5億円)なのは皮肉な結果なのか、それとも業界そのものの閉塞感を示しているのか。

次は「ラジオ」。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2015年、前年比)(ラジオ)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2015年、前年比)(ラジオ)

紙媒体の「新聞」「雑誌」と比べると上下のばらけ感があり、安心さを覚えるものの、ぱっと見でもプラス領域よりもマイナス領域の方が棒の長さ=面積が大きく、全体としてマイナスとなってしまうのも理解はできる。プラス業種でもっとも大きなものは「ファッション・アクセサリー」でプラス14.7%、次いで「出版」の9.2%。他方最大マイナス値を示したのは「案内・その他」でマイナス21.9%。「案内・その他」は次の「テレビ」で大きなプラスが計上されており、他3メディアの分が多分にテレビへと吸収されたような雰囲気を感じる。

最後は「テレビ」

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2015年、前年比)(テレビ)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2015年、前年比)(テレビ)

「案内・その他」が群を抜いて大きく、プラス44.2%。金額は59.7億円でテレビ全体に占める割合は1%にも満たないが、4割以上の上昇を示した事に事実に変わりはない。他には「エネルギー・素材・機械」「精密機器・事務用品」「交通・レジャー」「官公庁・団体」が1割超えの増加。他方、「自動車・関連品」「趣味・スポーツ用品」は1割以上の減少。とりわけ「趣味・スポーツ」は2014年においてもマイナス8.7%と小さからぬ下げ幅を計上しており、気になる動きではある。

4マスの中では一番媒体力・告知効果が高いのが「テレビ」。各商品・サービスとの相性の良し悪しもあるが、各業種の勢いが多分に表れているのが興味深い。



文中でも触れているが今回のグラフは、「各媒体を対象とした」「個々の業種別の」「広告費の前年比」。下げ率は同じでも業種が出稿している額面が異なれば、該当媒体に与える金額面の影響度合いは異なる。元々の額面が1ケタ違えば、前年比では同じでも、減った額・増えた額は1ケタ異なる。当然、広告出稿を引き受ける媒体側に与える影響も違ってくる。

そこで参考値として、「前年比の比率」に「2015年における各媒体の金額上の構成比」を乗じ、年間変移における影響度的指数を算出したのが次のグラフ。値が大きいほど、その業種の広告費に対して大きな影響を与えたことになる。例えば前年比が30%のプラスでも、その業種が出稿する広告の総額が対象メディアにおいて0.1(%)しかなければ、影響度合いは0.3×0.1で0.03しかない。逆に伸び率が3%しかなくとも、総額比率が10.0(%)あれば、0.03×10=0.30となり、10倍もの影響度合いを持つことになる。

↑ 業種別・2014年-2015年の広告費変移が与えた影響度(前年比×2015年の構成比)
↑ 業種別・2014年-2015年の広告費変移が与えた影響度(前年比×2015年の構成比)

「テレビ」ではグラフ外に飛び出るほどの上昇ぶりを示した「案内・その他」も、額面上で与えた影響はほんのわずかでしかなく、むしろ「情報・通信」「交通・レジャー」の上げ度合の方が大きく貢献しているのが分かる。

また「新聞」では「食品」の上昇が多分に後押しをしたものの、「化粧品・トイレタリー」「流通・小売業」「交通・レジャー」と複数の業種で足を引っ張られたこと、「ラジオ」では「出版」が大きな後押しをしたが「情報・通信」が大きなマイナス要因になったことがうかがえる。

ともあれ、各媒体における各種業種への報道姿勢と、今件影響度双方の変化度合いを比較すると、色々と面白い連動性が見えてくる、かもしれない。


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