ラジオ以外は概して好調、特に電通が強い(電通・博報堂売上:2014年1月分)

2014/02/13 08:30

博報堂DYホールディングスは2014年2月12日付で、同社グループ主要3社の博報堂、大広、読売広告社それぞれの2014年1月分の売上高速報を公開した。また電通ではそれに先行する同年2月7日に単体売上高を発表している。これにより日本国内の二大広告代理店の2014年1月次の売上データが出揃う形となった。今回は両社の主要種目別売上高の前年同月比を算出し、さらに指標を独自計算して各種グラフを生成、それぞれの広告売上動向や広告業界全体の動きの精査を行うことにする。

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ラジオは不調、それ以外は大体好調


データ取得元の詳細情報、各項目に関する算出上の注意事項は、記事の集約ページ【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で解説済み。必要な場合はそちらにて確認のこと。

↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年1月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年1月分種目別売上高前年同月比

先の震災によって生じた直接の物理的・心理的による影響からはようやくその気配を残す程度にまで回復し、広告種類別の相対的な立ち位置、変化の流れは震災以前のものに戻りつつある。具体的には「従来型メディアの4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の影響力低下」「インターネットの伸長」の2点が大きなポイント。またこれに合わせ、震災を起因として生じた消費者の心理的変化を受け、あるいは震災前にはあまり目立たなかった、「テレビの復調」「従来型広告の復権」などの動きも確認されている。

今回の1月分を確認すると、従来型4マスではラジオが不調なものの、それ以外は堅調。特に新聞、中でも博報堂の動きが目に留まる。ただしこれはグラフ内注意書きにある通り、前年同月の大きなマイナス幅(マイナス17.6%)の反動によるところが大きい。2年前比を算出するとプラス3.3%となり、電通の新聞と大きな違いは無くなる。むしろ金額そのものが大きいテレビが、前年に続き今年もプラスを示しており、電通・博報堂それぞれで2年前比がプラス7.4%・プラス7.0%と順調に伸びており、売り上げ全体に大きく貢献していることに注目したい。

インターネット広告は両社とも堅調。特に博報堂が大きく伸びている。両社とも前年同月でもプラスが確認されており、そこからさらに上昇を示していることから、今部門の成長ぶりが確かなものであることが分かる。とりわけ電通は2年前比で58.7%という目覚ましい数字が出ている。

従来型広告は電通が押し並べて堅調、博報堂は一部で不調。ただし博報堂は一部部門で前年同月において大きめの上昇が確認されており、その反動がいくぶん影響しているものと考えられる。

取りまとめると「4マスはラジオ以外が順調、ネットも従来型も強めで、全体としてもプラス」という形にまとめられよう。

電通の総額推移で広告業界の回復ぶりをチェック


次のグラフは電通の今世紀における各年1月の広告売上総額推移を抽出し、その動向を折れ線グラフにしたもの。同じ月の売り上げの動きを確認することで、季節属性(季節や月により広告出稿の大小が生じること)に左右されずに、年単位での売り上げ推移、しいては広告市場の情勢を推し量れる。

↑ 電通月次売上総額推移(各年1月、億円)(-2014年)
↑ 電通月次売上総額推移(各年1月、億円)(-2014年)

電通の各年1月における総額動向を確認すると、2006年までは景気回復から好景気の流れで漸次増加を見せていた。2006年は今世紀初頭の金額にまでほぼ達した形となる。そして2007年晩夏に始まる金融危機の影響から、2008年以降は広告売上は下落傾向に。リーマンショック以降までその下落は続き、2010年に底を打ち、それ以降は増加。震災で上昇を一時的に抑えられる場面があったものの、再び上昇傾向に移行し、今回月では金融危機直前の水準まで戻っている。

選挙のようすただし今回月は幾分都知事選挙特需による底上げ要素も考えられるため、確実な回復と断じるのはまだ早そう(都知事選挙は1月23日公示・2月9日投票のため、影響を与えた可能性は多分にある)。

この動きは広告売上全体におけるもので、その売り上げを構成する各種部門間の構成比率は大きな動きを示している。21世紀初頭、そして金融危機直前のピーク時と額面はほぼ同じだが、内部構成は大きな変化の中にある。従来型広告はさほど変化がないものの、インターネット広告が大きく飛躍し、その分従来4マスの売上が漸減している。【新聞とネットの順位交代…今年一年の従来4マスとインターネットの広告売上動向を振り返ってみる(2013年)】で言及したように、新聞とインターネットの売上の上でのポジションが入れ替わる節目も去年経験しているのが象徴的。

ちなみに今記事の最上位にある項目別の前年同月比を示したグラフだが、電通と博報堂それぞれの項目の値はあくまでも各企業内での比較による比率である。当然、金額は大きく異なる。

下記に金額面での具体例をいくつかまとめてグラフ化しておく。項目別ではインターネット分野の市場規模は、従来4マスの最大勢力であるテレビにははるかに及ばない。インターネット広告が成長過程にあることに違いはないが、テレビとは言葉通りケタ違いの市場規模であり、追いつくとしても年単位の経過が必要となるだろう。

↑ 電通・博報堂DYHDの2014年1月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂DYHDの2014年1月における部門別売上高(億円、一部部門)

また、電通と博報堂間では売上総額で約2倍、「その他」部門でも数倍以上もの差がある。得手不得手はあるにしても、両社の許容範囲、包括力の違いが見て取れる。



需給状況こそ改善方向にある電力事情だが、その状況を支えるインフラの運用動向はむしろ悪化しつつある。ランニングコストだけを見ても額面上、国家戦略的な安全面でのリスクの上でも無意味な積み上げがなされ、それが直接的・間接的に国全体の活力を大きく損なう原因となっている。消費者が直接肌身に感じる電気料金の値上がりだけでなく、多方面できしみを生じさせており、それは日々大きなものとなりつつある。

電力に対する神経質さを形成する世情は、デジタルサイネージなどの派手な電飾系広告に対する腰を引けさせ、それが玉突き状態として従来型広告の活性化の小さからぬ要因にもなっている。電力事情の真の回復が成されれば、日本の広告事情も大きな変化を見せることだろう。

2月以降は年度替わりの時期でもあり、毎年新商品・新サービスのプロモーションなどが積極的に行われ、広告市場も活気づくことになる。今年はどのような動きを示すことになるだろうか。消費税引き上げを前に消費性向が色々と動くのに合わせ、広告業界の挙動も気になるところ。ここ数か月の広告費動向は、電通・博報堂、そして経産省の「特定サービス産業動態統計調査」双方共に、今まで以上に注意深く見守りたい。


■関連記事:
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(上)…4マス+ネット動向編】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(下)…ネット以外動向概況編】

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