お金払ってまで見聞きしたいもの、ある? 有料コンテンツの利用状況をグラフ化してみる(ICMR2013版)

2014/02/17 15:30

一部の人は「形の無いものはすべて無料であるべき」との考えを持つようだが、実際には形があろうが無かろうが人の手で生成されたものである限り、そこにはコストが発生している。何らかの形でそのコストを回収しなければ、ビジネス的には破たんしてしまう。その回収方法の一つとして挙げられるのが、コンテンツの有料化。登録料や個別コンテンツの利用料金の支払いなど、その手立ては数多く存在するが、諸外国では有料コンテンツはどれほど利用されているのだろうか。イギリスの情報通信省が2013年12月12日付で同省公式ウェブサイトで公開した通信白書の最新版【International Communications Market Report 2013】のデータから、主要国の有料コンテンツの利用状況を探ることにする。

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日米英がやや高め


まずは有料コンテンツ部分にアクセスするために料金を支払っているか否か。ネット上でコンテンツを利用している人全体を対象にしている。例えばイギリスの動画・映画は45%と出ているので、ネットで動画や映画を(少なくとも週一以上で)観ている人のうち45%は(無料視聴をしているか否かはともかく)有料で動画や映画を観ていることになる。

↑ 有料コンテンツにアクセスするために料金を支払っているか(有料・無料を問わず各コンテンツ利用者限定)(2013年9月)
↑ 有料コンテンツにアクセスするために料金を支払っているか(有料・無料を問わず各コンテンツ利用者限定)(2013年9月)

欧米で動画・映画の値が飛びぬけて高いのはNetflixやLoveFilmといったサービスの利用が浸透しているのが原因。似たような理由でテレビ番組でアメリカの値が高いのは、ケーブルテレビや衛星放送の浸透が進んでいるからだと白書では説明している。

電子書籍、音楽のダウンロードでは意外にも日本の利用率が抜きんでている。一方で音楽のストリーミングでは低い値に留まっているのが興味深い。やはり日本では何らかの形で手元に存在していないと不安を覚えてしまうのだろうか。

他方、スペインやイタリアは概して低め。これはオンラインショッピングの項目でも触れているが、両国の景気動向が悪化しているため、支払い意欲が減退しているのが原因だろう。

個別で有料コンテンツの購入をする場合は?


それではアクセスのための登録料では無く、個々のコンテンツを購入するための支払いをしている人はどれ位いるだろうか。例えば日本の電子書籍は34%と出ているので、「有料無料を問わず電子書籍を利用している人のうち、34%は有料の電子書籍を週一のペースで購入している」ことになる。

↑ 登録料を除き、少なくとも週一以上で有料コンテンツを買うか借りるために料金を支払っているか(有料・無料を問わず各コンテンツ利用者限定)(2013年9月)
↑ 登録料を除き、少なくとも週一以上で有料コンテンツを買うか借りるために料金を支払っているか(有料・無料を問わず各コンテンツ利用者限定)(2013年9月)

まず中国がいずれも高い値を示しているが、これは以前【スマホ、タブレット、パソコン、デジタルラジオ…主要国のデジタル系機器の所有利用率をグラフ化してみる(ICMR2013版)】で解説した通り、同国の調査対象母集団が富裕層に限られているのが原因。

それ以外では概してアメリカが積極的な購入性向を示している。その他の国は対象によってまちまちで、例えばイギリスは動画・映画と音楽(ダウンロード)、ドイツは音楽(ダウンロード)で他国と比べて高めの値が出ている。またスペインは有料アクセス権周りの時と同様に押し並べて低い値に留まっているが、イタリアはそれなりに高い、特に電子書籍では積極的な購入性向を示しているのが興味深い。

他方日本はというと、電子書籍・音楽(ダウンロード)がやや高い値を見せている以外は、他国よりも低め。特に動画・映画、テレビ番組、新聞では目立つ形での低さに留まっている。これらのコンテンツで購入するだけの量・品質がまだ整備されていないのか、無料コンテンツが充実しているのかは不明だが、日本独特の動きと見て良いだろう。



アクセス時の登録料やコンテンツ利用時の支払い要求のような、直接利用者から対価を求める場合、決済方法の問題や社会文化上のハードル(冒頭にある通り、物理的な形の無い物への対価を敬遠する人も少なくない)もあり、無料提供によるビジネスモデルと比べると、利用者が減ってしまうのは仕方のない話。一方で利用者からの料金徴収は、もっとも手っ取り早く確実な売り上げにつながるため、コンテンツ提供側としては出来ればこのスタイルによる売り上げ計上を目指したいもの。

日本は他国と比べると、音楽や動画、新聞など一部の方面で、料金の支払いに対する抵抗感が他国よりも強い傾向がある。社会文化上の問題以外に、上記にもある通り、システムの不備、コンテンツそのものの整備状況がその妨げとなっているのかもしれない。お金を払う価値がある作品として周知されるようなコンテンツと、それを容易にする決済システムの整備が、まずは求められよう。


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