ギリシャ、キプロスは沈静化するも、ウクライナの火種は強まる(国債デフォルト確率動向:2014年2月)

2014/02/15 14:00

国債・公債などの債券の破たんリスク度合いを示す指針の一つである「CDS(Credit default swap)」を基に、逐次算出されている国・地域の国公債のデフォルト確率を表す指標「CPD」。当サイトでは財政・債務の点でリスクが高い国々の動向や経済情勢の目安としてこのCPDを用いるため、毎月定期的(毎月15日)に上位国(=高リスク国)の動向、さらにはそれを手がかりに周辺環境の確認を行っている。今回は本日、2014年2月15日に取得した値をグラフ化し、現状の精査を行う。

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CDSや、国公債のデフォルト確率を表す言葉「CPD」(5年以内のデフォルト可能性を示す)の定義や今件データの取得場所、さらには各種概念に関する説明は【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】に掲載している。必要な場合はそちらで確認してほしい。

今グラフは日本時間で2014年2月15日、本日先程取得したばかりの一番新しいデータから作成している。そして前回月も値が取得できた国・地域は前回値を併記している。今回は全部の国・領域が前月にも登場していたこともあり、「NO DATA」を記載する項目は無い。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2014年2月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2014年2月15日時点)

2007年夏の「サブプライムローンショック」を発端として連鎖的に広まった金融危機・経済不況は、欧米諸国を中心に多くの国々に不況の嵐と財政問題の露呈化をもたらすことになった。中でも欧州、とりわけギリシャやスペインの債務問題は大きく、これらの国の状況次第ではドミノ倒し的な破たんが起きるリスクが懸念された。しかし数多くの試行錯誤と失敗を経て、少しずつ状況は平穏化の方向に歩みを進めている。少なくとも数年前の「明日にでも欧州経済は全面的に崩れ去り、前世紀に起きた世界大恐慌のような事態に陥る」といった雰囲気からは脱している。

無論現在でも諸国の失業率は高めの値を維持したままで、多くの国では経済不況から脱したとは言い難い状態にある。また社会そのものの構造(特に経済・労働面)のひずみが経済不況で露呈され、それが拡大化した感も否めない。

今回月の動向を具体的に見ていくことにする。今回月では大きく値を落とした=安定化の方向を示した国と、値を上げた=不安定化・高リスク化した国とかはっきり分かれている。安定化はプエルトリコ、キプロス、ギリシャ、不安定化はアルゼンチン、ベネズエラ、ウクライナである。

キプロスやギリシャは半年ほど前までは常にCPDランキングでは上位国にあり、特にこの2か国は経済的結びつきが強いことから、連鎖反応を示した国(ギリシャの混迷でキプロスも不安定化)としてもたびたび言及されている。しかし今回月の動きにある通り、ギリシャが第9位にまで後退していることなど、比較論ではあるが落ち着きを見せつつあるようだ。

他方先月でも指摘した話ではあるが、アルゼンチンやベネズエラのような南米アメリカ大陸にある諸国の値の上昇継続傾向は続いている。アメリカ合衆国との関係が強いことを考えれば、合衆国自身の経済への懸念が間接的に影響を及ぼしている雰囲気もある。しかし、むしろ今件CPDでは顔を見せることがない中国との経済的結びつきの強さから、その中国の不安定化を受け、貨幣が急落しているのが大きな要因と考えられる。加えてベネズエラでは現政権による独裁姿勢の強化から情勢が不安定化しており、これも多分に影響している。

またウクライナではEUとロシアの間での綱引きが国内外に大きな影響を与えており、情勢が不安定化している。国内での騒乱ぶりは中世の戦いを思わせるような状況で、報道映像なども多数展開され、現代の様子には見えない動向が伝えられている。


↑ ウクライナの混乱ぶりを示す報道映像。【直接リンクはこちら:ウクライナ内閣が総辞職、野党との対立収拾は困難(字幕・29日】

なお先月言及したエルサルバドルでの大統領選だが、2月2日に行われた投票では過半数に届く候補者は無く、上位2人、FMLNのサルバドル・サンチェスセレン候補と、ARENAのノルマン・キハノ候補氏による決選投票が3月9日に実施されることとなった。次回のCPD値確認時までには選挙結果が確定し、同国の情勢にも変化が生じることだろう。



日本はCPD上位を示す上記グラフにその名前は無く、少なくともこれら上位陣の国々と比べれば、債務上のリスクが低いと市場から見なされていることになる。さまざまな切り口から日本の財務状況に関して、上記グラフに記載される国々と同列の高リスクさを標榜する意見があるが、少なくとも市場関係者間では、そのような解釈はなされていない。

今リストに無い、つまり少なくとも上位10か国よりはリスクの低い諸外国の動向は、四半期毎に公開されるCMD Visionのリスクレポートの最新版(【CMA Release Global Sovereign Credit Risk Reportの一覧ページ】)で推し量ることができる(四半期単位なのでリアルタイム的なものではないが)。現時点では2013年第3四半期分のものが最新で、そのレポートによると日本のCPDは5.2%、順位は低い方から数えて19位。前四半期と比べると値は改善、相対順位は変わらずで、比較的良好な状態にある。詳しくは【日本の順位変わらず・数字はやや改善(国債デフォルト確率動向:2013年Q3)】で解説している。

上記にも記した通り、欧州のウィークポイントといえるスペインやギリシャがさらなる悪化からの脱却に向けた動きを示す一方、中国やアメリカの情勢をトリガーとして諸外国での経済的不安定感の増加が見え始めている。経済の悪化は政治の不安定化と連動し合い、それは労働市場の悪化、さらには社会不安にもつながっていく。それらの動きがCPDに反映され、グラフ上にその動きを見せることになる。

「お金で買えないものもある」。この言葉は見方を変えれば「大体はお金で買える」ことになる。上記に挙げた経済、政治、労働市場、社会情勢は、大抵において国全体の経済が安定化を果たし、金銭的余裕が生まれることで、改善に向けて動き出していく。まずは各国の経済状態の安定を願わずにはいられない。


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