PASH!は失速、ポケモン効果でファミ通DS+Wiiが伸びる…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向(2013年10月-12月)

2014/02/19 08:30

社団法人日本雑誌協会は2014年2月4日に同協会公式サイトにて、四半期毎に更新している印刷部数の最新版、2013年10月から12月分の値を、公開データベース上に反映させた。この値は主な定期発刊誌の販売数を各社の許諾のもとに「印刷証明付き部数」として示したもので、各誌の独自公開による「公称」部数よりはるかに公平で信頼できる、各雑誌の販売実態を知る指標として知られている。今回はゲーム専門誌などから成るゲーム誌、そして声優・アニメを取り扱ったエンタメ誌などで構成される「ゲーム・エンタメ系」関連の最新データを精査していく。

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Vジャンプ独走体制は変わらず


データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項は一連の記事のまとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明済み。

まずは最新値に当たる2013年の10-12月期と、その直前期2013年7-9月期における印刷実績をグラフ化、現状を確認する。

↑ 2013年の7-9月期と2013年10-12月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績
↑ 2013年の7-9月期と2013年10-12月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績

今四半期では脱落誌、追加誌は無し。脱落誌が相次ぎ、今ジャンル該当誌も少なくなってしまったが、デジタル情報の普及により、紙媒体への需要が落ち込んでいることを実感させられる。特にゲーム系・趣味系情報はマルチメディア性も合わせインターネット上での展開に適しており、なかなか新たな紙媒体による専門誌が登場しにくい(ビジネス的なそろばん勘定が立ちにくい)。紙媒体としては休刊し、デジタルに移行する雑誌は多いが、その逆はほとんどないことが、それを裏付けている。

印刷部数そのものの絶対値としては、「Vジャンプ」の独走体制が続いている。一方アニメ系雑誌(三大アニメ誌「ニュータイプ」「アニメージュ」「アニメディア」)では「ニュータイプ」が一歩先んじていることに違いはないが、今四半期ではやや大きな動きがあった(詳しくは後述する)。

PASH!失速、ファミ通DS+Wii躍進…前四半期との相違を確認する


次に四半期、つまり直近3か月における印刷数の変移を算出し、グラフ化して状況を精査する。季節変動などによる動きも考慮しなければならないが、ダイレクトな変化を知ることができる。

↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系雑誌)(2013年10-12月期、前期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系雑誌)(2013年10-12月期、前期比)

大きく上昇したのは「ファミ通DS+Wii」。同時期に発売されたニンテンドー3DS用ソフト「ポケットモンスターX/Y」や同名のアニメーション放送によるところが大きい。特に12月21日売り号の付録「カロス図鑑データブック」は評価が高く、同誌のセールスの底上げをした感はある。

前四半期では「進撃の巨人」特集記事展開による特需で大いに伸びた「PASH!」だが、今四半期ではマイナス圏に転じている。該当時期の各発売号でも特集記事、インタビュー記事など各種展開は続いているが、それでも以前ほどの勢いを導くことは出来なかった。また「声優アニメディア」の落ち込みが著しいが、これは多分に前四半期の反動によるところが大きい。

↑ PASH!印刷実績(部)
↑ PASH!印刷実績(部)

とはいえ「PASH!」における「巨人」の特需効果はまだ持続しており、次に解説する前年同期比ベースで見れば、大きく伸びていることに違いはない。

前年同期比で年ベースでの動きを探る


続いて前年同期比における動向を算出の上、状況を確認する。「電撃プレイステーション」「マックピープル」など一部の雑誌は2012年10-12月期から情報公開を再開しており(それまでは2011年7-9月期を最後に情報の非公開化が行われていた)、今四半期から晴れて前年同期比の算出を行えるようになった。

↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)(2013年10-12月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)(2013年10-12月期、前年同期比)

今四半期では大きく伸びた「ファミ通DS+Wii」だが、前年同月比ベースでは大きく下げていることが分かる。

逆に「PASH!」は前四半期比ではマイナス圏だが、上記折れ線グラフにある通り、中期的な流れでは上昇状況にある。今回特異なグラフとなったのも前四半期から続く特需の結果であることを考えると、「進撃の巨人」は名前通り巨人的な影響力を示したと表現しても良さそう。

アニメ三大アニメ誌だが、今四半期は「ニュータイプ」「アニメージュ」がやや軟調で、「アニメディア」は不調。そして少なくとも今サイトでデータを追跡している2008年4-6月以降においては、初めて「アニメージュ」と「アニメディア」の印刷実績上の順位入れ替えが起き、三大誌では「ニュータイプ」の次に「アニメージュ」が付く形となった。

↑ 三大アニメ誌の印刷実績(部)(2013年10-12月期まで)
↑ 三大アニメ誌の印刷実績(部)(2013年10-12月期まで)

直近値では「ニュータイプ」7万7700部、「アニメージュ」5万7700部、「アニメディア」5万6300部。今四半期では「アニメディア」の減少数が大きく、わずか1000部強だが、「アニメージュ」が「アニメディア」に競り勝つ形となった。今後両誌がどのような動向を示すのか、気になるところではある。



先行する記事「少年・男性向けコミック誌」では「月刊少年シリウス」が「進撃の巨人」の恩恵を受けて前四半期から続き大きな伸びを示した。今ジャンルでは「PASH!」が前四半期からは失速したものの、中期的にはまだまだ支えられている、特需状態にあるといえる。元々同誌は今ジャンル内では数少ない成長株だったことから、今回の特需が今までの勢いをさらに加速化させる期待もある。

この「PASH!」を除けば、「ファミ通DS+Wii」の特需のような例もあるが、全般的には今ジャンルの市場状況はあまり思わしくない。元々紙媒体そのものの市場全体が、デジタル媒体の伸びに伴い縮小のさなかにあるのが一因だが、エンタメ分野自身がその影響を強く受けており、それらをテーマとした雑誌群は縮小度合いを加速化させている。インターネット経由で素早く、詳しく、マルチメディア形式で情報を取得できるのなら、紙媒体の存在意義はこれまでよりも確実に小さなものとなり、需要も当然減ることになる。

デジタル媒体と真っ向から勝負をしても勝てるはずがない。むしろ競合、相乗りする形という、雑誌構成の抜本的な戦略転換が、特にデジタルとの相性の良いエンタメ分野を取り扱う今ジャンルの雑誌には求められているのだろう。

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