両誌とも前年同期比でマイナス10%超を記録…「小学1年生」-「小学6年生」などの部数動向(2013年10-12月分)

2014/02/21 08:30

社団法人日本雑誌協会は2014年2月14日付で、四半期の間隔で定期的に公開している「印刷証明付き部数」において、最新分となる2013年10月から12月分の掲載を行った。今回はこの値をはじめとして過去のデータも合わせ、小学生向け、さらには幼稚園児向け雑誌の部数動向の把握を行うことにする。

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失速中の残存誌「小学一年生」「小学二年生」


データの取得場所の解説、「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項はまとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】上で説明済み。

社団法人日本雑誌協会の公式サイト上でデータが取得できる2008年4月-6月分以降、四半期単位で「小学一年生」から「小学六年生」までの「印刷証明付き部数」を取得した上で、その推移を示したのが次のグラフ。「GAKUMANPLUS」は厳密には「小学●年生」とは別の雑誌であり、本来はこのグラフに収めるべきではないのだが、同誌は「小学五年生」「小学六年生」の統合・刷新版として登場したという背景を考慮し、反映させている。

↑ 小学一年生から六年生の印刷証明付き部数推移(2013年10-12月期まで対応)
↑ 小学一年生から六年生の印刷証明付き部数推移(2013年10-12月期まで対応)

子供は特に歳を重ねるにつれて好奇心とそれを満たすための手段や知識が多様化するため、定番となる媒体以外の雑誌を求める傾向が強くなる。また保護者もそれに従う。選択肢が多数存在し、その選択肢が問題となるようなものでなければ、子供の願いをかなえるのは普通の対応に他ならない。結果として、低学年向け雑誌よりも高学年向けの方が、セールスは伸び悩む。

さらに昨今では雑誌業界全体の不況、価値観の変化の影響を受け、部数が元々少なかった雑誌から、休刊を余儀なくされてしまう。まず「小学五年生」「小学六年生」が、そして「小学三年生」「小学四年生」が休刊。上記で説明した通り、それら休刊誌の市場的穴埋めの雑誌として創刊された「GAKUMANPLUS」も短期間で歴史に幕を閉じることとなった。

現在も発行を続けているのは「小学一年生」「小学二年生」の2誌のみ。上記の理論の通り、元々部数も大きく、同時に季節による部数の変化も激しいのが特徴。そして2010年以降はその変動の中で上限を次第に縮小する形で部数を下げている。2012年はやや持ち直しの機運も見られたが、2013年に入って再び縮小の動きを示しており、予断を許さない状況にある。

直近期における前年同期比は「小学一年生」はマイナス13.3%、「小学二年生」はマイナス10.6%を計上。決して安穏とできる状況では無い。特に「小学二年生」は過去の事例から推測できる、絶対防衛圏としてのラインである5万部切れが見えてきただけに、一刻も早い対策が求められる。

幼稚園関連誌を追加し状況を再確認


「小学●年生」の現存誌が2誌に留まったことを受けて、幼少時期の子供向け雑誌として幼稚園関連、具体的には「入学準備学習幼稚園」「幼稚園」「たのしい幼稚園」の3誌を加え、再構築したのが次のグラフ。

↑ 小学一年生から六年生などの印刷証明付き部数推移(2013年10-12月期まで対応)
↑ 小学一年生から六年生などの印刷証明付き部数推移(2013年10-12月期まで対応)

追加した幼稚園関連の3誌の動向を「小学●年生」シリーズと重ねたが、小学生向けの雑誌によくある動き、具体的には「年度の切り替え時に大きく部数を伸ばす」は確認できない。むしろ小学生向けでは盛況期となる1月-3月期が、その前四半期期(10-12月期)よりも下げている事例も多数見受けられる。

その一方、グラフの領域圏内では部数が減退状況であることは類似している。下げ基調にないのは「たのしい幼稚園」位である。子供向けで教育的な要素が多分にある、そして保護者が安心して購入して手渡せるタイプの雑誌の販売状況が厳しいのは、小学生向けだけでなく、幼稚園向けでも同様のようだ。

このグラフから休刊中のものを除外し、記事執筆時点で刊行中のものに限定して再整理したのが次の図。

↑ 現存「小学●年生」シリーズと幼稚園回り(一部)の雑誌・印刷証明付き部数推移(2013年10-12月期まで)
↑ 現存「小学●年生」シリーズと幼稚園回り(一部)の雑誌・印刷証明付き部数推移(2013年10-12月期まで)

休刊誌が除かれたため残存誌の動向がよりはっきりと分かるようになったが、その分各誌の低迷ぶりもよく分かる。「たのしい幼稚園」の健闘ぶりが、より一層目立つ形ともいえる。

この部数減少は、少子化の影響もゼロとはいえない。購入可能性層の数が減れば、実購入者が減るのは当然の話。しかしながらこの5年前後で幼稚園・小学生生徒が半減するほどの加速度的な減少はしていない(【小学生や中学生の数の推移をグラフ化してみる】で確認済み)。むしろ上記で一部触れているように、選択肢の増加・多様化に伴い、定番雑誌へ振り分けられるリソースが減っていることが考えられる。決して少子化云々だけで説明がつく話では無い。



繰り返しになるが、「小学●年生」で現存しているのは2誌「小学一年生」「小学二年生」のみ。そして「小学二年生」は間もなく死活ラインの5万部を切る。定例パターンでは次の四半期は入学・進学をひかえた世帯の購入で部数が伸びるため5万部割れは無いだろうが、規模の縮小を続ける限りは次年度において確実にそのラインを割り込むことになる。

無論両誌が単に状況を甘んじているわけでは無い。例えば「小学一年生」では前年から自誌に登場する小学一年生を公募する「モデルオーディション」を実施し、多くの小学生とその子供を有する保護者から熱い視線を浴びている。


↑ モデルオーディションの最終選考の様子。【直接リンクはこちら:2014『小学一年生』モデルオーディション最終審査】

子供タレントに注目が集まる中、この企画は盛況のようで、今回のオーディションでは約3000人もの応募を集めたとある。

しかしながら現状では、その施策の成果が雑誌の部数底上げに貢献しているとまでは言い難い。状況の回復を果たす施策を打ち出すことが出来るのか、あるいはのか、あるいは「GAKUMANPLUS」のように新たな切り口を見出すのか。いずれにしても時間はあまり残されていない。

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