新聞や雑誌へはほとんどが前年比マイナス…4マス別個の業種別広告費推移(最新)

2021/03/01 05:26

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2021-0228先行記事【総広告費は6兆1594億円・4マス揃ってマイナス、インターネットは5.9%の伸び…過去30年あまりの媒体別広告費動向(最新)】にて解説の通り、電通は2021年2月25日付で日本の広告費に関する調査報告書を発表した。これには日本の広告市場動向が把握できる数多くのデータが盛り込まれている。今回はそのデータを用い、いわゆる4大従来型メディア(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ。4マス)に対する、各クライアント業種別の広告費について、前年比を調べることにする。各業種がそれぞれの媒体に与えている・認識している影響力、ウエイトの変化などが把握できよう(【発表リリース:2020年 日本の広告費】)。

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2020年における媒体別広告費前年比は次の通り。インターネット広告が堅調、4大従来型メディアとプロモーションメディア広告はすべてマイナスとの結果が出ている。

↑ 媒体別広告費(電通推定、前年比)(2020年)(再録)
↑ 媒体別広告費(電通推定、前年比)(2020年)(再録)

今調査報告書では広告出稿元(クライアント)を21業種に区分し、4大従来型メディア(テレビメディアにおいては衛星メディア関連は除く。グラフでは地上波テレビと表記)それぞれに対する出稿広告費、各メディアが受領している出稿額全体に対する構成比、そして前年比の一覧が掲載されている。

まずは新聞についてその動きに関するグラフを作成し、状況を確認する。なお次以降4媒体のグラフは、すべて縦軸の区分を同じものとし、状況の比較がし易いようにしている。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(新聞、前年比)(2020年)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(新聞、前年比)(2020年)

雑誌とともに軟調さが際立つ新聞だが、その内情としてほとんどの業種でマイナスを示しているのが要因であることが把握できる。最大のマイナス幅を示したのは交通・レジャーで5割近い下げ幅。他にも精密機器・事務用品と自動車・関連品が3割台の下げ幅を示している。新型コロナウイルス流行で景気が悪くなった業種が広告を差し控えた実情がよく分かる動きとなっている。プラスなのは情報・通信のプラス7.9%のみ。

続いて雑誌。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(雑誌、前年比)(2020年)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(雑誌、前年比)(2020年)

全体の下げ幅が新聞よりも大きいこともあり、業種別でも一層の状況の悪さが印象的。最大の下げ幅を示しているのは交通・レジャーでマイナス42.2%。他にも3割台の下げ幅の業種が複数見受けられる。家電・AV機器のみがプラスというのも寂しい形。

紙媒体との観点では親和性が高いはずの出版(新聞、雑誌、書籍、語学教材、他の刊行物)ですらマイナス15.1%と大きく下げているのは、何とも皮肉な結果ではある。無論一部は同一コンテンツを用いたインターネット媒体上に流れているのだろうが、それでも紙媒体としての雑誌上の広告が減ったことに違いはない。

次はラジオ。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(ラジオ、前年比)(2020年)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(ラジオ、前年比)(2020年)

中には出版のように4割を超す下げ幅を示している業種もあるが、プラスの業種も多い。家電・AV機器のプラス11.4%が最大の上げ幅の業種。他に化粧品・トイレタリー、情報・通信、金融・保険がプラス。

最後は地上波テレビ。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(地上波テレビ、前年比)(2020年)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(地上波テレビ、前年比)(2020年)

プラス業種数はラジオよりも少ない3つ。しかし上げ幅は官公庁・団体のプラス36.1%や案内・その他のプラス30.4%と大きなものが目立つ。他方最大の下げ幅を示したのは精密機器・事務用品のマイナス59.8%。ほぼ6割も減っていることになる。他にも交通・レジャーがマイナス43.4%と大きな下げ幅を示し、全体でもマイナス11.3%となってしまうのも仕方がないかな、という感はある。

4マスの中では一番広範囲への媒体力・告知効果が高いのが地上波テレビ。各商品・サービスとの相性のよし悪しもあるが、各業種の勢いが多分に表れているのが興味深い。精密機器・事務用品と交通・レジャーが大きな下げ幅を示しているのは、他のメディア同様に新型コロナウイルス流行の影響だろう。



文中でも触れているが今回のグラフは、「各媒体を対象とした」「個々の業種別の」「広告費の前年比」。下げ率は同じでも業種が出稿している額面が異なれば、該当媒体に与える金額面の影響度合いは異なる。元々の金額が1ケタ違えば、前年比では同じでも、減った額・増えた額は1ケタ異なる。当然、広告出稿を引き受ける媒体側に与える影響も違ってくる。

そこで参考値として、「前年比の比率」に「2020年における各媒体の金額上の構成比」を乗じ、年間変移における影響度的指数を算出したのが次のグラフ。値が大きいほど、その業種の広告費に対して大きな影響を与えたことになる。例えば前年比が30%のプラスでも、その業種が出稿する広告の総額が対象メディアにおいて0.1(%)しかなければ、影響度合いは0.3×0.1で0.03しかない。逆に伸び率が3%しかなくとも、総額比率が10.0(%)あれば、0.03×10=0.30となり、10倍もの影響度合いを持つことになる。

↑ 年間の広告費変移が与えた影響度(前年比×2020年の構成比、業界別)(2020年)
↑ 年間の広告費変移が与えた影響度(前年比×2020年の構成比、業界別)(2020年)

新聞では際立った影響を与えた業種は交通・レジャー。雑誌では化粧品・トイレタリー、ファッション・アクセサリー、交通・レジャーの下げ方が大きな影響を与えている。ラジオでは交通・レジャーと外食・各種サービス、テレビでは交通・レジャーの下げ方の影響が極めて大きい。新型コロナウイルス流行で大きなダメージを受けた業界が広告費を大きく削減し、それが各メディアに小さからぬ影響を与えている実情がよく分かる。

ともあれ、各媒体における各種業種への報道姿勢と、今件影響度双方の変化度合いを比較すると、色々と面白い連動性が見えてくる、かもしれない。


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