乳製品以外は下落気味(2014年1月分世界食糧指数動向)

2014/02/07 15:30

日本でも大手乳製品メーカーが相次いでチーズやバターなどの自社商品の値上げ・容量削減を発表しているが、その理由の一つとして挙げているのが世界的な乳製品価格の高騰。2014年2月6日に国連食糧農業機関(FAO、Food and Agriculture Organization)が公式サイトにおいて発表した、同機関が毎月定期的に算出し公開している【世界食料価格指数(FFPI:FAO Food Price Index)】の最新データにあたる2014年1月分でも、その状況が確認できる。今回はこの各種値を基に、当サイトで独自に複数のグラフを生成し、世界規模での食糧価格の推移を精査していくことにする。

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多くは穏やかな動きだが乳製品が高値安定に


今記事中にあるデータの取得元、各種用語の解説に関しては、一連の記事のまとめページとして生成済みの【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で行っている。必要な場合はそちらで確認をしてほしい。

最新データを基に最初に生成するのは、最古の公式データとなる1990年1月分から現時点の最新値(2014年1月分)までを反映させた、全データによる推移を一望できる折れ線グラフ。前世紀終盤以降の中長期的な食料価格の変移が、ざっとではあるが推し量れる。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2014年1月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2014年1月)

砂糖は価格変動性が高い食料品。その実態を体現化するかのような非常にダイナミックな値動きがグラフには表れている。それ以外の項目は大きな動きは無く、2005年前後までは下限を50、上限を150とした領域での小刻みな値動きに留まっている

2005年終盤以降は、全体的に少しずつ上昇の気配を見せる。そして直近の金融危機「サブプライムローンショック」(2007年夏-)の時期に入ると、急激な上昇の動きとなる。全項目が砂糖と同じような大幅上昇を示しているのが分かるだろうか。これは株式市場の暴落で投資先を失った投資資金が商品先物に流れ込み、食料品価格を投資・投機対象として釣り上げたからに他ならない(市場規模は株式市場よりも商品先物市場の方が小さいため、流入資金量に対する反応も大きなものとなってしまう)。その後は反動による急降下、「リーマンショック」(2008年9月以降)による乱高下の末、現在の高値安定状態に移行している。少なくとも今世紀初頭の100前後での動きに戻る気配は無い。

直近では2011年後半から少しずつ値を落とし、200前後に集約の動きを示している。200プラスマイナス50を領域にしたボックス圏かというところ。ただし乳製品に限ればその動きから外れる形で、上昇の雰囲気が感じられる。

続いて、グラフ生成開始時期を1990年では無く、食糧市場にも大きな影響を与えている金融危機が勃発した2007年に合わせ、対象期間が短いグラフを生成し、金融危機以降の動向をより詳しく見ていくことにする。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2014年1月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2014年1月)

2010年初頭からジェットコースターのような急変動が相次ぎ砂糖指標で起きている。これは砂糖相場での過熱感と豊作による急落、そして需給状態を受けての再上昇の動き。2011年中旬に約400まで上昇したが、そこが天井となり、昨今では豊作による供給過多、そして世界的な景気後退で生じた甘味需要の減少により、値は漸減傾向にある。この数か月では一時反発したが、その後さらに失速に転じた。

それ以外ではこの1、2年において穀物や油脂の急落、乳製品の急上昇といった動きが把握できる。特に乳製品は冒頭で触れた通り、そして後述するが日本の市場にも大きな影響を及ぼしていることから、今後の動向が気になるところ。

前月比と前年同月比の動き


昨今、さらにはここ1年ほどの食料価格の動向確認のため、各指標の元値から「前年同月比」と「前月比」をそれぞれ当方で独自に算出(元データでは記載されていない)。数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2014年1月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2014年1月)

総合指数は前月比でマイナス1.3%と先月から転じて下落、前年同月比はマイナス4.4%と先月から続き下落。緩やかながら下落の流れを示しているのが確認できる。

個別項目を見ると、前月比では乳製品がプラス1.3%と唯一のプラスで、他はすべてマイナス。前年同月比と合わせ見ると、「乳製品はこの一年で大きく上昇し、その勢いは収まったが今なお上昇機運は続いている」「穀物や砂糖、油脂は大きく値を下げ、直近でもゆるやかになったもののその動きは今なお継続中」のような動きを見出すことができる。これは直上の折れ線グラフからも把握できるものだが、特に乳製品の上昇ぶりが大いに目立つ。

リリースでは乳製品の高騰化理由について、「中国、北アフリカ、中東、ロシア(特にバター)の需要は引き続き強いまま。一方で季節による主生産地域の移動時期にあるため、生産量は減少している。このため価格が上昇することとなった」と解説している。特にこの数か月、中国の需要拡大に関するコメントが続いており、具体的数字こそ記述されていないが、相当な影響を与えているものと考えられる。

農林水産省のレポートで現状を確認


今記事で毎月精査している【農林水産省の海外食料需給レポート】の最新版にあたる2014年1月分を確認する。1月31日発表の最新レポートによれば、国際的な穀物需給に関して、小麦・とうもろこし・大麦・米で生産量が増加し、史上最高の量(24.4億トン)となる見込み(前月から変わらず)。消費量も小麦・とうもろこし・大麦・米の全項目で増加し、こちらも史上最高の量となる見込み(24.0億トン)が続いている(こちらも前月から変わらず)。そして期末在庫量見込みは生産量が消費量を上回ることから、上昇する傾向を示している(4億8450万トン、生産量比で20.2%(期末在庫量÷消費予想値で計算))。

在庫が漸増を継続しているが、これは昨年の異常気象によって発生した食糧生産量の減少に伴う反動が大きな要因(減収からの回復だけでなく、相場高で生産意欲が向上するため、作付け量も増える)。一方で消費量の増加は新興国の食料用需要以外(直上にある通り乳製品の価格高騰が好例)に、飼料用、そしてエタノール用需要が増加していることに伴うもの。特に新興国で飼料用需要が増加していることは、今後さらなる需要増を示唆しており、穀物相場の上昇につながる可能性がある。現時点では穀物市場は安定、むしろ値を下げているが、これがまた不作ともなれば大きく反動しかねない。そして人々の生活水準はよほどのことが無い限り後戻りはできず、基本的な消費量を減らすのも難しい。

天候不順などで生産量が減退すれば、突発的な価格上昇の引き金にもなりうる。乳製品価格の値上げに代表されるように、国際価格の変動は、国内の商品価格にも小さからぬ影響を与える。今後とも気象情報と共に、農作物の出来・不出来には十分留意したいところだ。


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