吉野家の鍋膳攻勢継続中…牛丼御三家売上:2014年01月分

2014/02/06 11:30

吉野家ホールディングスは2014年2月5日、同社子会社の牛丼チェーン店吉野家における2014年1月の売上高、客単価などの営業成績を発表した。その発表内容によると既存店ベースでの売上高は、前年同月比でプラス14.2%となった。牛丼御三家と呼ばれる主力牛丼企業のうち松屋フーズが運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年1月における売上前年同月比はマイナス1.4%、ゼンショーが展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス1.0%との値が発表されている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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吉野家が鍋膳で独走


↑ 牛丼御三家2014年1月営業成績(既存店)(前年同月比)
↑ 牛丼御三家2014年1月営業成績(既存店)(前年同月比)

牛丼御三家の前年同月比における、客数・客単価・売上高の動向は上記のグラフの通りとなる。吉野家に注目した上で、昨年同月の記事を基に営業成績を比較すると、一年前における客単価前年同月比はプラス8.3%。今月はそこから転じて2.0%のマイナスを示している。御三家の中では先月から続き唯一客単価前年同月比でがマイナス値だが、これは前年同月の反動に加え、主力商品の牛丼を2013年4月に値下げしたのが原因。この値下げで吉野家自身の客単価の引き下げと共に、基本メニューの牛丼価格が3社横並びとなったことにより、他2社の「牛丼価格のプレミアム効果」が無くなる事態となった。

同社では【これはオドロキ、目の前のコンロで熱して食べる吉野家「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」発売へ】でも解説している通り、「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」の2品目を2013年12月5日から発売を開始した。これはお客の目の前で加熱する新しいスタイルの商品で、単価は高め(580円)だが、その新鮮味や食するスタイルが大いに受け、商品展開も上々のものとなった。これにより客単価の下落を最小限に留めると共に、客数を大いに押し上げる効果が生じている。また、前々年比を算出すると客数・客単価共にプラス値を示しており、今回の客数の上昇が「前年同月の低い値によって生じた反動」ではないこと、牛丼の値下げによる客単価の下落は鍋膳で十分切り替えしが出来ていることが確認できる。

↑ 牛丼御三家2014年1月営業成績(既存店)(前々年同月比)
↑ 牛丼御三家2014年1月営業成績(既存店)(前々年同月比)

松屋の今回月(1月)の動きとしては、【松屋のコンボ第二弾・豚角煮と牛めしが一体化した「豚角煮コンボ牛めし」発売】【きのこがたっぷりお出迎え・松屋で「デミきのこハンバーグ定食」発売】などで紹介したように、高単価の商品を相次ぎ導入している。しかし客単価の引上げは最小限のものに留まり、客数はそれ以上に減ってしまったため、結果として売上高はマイナスのまま先月から継続することとなった。

すき家では新メニューの「コクみそ野菜牛丼」「コクみそ野菜牛皿定食」を導入した他、市場拡大を狙い朝メニューを充実すべく「まぜのっけごはん朝食」の展開を開始している(【オクラとおんたま、混ぜてのっけていただきます・すき家で「まぜのっけごはん朝食」販売へ】)。


↑ すき家の「まぜのっけごはん朝食」のテレビCM(公式)。朝食を摂ってリフレッシュした上での出勤を提案している。【直接リンクはこちら:すき家「まぜのっけごはん朝食」編 15秒CM】

しかしながら客数での盛り返しは果たせず、客単価はそれなりにプラス化したものの、売上高では前月に続き前年同月比でマイナスを計上することとなった。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2014年1月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2014年1月)

前年同月、そして前々年同月の売上グラフにある通り、松屋・すき家での客数減少、そして売上減退は、中期的な症状。すき家は2013年11月の期間限定牛丼値下げにより客足が戻り、売り上げもやや復調したものの、その勢いは当然値下げした期間に留まり、12月以降は客数、そして売上もマイナス領域に戻ってしまっている。ただし松屋・すき家共に直近の最悪期といえる2012年後半から2013年前半の領域は脱し、少しずつだが復調の気配が見えているのは幸いである。

牛丼値下げ、鍋膳のコンボで進撃する吉野家


廉価系ファストフード店全般ではこの数年、客離れの深刻化が懸案となっている。牛丼チェーン店市場でもその動きは明らかで、各社とも解決策を模索している。

そのような不調市場の中、吉野家は先月から続き10か月連続して来店者数を前年同月比にてプラス化している。これは上記にある通り、2013年4月に行った主力商品の牛丼値下げの効果、そして昨今ではそれに加えて上記にある通り2013年12月に導入した「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」が貢献している。さすがに導入初月ほどの勢いはないが、明らかに客数を一段引き上げたのがグラフでも確認できる。
↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2014年1月)
↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2014年1月)

寒い季節には嬉しい鍋物の投入という季節感にマッチした、さらには「一人鍋」の流行も一因ではあるが、客単価の引き上げとリピーターの増加、過ごしやすい食事環境の提供を目当てにした鍋膳導入が、客足の誘引にも大きく貢献したことになる。

この鍋膳による底上げは、少なくとも寒さで鍋物が好まれる冬の間、つまり2月分位までは続くことだろう。その後同社は鍋膳をどのように扱うのかは現時点では未定だが、継続提供の可能性は多分にあるし、冬季限定メニュー化しても似たような発想、切り口による新メニューの展開は十分考えられる。例えば夏場は冷やし系アイテムの展開も不思議ではない(「冷やし御膳」などはありきたり過ぎるだろうか)。

2011年3月の東日本大地震・震災を機に加速化する、食事を「摂る」のではなく「楽しむ」ことを好み、それに伴う消費者の中食へのシフト。健康志向の増大とたばこ値上げによる、外食産業における禁煙化への流れ。そして「家族の団らんの場」の提供という新たなトレンド。さらには「朝食需要の増加」や「個食における新需要」。外食産業を取り巻く環境や需給は、大きな変化を示している。それらの動きに対し、いかに対応していくか、波に乗るか。牛丼チェーン店各社の戦略に注目したい。

例年春時になると各社とも新入生・新就業者に向けて、大規模なキャンペーンや戦略商品の投入を行う傾向がある。早ければ2月後半あたりから、大きな商品展開、サービスの提供が見られるかもしれない。


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