前年比ではプラスが多い…4マス別個の業種別広告費推移(最新)

2022/02/27 03:00

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2022-0225先行記事【総広告費は6兆7998億円・4マス揃ってプラス、インターネットは21.4%の伸び…過去30年あまりの媒体別広告費動向(最新)】にて解説の通り、電通は2022年2月24日付で日本の広告費に関する調査報告書を発表した。これには日本の広告市場動向が把握できる数多くのデータが盛り込まれている。今回はそのデータを用い、いわゆる4大従来型メディア(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ。4マス)に対する、各クライアント業種別の広告費について、前年比を調べることにする。各業種がそれぞれの媒体に与えている・認識している影響力、ウエイトの変化などが把握できよう(【発表リリース:2021年 日本の広告費】)。

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2021年における媒体別広告費前年比は次の通り。4大従来型メディア(マスコミ四媒体)とインターネット広告が堅調、プロモーションメディア広告は軟調との結果が出ている。

↑ 媒体別広告費(電通推定、前年比)(2021年)(再録)
↑ 媒体別広告費(電通推定、前年比)(2021年)(再録)

今調査報告書では広告出稿元(クライアント)を21業種に区分し、4大従来型メディア(テレビメディアにおいては衛星メディア関連は除く。グラフでは地上波テレビと表記)それぞれに対する出稿広告費、各メディアが受領している出稿額全体に対する構成比、そして前年比の一覧が掲載されている。

まずは新聞についてその動きに関するグラフを作成し、状況を確認する。なお次以降4媒体のグラフは、すべて縦軸の区分を同じものとし、状況の比較がし易いようにしている。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(新聞、前年比)(2021年)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(新聞、前年比)(2021年)

雑誌とともに軟調さが際立つ新聞だが、2021年では少なからぬ業種でプラスの値が出ている。もっともこれは、比較対象となる前年2020年が新型コロナウイルスの流行で大きなマイナスを示したことの反動によるところが大きい。

最大のマイナス幅を示したのは自動車・関連品でマイナス13.4%。次いでエネルギー・素材・機会、案内・その他などが大きめの下げ幅。とはいえ、1割台の下げ幅は自動車・関連品のみである。他方、プラス幅では1割台の上げ幅を示した業種が6業種と、それなりな盛況ぶりがうかがえる。

続いて雑誌。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(雑誌、前年比)(2021年)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(雑誌、前年比)(2021年)

プラスの業種が多い理由は新聞と同じく、比較対象となる前年2020年が新型コロナウイルスの流行で大きなマイナスを示したことの反動。それでもマイナス幅を示したのは6業種のみで、新聞以上に堅調なようにも見えるが、全体ではプラス0.1%にとどまっており、かろうじてプラスとなったのが実情。これは化粧品・トイレタリーやファッション・アクセサリーのような、高額の業種が大きく下げたのが原因である。

紙媒体との観点では親和性が高い出版(新聞、雑誌、書籍、語学教材、他の刊行物)はプラス16.1%と大きなプラス幅。出版の広告のうち少なからずは、同一コンテンツを用いたインターネット媒体上に流れているのだろうが、それでも紙媒体としての雑誌上の広告が増えたのは好ましい話ではある。

次はラジオ。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(ラジオ、前年比)(2021年)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(ラジオ、前年比)(2021年)

マイナスの業種は10と多いが、高額の業種が大きなプラス幅を示していることもあり、全体ではプラス3.8%。精密機器・事務用品のマイナス25.6%のような大きなマイナス幅の業種もあるが、化粧品・トイレタリーのプラス32.4%のように大きくプラスを示した業種もある。最近ラジオのでこの企業、この業種のCMが多いと思っていたが、広告費が増えていたのかと納得する人もいるであろう結果に違いない。

最後は地上波テレビ。

↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(地上波テレビ、前年比)(2021年)
↑ 4大従来型メディアにおける業種別広告費(地上波テレビ、前年比)(2021年)

マイナス業種数は5つ。一方でプラスとなった業種ではプラス幅が大きいものが多数見られる。案内・その他と精密機器・事務用品は5割を超えたプラス幅。出版と情報通信は3割台の上げ幅を示しており、他のメディアを圧倒する勢いが生じている。全体でプラス11.7%と2ケタ台のプラスとなるのも納得の行く内容ではある。

4マスの中では一番広範囲への媒体力・告知効果が高いのが地上波テレビ。各商品・サービスとの相性のよし悪しもあるが、各業種の勢いが大きく表れているのが興味深い。



文中でも触れているが今回のグラフは、「各媒体を対象とした」「個々の業種別の」「広告費の前年比」。下げ率は同じでも業種が出稿している額面が異なれば、該当媒体に与える金額面の影響度合いは異なる。元々の金額が1ケタ違えば、前年比では同じでも、減った額・増えた額は1ケタ異なる。当然、広告出稿を引き受ける媒体側に与える影響も違ってくる。

そこで参考値として、「前年比の比率」に「2021年における各媒体の金額上の構成比」を乗じ、年間変移における影響度的指数を算出したのが次のグラフ。値が大きいほど、その業種の広告費に対して大きな影響を与えたことになる。例えば前年比が30%のプラスでも、その業種が出稿する広告の総額が対象メディアにおいて0.1(%)しかなければ、影響度合いは0.3×0.1で0.03しかない。逆に伸び率が3%しかなくとも、総額比率が10.0(%)あれば、0.03×10=0.30となり、10倍もの影響度合いを持つことになる。

↑ 年間の広告費変移が与えた影響度(前年比×2021年の構成比、業界別)(2021年)
↑ 年間の広告費変移が与えた影響度(前年比×2021年の構成比、業界別)(2021年)

新聞やラジオでは際立った影響を与えた業種は無し。雑誌ではファッション・アクセサリーの下げ方が大きなマイナスの影響を与えている。他方地上波テレビでは飲料・嗜好品と情報・通信の上げ方が大きなプラスの影響を与えている。新型コロナウイルスの流行という特殊環境下で厳しくなった業種がどのメディアの広告費を削減したのか、伸長した業種がどのメディアに広告費を傾注投入したか、よく分かる結果となっている。

ともあれ、各媒体における各種業種への報道姿勢と、今件影響度双方の変化度合いを比較すると、色々と面白い連動性が見えてくる、かもしれない。


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