災害廃棄物処理95%まで進行、岩手と宮城では今年度中に終了との見通しも…震災がれき処理動向(2014年1月31日時点)

2014/02/22 15:00

復興庁は2014年2月21日付で同庁公式サイト内公開データ掲載ページにおいて、「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況」の最新情報にあたる、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)の「震災がれき」(災害廃棄物など。災害廃棄物と津波堆積物)における2014年1月31日時点の処理進捗状況を発表した。その内容によれば災害廃棄物の処理は95.2%、津波堆積物は88.7%まで進行していることが分かった。今回は復興庁が過去に発表してきた各種「震災がれき」の処理状況に加え、最新の情報を盛り込み、当サイトの独自指標も合わせがれき処理の現状精査を行うことにする。

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震災がれきは2778万トン、そのうち未処理分は204万トンにまで減少


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)など、今記事内で用いられる各種がれきに関する用語は記事一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)にまとめて解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

最初にチェックを行うのは、がれきなどの「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物などは災害発生現場から一端仮置き場に搬送され、そののち色々な方法で処分(焼却、埋め立て、再利用など)が行われる。直接現場から処理現場に運ばないのは、処理工程での混乱防止、そして作業の円滑化が理由(商品の物流と同じである)。また現場(大部分は生活の場やその隣接地域)からの「がれき」排除を第一義的にしているのも大きな理由。全体では2014年1月31日時点で災害廃棄物が97.9%・津波堆積物は96.5%との値が出ている。

↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2014年1月31日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2014年1月31日時点)

がれき処理の作業進行と共に、仮置き場に運ばれた総量は増加する。その一方で、がれきの推定総量の再計測、震災にまつわる解体作業で廃棄物が新たに発生するなどの理由から、今件数字は一方的には上昇しない。同じ運搬量でも残量、そして総量が増加すれば、当然処理率は低下する。実際、前回記事でのがれき総量は2769万トン、今回月では2778万トンとなり、9万トンほど増加している。現状では両方とも搬入率は9割を超えているが、昨今では加算分による処理の追加発生、そして作業が難しい地域での処理への対処が中心となっていることから、この数か月間では大きな変化は生じていない。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフを作成し、現状を確認する。「処分」は多用な手法、例えば単純な埋め立て処分以外に焼却、再生燃料化、素材として売却処分、リサイクルなどがある。今グラフの「未処理」は、被災現場に残されたままのものだけでなく、「仮置場」に搬入されている状態のものも含む。「仮置場」に移された時点では「処分」されたことにはならない。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年1月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年1月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年1月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年1月31日時点)(万トン)

上記にある通り全体で仮置き場への集約率は災害廃棄物は97.9%・津波堆積物は96.5%までと、双方とも9割以上にまで進んでいる。しかし処理・処分済みの状況となると、そこまでは達していない。特に津波堆積物では遅れが目立つ。

これは「震災がれき」の処理では通常の建築物の取り壊しで発生するがれきと比べ、内容が複雑で量も多く(想定されない状況下でがれき化している)、処理に時間がかかることが最大の理由。

莫大な処理行程が必要なため、それぞれの被災県内の処理だけでは、能力的・物理的に短時間での作業進行は不可能。迅速な処理には被災地外でも併行しての処理が欠かせない。しかしながらこの「被災地外での処理」に、これまで非科学的・感情的・煽動的な理由による障害・妨害が続けられている。

がれきの処理は物理的、そして地域住民の心理的な面における、復興への足掛かりとなる。廃棄物は時間の経過と共に処理の困難さが増すだけでなく、継続的に周囲の人の心を深く、そして広く傷つけ続ける。可及的速やかな処理が強く望まれる。

津波堆積物処理も間もなく9割に…全体的な処理の推移


復興庁では同庁公式サイト上で2011年12月時点分以降、災害廃棄物等の搬送動向の情報を定期的に公開している。その公開資料上で、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分、一方で津波堆積物は2012年7月31日分以降。

それらの公開値を基に、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、今回精査している最新値の2014年1月31日時点は、震災から間もなく3年を迎える時点での値。それでもなお100%に達していない状況には、震災の規模の大きさを再確認させられると共に、分散処理への妨害活動が大きな要因であることを想うに、無念さを覚えざるを得ない。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2014年1月31日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2014年1月31日)

グラフのカーブ度合いを見れば分かる通り、災害廃棄物の処理は2012年の年末、津波堆積物は2013年の春先から処理が加速している。一部は「国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外された」のが原因だが、多分に政情の変化がもたらしたものと考えられる。

未処理部分が少なくなるにつれ、より困難な場所での作業が必要となるため(並列作業をすれば、当然簡易な場所から終了する)、災害廃棄物の処理状況の進展は、その歩みはゆっくりなものとなる。グラフのカーブがゆるやかになっているのがその表れ。災害廃棄物では2013年半ばから、津波堆積物でも2013年末あたりから、上昇カーブがやや緩やかなものに変化を見せている。処理の最終段階に入った証である。

今回月までの値を基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年と試算し、2014年1月31日時点で約29か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するまでにあと約1.5か月、津波堆積物はあと約3.7か月ほどかかることになる。後述するが宮城と岩手では今年度中の作業終了を目標に掲げ、それが果たせそうとの報もあり、この予想値もあながち的外れなものでは無さそう。

全体進捗率は92.7%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握するべく、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方(つまり「震災がれき」全体)の処理済み・未処理トン数、さらには総重量に対する処理進捗状況を公開値から独自に算出し、その値を元にグラフを生成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年1月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年1月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年1月31日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年1月31日時点)(対全体進捗比率)

一色で平坦に塗りつぶされている部分が処理済、ぼかし効果のある部分が未処理(現場に置かれたままのもの、仮置き場に移されたものを合わせた値)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できるグラフとなっている。現時点では震災がれきの処理は92.7%まで進んでいる。

今グラフのうち、特に万トン数の積み上げグラフから見るに、今なお204万トンもの震災がれきが処理されず、その姿のままで仮置き場や現場に残されている。引越しに使われることもある大型の4トントラックなら51万台分、戦艦大和(満載時、7.11万トン)ならば約29隻分と表現すれば、その量がイメージできよう。

先に【「震災がれきの広域処理がほぼ終了した」との報】で伝えたように、岩手県や宮城県では今年度末、つまり2014年3月末までに「災害廃棄物」(報道では「震災がれき」とあるが、復興庁の公開資料によれば目標期日を設定しているのは「災害廃棄物」のみで、「津波堆積物」については設定は無い)の処理を終える目標を設定しており、今回発表された1月末時点の値をもって、その目標が達成できる可能性が高い、処理がほぼ終了したとの報がなされている。一方、福島県では国の直轄対処地域もあり、一部地域でのみ期日設定がなされている。

震災がれきが取り除かれ、処分が実施されても、それですべてが終わるわけではない。むしろそこからが始まりとなる。復興、さらには飛躍につながる、次なる一歩を確実なものとするため、震災がれき関連作業はもちろん、それに続く各種事業関係者への障害が極力取り除かれるよう、心から強く願ずにはいられない。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)
【「がれきの撤去」はまだ半ば…被災三県がボランティアに望むこととは】(2011年11月)

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