テレビの躍進はエネルギー・素材・機械や情報・通信が大きく貢献…4マス別個の業種別広告費推移(2017年)(最新)

2017/03/01 05:22

先日【総広告費は6兆2880億円・紙媒体は新聞と雑誌揃ってマイナス、インターネットは1割強の伸び…過去30余年の媒体別広告費動向(2017年)(最新)】にて解説の通り、電通は2017年2月23日付で日本の広告費に関する調査報告書を発表した。これには日本の広告市場動向が把握できる数多くのデータが盛り込まれている。今回はそのデータを用い、いわゆる従来型4マス(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ)に対する、各クライアント業種別の広告費について、前年比を調べることにする。各業種がそれぞれの媒体に与えている・認識している影響力、ウエイトの変化などが把握できよう(【発表リリース:2016年 日本の広告費】)。

スポンサードリンク


2016年における媒体別広告費前年比は次の通り。インターネットが堅調、従来型4マスはラテが順調、紙媒体は不調、従来型はやや軟調との結果が出ている。

↑ 2016年媒体別広告費前年比(再録)
↑ 2016年媒体別広告費前年比(再録)

今調査報告書では広告出稿元(クライアント)を21業種に区分し、従来型4マス(「テレビメディア」においては衛星メディア関連は除く)それぞれに対する出稿広告費、各メディアが受領している出稿額全体に対する構成比、そして前年比の一覧が掲載されている。まずは「新聞」についてその動きに関するグラフを生成し、状況を確認する。なお次以降4媒体のグラフは、すべて縦軸の仕切りを同じものとし、状況の比較がし易いようにしている。そのため一部業種では上下幅を超えた棒グラフが生成されてしまっている部分がある。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2016年、前年比)(新聞)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2016年、前年比)(新聞)

4マスでは「雑誌」と共に軟調な「新聞」だが、その内情としてほとんどの業種でマイナスを示しているのが要因であることが把握できる。最大のマイナス幅を示したのは「精密機器・事務用品」で2割強の減。やや下げ幅は縮小しているが「自動車・関連品」「情報・通信」「家電・AV機器」「家庭用品」などが付継ぐ。それぞれ1割を超える下げ幅。プラスを計上したのは「食品」「流通・小売業」「官公庁・団体」の3業種のみ。グラフのプラス領域が寂しい状況なのが印象的。

続いて「雑誌」。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2016年、前年比)(雑誌)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2016年、前年比)(雑誌)

状況は「新聞」よりよさげに見える。プラス業種は「エネルギー・素材・機械」「家電・AV機器」「不動産・住宅設備」「流通・小売業」「官公庁・団体」「案内・その他」。特に「案内・その他」は34.8%のプラス幅。しかしマイナス圏にある業種では軒並み1割2割は当たり前な下げ幅を示しており、全体としてはもっとも大きな下げ幅となる9.0%を計上する結果となった。

紙媒体との観点では親和性が高いはずの「出版」(新聞、雑誌、書籍、語学教材、他の刊行物)の値がマイナス15.3%と大きく下げているのは、何とも皮肉な結果に違いない(無論一部は同一コンテンツを用いたインターネット媒体上に流れているのだろうが、それでも紙媒体としての雑誌上の広告が減ったことに違いは無い)。

次は「ラジオ」。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2016年、前年比)(ラジオ)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2016年、前年比)(ラジオ)

今回年ではラテは双方ともプラスを計上していることもあり、安定感のある上げ方を見せている。マイナス領域にあるのは「化粧品・トイレタリー」「ファッション・アクセサリー」「金融・保険」「交通・レジャー」「官公庁・団体」「教育・医療サービス・宗教」「案内・その他」。それ以外はプラス。1割以上の下げ幅の業種は3つだが、1割以上の上げ幅も2つ確認できる。

最後は「テレビ」

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2016年、前年比)(テレビ)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(2016年、前年比)(テレビ)

「エネルギー・素材・機械」が群を抜いた伸び率を示し、プラス63.3%。下げた業種もそれなりにあるが、1割を超えるものは2つしかなく、上げた業種も数多い。「趣味・スポーツ」は前年の2015年、その前の2014年も小さからぬ下げ方を見せたが、今回年はプラスに転じることとなった。

4マスの中では一番広範囲への媒体力・告知効果が高いのが「テレビ」。各商品・サービスとの相性の良し悪しもあるが、各業種の勢いが多分に表れているのが興味深い。



文中でも触れているが今回のグラフは、「各媒体を対象とした」「個々の業種別の」「広告費の前年比」。下げ率は同じでも業種が出稿している額面が異なれば、該当媒体に与える金額面の影響度合いは異なる。元々の額面が1ケタ違えば、前年比では同じでも、減った額・増えた額は1ケタ異なる。当然、広告出稿を引き受ける媒体側に与える影響も違ってくる。

そこで参考値として、「前年比の比率」に「2016年における各媒体の金額上の構成比」を乗じ、年間変移における影響度的指数を算出したのが次のグラフ。値が大きいほど、その業種の広告費に対して大きな影響を与えたことになる。例えば前年比が30%のプラスでも、その業種が出稿する広告の総額が対象メディアにおいて0.1(%)しかなければ、影響度合いは0.3×0.1で0.03しかない。逆に伸び率が3%しかなくとも、総額比率が10.0(%)あれば、0.03×10=0.30となり、10倍もの影響度合いを持つことになる。

↑ 業種別・2015年-2016年の広告費変移が与えた影響度(前年比×2016年の構成比)
↑ 業種別・2015年-2016年の広告費変移が与えた影響度(前年比×2016年の構成比)

「テレビ」ではグラフ外に飛び出るほどの上昇ぶりを示した「エネルギー・素材・機械」だが、額面上で与えた影響もそれなりにあったことが分かる。ただしその影響度合いは前年比では1割にも届かなかった「情報・通信」と同程度。4マスでは一番大きな前年比の伸びを示した「ラジオ」だが、主に「外食・各種サービス」や「出版」が貢献したことがうかがえる。

他方4マスで最大の下げ幅を示した「雑誌」は「ファッション・アクセサリー」が大きく足を引っ張ったこと、「飲料・嗜好品」も重しになっていること、「新聞」では「情報・通信」や「交通・レジャー」が大きなマイナス要因であったことが分かる。

ともあれ、各媒体における各種業種への報道姿勢と、今件影響度双方の変化度合いを比較すると、色々と面白い連動性が見えてくる、かもしれない。


■関連記事:
【ネット上の情報、新聞や雑誌と同じように信用できる?】
【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる】
【世界的な広告や公式情報への信頼度をグラフ化してみる】
【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー