消費税率引き上げ後のマインド低下を懸念…2014年1月景気ウォッチャー調査は現状下落・先行き下落

2014/02/11 10:00

内閣府は2014年2月10日、2014年1月時点における景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。それによると現状判断DIは先月から転じる形で3か月ぶりに下落し54.7となったものの、水準値50は上回る状態を維持した。先行き判断DIは先月から続いて2か月連続して下落し49.0となり、水準値の50を切る形となった。結果として、現状下落・先行き下落の傾向を示している。基調判断は先月から表現を追加し「景気は、緩やかに回復している。ただし、先行きについては、消費税率引上げ後の需要の反動減等の影響が見込まれる」となっている(【発表ページ:平成26年1月調査(平成26年2月10日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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飲食の大幅低迷と消費税率引き上げ後のマインド低下懸念と


調査要件や文中のDI値の意味に関しては、今調査の解説記事一覧【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で説明している。

2014年1月分の調査結果はまとめると次の通り。

・現状判断DIは前月比マイナス1.0ポイントの54.7。
 →3か月ぶりの下落。「やや良くなっている」は増えたものの、「良くなっている」「変わらない」が減り、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加している。
 →家計では消費税率引き上げ前の駆け込み需要が後押しする形で、高額商品を中心に売り上げが増加。しかし正月休み明け後に飲食関連の売上が低迷を来たし、これが足を引っ張る形に。また企業は生産・受注増加に一服感が出てきて低下。雇用は求人増加で上昇。

・先行き判断DIは先月比で5.7ポイントマイナスの49.0。
 →消費税値上げ前の駆け込み需要への期待は継続中だが、引上げ後の反動需要減、消費者のマインド低下への懸念がわざわいし、家計・企業・雇用の3部門すべてで低下。
今回月では消費税周りの反応はプラス面よりもマイナス面の方が大きく、さらに現状における飲食店の大きなマイナスが響き、現状・先行き共にマイナスを示すこととなった。特に先行きの総合DIは2012年12月に51.0を記録して50未満から脱して以来、14か月ぶりの基準値50割れとなる。

飲食の下げが著しく50を切った現状判断DI


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向を簡単ではあるがチェックしていく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年1月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年1月)

2013年11月分では消費税率引上げの反動を受けて大きく下げた住宅関連だが、その後順調な回復を示している。1月分も上昇を続け、基準値の50に手が届いた形となった。一方、企業・家計共に下落傾向を示す項目が多く、特に飲食関連の下げ方が著しい。概要説明では正月休み明けの売上が落ちたと説明されているが、消費税率引き上げを目の前に買い溜めの動きが一部で生じており、それと引き換えの形で外食への手控え感が出ている気配がある。

大まかな区切りで見ると、雇用はやや高めなものの家計、企業は概して低めというところ。税率引き上げ前の駆け込み需要は続いているが、すでに引上げ後のマインド低下が前倒しで現状の消費動向にも影響を及ぼしている。

景気の先行き判断DIは税率引き上げに関して、現状DIより大きな影響を受けている。全項目がマイナスを示し、中でも小売りの下げ方が著しい。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年1月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年1月)

もっともマイナス値が大きいのは小売関連のマイナス9.5。次いで製造業のマイナス5.3。消費税率引き上げ後の需要減退、消費性向の低下を大きく懸念した結果といえる。先月指摘した、「買い溜めがしにくい、ぜい沢品扱いされて節約の対象としては筆頭に挙げられる」飲食関連の低迷は継続中で、今月の下落により唯一40を切り、30台に突入することとなった。消費税関連の他調査でも、引き締め対象の上位には外食が常にランクインすることもあり、この先行き懸念は多分に体現化するものと考えられる。

デフレ脱却感はあるも消費税引き上げへ強まる懸念


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたり、その判断理由を詳細に記した一覧「景気判断理由の概況」も公開している。その中から、世間一般で一番身近な「家計(現状・全国)」「家計(先行き・全国)」の事例を抽出したのが次の文章。

■現状
・新車の販売では、各社とも消費税増税前の駆け込み需要の効果で通常の倍以上の来店客でにぎわい、販売台数も倍増している(乗用車販売店)。
・アクセサリー売場では、消費税増税前の駆け込み需要もあって単価が前年比で120%と大きく伸びている(百貨店)。
・消費税増税が近づき、高額な冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビ、パソコンの販売量が大幅に伸びている(家電量販店)。
・高額商品の販売量は好調であるものの、低価格商品の動きは鈍く、横ばいで推移している(一般小売店[カメラ])。
・景気は上向きであると思うが、消費者は高額品に向かっており、ファストフードや日用品を扱っているところではあまり変わらない(コンビニ)。
・全体的にはあまり変わらないが、常連客の客単価が低下していたり、月曜から水曜にかけての来客数が減っていたりなど、細かくみてみると、買い控えの動きが始まっているようだ(高級レストラン)。
・前年同月と比較すると、来客数の減少傾向を始めとして、客単価及び販売額についても低下傾向にあった。少なくとも、不要不急の旅行へ向かう消費マインドが全くみえない状況下にある(旅行代理店)。

■先行き
・消費税増税対策の生活応援セールなど、増税前のまとめ買いを誘う企画による、売上増加の期待は大きい。また、4月以降も生活応援セールを開催する(商店街)。
・消費税増税を前に個人旅行の申込が増加。平均単価も例年を上回りつつある(旅行代理店)。
・4月には消費税率も上がるので、当然消費者は買い控え、わが社でいえば食べ控えをする(一般レストラン)。
・今後2−3か月先の状況については、今年4月の消費税率引上げ実施の影響に伴い、ファッションアイテムの売上減少が想定されることから、全体としては今月よりやや悪くなると予想している(百貨店)。
・新車販売においては予想以上に消費税増税前の駆け込み需要が大きい。4月以降はその反動減があり厳しい状況になる(乗用車販売店)。
税率引き上げ前はまとめ買いを奨励、引上げ後は生活応援と銘打ったセールを展開するといった、ポジティブに物事を考える企業もあるが、概して「駆け込み需要は日持ちするもの、高級品」「不要不急の商品は今から買い控え」「4月以降のマインド低下懸念」といった特徴が見られる。飲食品周りでは現時点から客足の遠のきが複数か所で確認されており、別途月次報告をしている業界動向、例えば「牛丼御三家」や「コンビニ売上」の低迷ぶりが、一部にはこの「先行買い控え基調」を起因としているのではないかと考えさせられる。

上記掲載部分以外で特徴的なコメントをいくつか拾うと、まず燃料費への不安が随所で確認できる。流通が活発化しても、このコスト増で帳消しとなるとの話もあるほど。また雇用関連は概して堅調で、特に建設、製造業の求人増加案件が目に留まりやすい。さらに消費税周りの懸念の中で、「税率引き上げ後数か月はマインドが低下」との意見は一致を見せているものの、その後についてはその低下が継続する・回復に向かう・分からないと判断は分かれており、中期的な見通しがつきにくい状況にあるようだ。



消費税率引き上げを
間近にひかえ、
消費者のマインドが
確実に変化を見せ、
その影響が随所に。
短期的には厳しさを
予見させるものの、
中長期的な動向推定は
多種多様。
雇用関連は概して
堅調に推移。
直近の不況は2007年夏に端を発した「サブプライムローンショック」、そして2008年秋のリーマンショックに連なる金融危機。そこからようやく回復の兆しを見せかけた時に発生した、2011年3月の震災。そしてそれらの大切な時期における政治の白紙化、あるいは幼稚化が加わり、景況感を大きく損なう状況が続いていた。その後景況感は国内外を合わせ回復の動きを示し、過度の円高も是正されつつある。

直近の経済周りの注目は、4月から導入される消費税引上げ。企業も消費者も大いに戸惑い、不安を覚えている。ここ数か月はその不安定感が数字に表れていると断じても問題は無い。さらに今なお継続している、電気料金の負担に代表される「負の遺産」も、経済面を中心とした日常生活へのプレッシャーとして圧迫を続けている。

消費税率の引き上げは実経済、特に家計への影響もさることながら、マインド面への影響が大きい。税率引き上げ分は3%だが、消費者のヒモの引き締め感はその数倍にも及ぶように見える。時間の経過と共にこの過剰反応は薄れるものの、数か月は各種指標も軟調さを見せることだろう。


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