ギリシャ失業率27.8%で過去最悪、若年層も59.2%に上昇…EU失業率動向(2013年12月分)

2014/02/01 14:00

EU(欧州連合)内外の経済関連を中心にした各種統計情報を集め、統計値を算出・公開して各国の正しい分析と政策を支援する、欧州委員会の統計担当部局・EU統計局(Eurostat)は2014年1月31日、EU加盟国を中心とした諸国の失業率データに関する最新値、つまり2013年12月分を公開、分析レポートと合わせて発表した。今回はその値を基に、EU諸国を中心とした全体失業率、そして若年層の失業率を確認し、EU地域における各種状況の精査を行うことにする。

スポンサードリンク


ギリシャが悪化継続、過去最悪の27.8%に


データ取得元の詳細、グラフや文中に登場するEA17・EU28の構成国、状況の変化については過去の記事の一覧を集約したページ(【定期更新記事:ヨーロッパ諸国の失業率動向(EU統計局発表)】)上に解説済み。必要な場合はそちらを参照のこと。

「ILO基準における」2013年12月時点の失業率は次の通り。EU28か国では10.7%・EA17か国では12.0%を記録している。先月分(速報値から修正済み)と比べるとEA17か国は変化が無く、EU28か国では0.1%ポイントの減少(状況の改善)が見られる。先月の時点ではEA17か国は2013年9月で最悪の12.2%を記録したとあったが、今回発表の修正により、それが0.1%ポイント引き下げられ、過去最悪値は2013年4月から9月の12.1%となった。0.1%ポイントは誤差の範囲のため、事実上去年から12%内外を行き来している、高止まりにあると見た方が無難である。

このグラフもあわせ今記事では一様に、最新データを掲載している国と合わせるため、直近2か月分のデータがEurostat上で未収録だった場合には、掲載時点で公開されている最新月分のデータを代用している。例えばギリシャは今回更新時点では2013年10月分までの値(27.8%)が公開されている(11月・12月分はデータには無い)、ここでは10月分を12月分として収録・掲載・計算に用いている。

↑ 2013年12月時点でのEU諸国等の失業率(季節調整済)
↑ 2013年12月時点でのEU諸国等の失業率(季節調整済)

今回月も失業率トップはギリシャ。スペインはそれに2.0%ポイントの差をつけての2位。ギリシャの値は上記にある通り最新値は2013年10月時点の値を適用させているので、公平を期するために同月の値同士で両国の値を比較すると、スペインは26.3%(10月分)。やはりギリシャの27.8%の方が上となる。

とはいえ若年層だけでなく中堅・壮齢層まで合わせ、大人の4人に1人以上は失業状態にある状況は、ギリシャ、スペイン共に好ましい話ではない(他国と比して、社会文化の違い、失業に対する保証制度の違いがあったとしても、だ)。特にギリシャは冒頭にある通り、今回分の27.8%は過去最悪の値を示している。あおりを受ける形で後述する若年層失業率も上昇しており、今まで以上の留意が必要になる。

そしてここ数か月来、そのギリシャとの関係の深さから、継続してチェックをしているキプロス。じわじわと、そして確実に失業率は上昇を続けている。一方でほぼ同じタイミングで(ギリシャとは、そしてキプロスともさほど関係は無い)アイルランドは少しずつだが確実に、雇用市場の上で状況の改善が見られる。両者を並べると、その相対する動き、違いが象徴的な形で良くわかる。
↑ 2012年6月-2013年12月でのキプロス/アイルランドの失業率(季節調整済)
↑ 2012年6月-2013年12月でのキプロス/アイルランドの失業率(季節調整済)

欧州全体としてはEA17の値に象徴される通り、高止まりにある失業率。もちろんすべての国が一様に高いまま維持しているわけでは無く、上記の2か国のように、二極化の傾向が明確化している。失業率上位国にあるギリシャ、スペインだけでなく、クロアチアやキプロス、ポルトガルなど、高失業率の国は経済・財政問題にも困難な状況にあり、雇用市場の二極化は経済状態の二極化をも表している。


↑ ドイツの景気回復の兆しと、経済の分極化を伝える報道映像(ロイター)

さて今回も該当月の前月(2013年11月)の値との差異を独自に算出し、その結果をグラフ化する(今回発表された値を基に、過去のデータも修正した上での計算)。

↑ EU諸国等の失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2013年11月→2013年12月)(またはデータ最新一か月前→最新)
↑ EU諸国等の失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2013年11月→2013年12月)(またはデータ最新一か月前→最新)

経験則的上、国内人口の少ない国では統計値が変化しやすい。また元々国の特性(統計の仕方、取り扱い方)から誤差が生じやすい、頻繁に修正を、数か月分もさかのぼって行う国もある。そこで一連の記事では独自基準として、前月比でプラスマイナス0.5%ポイント以内は「誤差」と見なし、留意対象からは外している。

その観点で精査すると、今回月ではいずれの国も状況改善・悪化の動きは無いという結果になる。出来れば値の多くがマイナス、つまり雇用市場が改善する形での誤差が続き、積み重なることで誤差では無く、実態としての改善に向かう動きであったとするような流れが望ましいのだが。

ギリシャが大きく跳ねる…若年層失業率


失業問題では先進諸国特有の動きとして注目されているのが、雇用上の立場で弱い立場にある若年層の失業率問題。高齢化が進み「席」が空きにくくなる一方、機械化・海外への外注化などが進んで国内労働需要が減り、新規の労働人口足る若年層の需要は自然に減退してしまう。若年層人口の減少率以上に労働需要の減少が進むため、必然的に若年層の雇用はますます厳しいものとなる。

直近の2013年12月時点では25歳未満の失業率はEA17か国で23.8%・EU28か国でも23.2%を記録しており、4人に1人近くが失業状態にある。25歳未満の就労可能な若年層が4人集まると、そのうち1人が失業している計算となる。なお今件の失業率は「ILO基準」なため、病気などから意図的に求職していない人はカウントしていないことに注意。市場を鑑み求職を断念した人も合わせると、さらに失業状況は酷い事になっている。

全体の失業率上位ではお馴染みの国々が、若年層失業率でも上位に並ぶ。、ギリシャの59.2%(2013年10月)、スペインの54.3%を筆頭に、クロアチア、イタリア、キプロス(ここまでが4割超え)など、経済的に不安定な国の高さが目に留まる。スペインは先月時ではギリシャを超えてトップにあったが、今回ギリシャが大幅に増加を示し、再び順位が入れ替わっている。

↑ 2013年12月時点でのEU諸国等の25歳未満の失業率(季節調整済)(12月データが無い国は直近分)
↑ 2013年12月時点でのEU諸国等の25歳未満の失業率(季節調整済)(12月データが無い国は直近分)

↑ 2013年12月時点でのEU諸国等の25歳未満の失業率・前月比(季節調整済)(12月データが無い国は直近分)
↑ 2013年12月時点でのEU諸国等の25歳未満の失業率・前月比(季節調整済)(12月データが無い国は直近分)

上記にある通りプラスマイナス0.5%ポイント以内を誤差基準とすると、今回月ではギリシャ、エストニア、ブルガリア、マルタの悪化、スペインとスロバキア、スウェーデンの改善が見受けられる。マルタは人口が少ないことから数字がぶれやすいのでこの程度なら特に留意することはないが、ギリシャは上記にある通り雇用市場全体の悪化(無論緊縮財政が大きな要因)が若年層に大きく影響している。またエストニアだが、昨年夏にかけて大幅に改善した状況が今冬に再び急速に悪化しており、少々不安な動きといえる。

ここ数か月チェックを入れた3か国、ハンガリー・スウェーデン・リトアニアの動きだが、ハンガリーは引き続き堅調に状況の改善が見られる。リトアニアは夏以降トレンドが悪化の方向に転じたようで、今回月は明らかに上昇=悪化に転じたように見える。ここまで順調に状況改善をしてきたのだから、これが一時的なぶれであることを願いたいのだが。

↑ 2012年1月-2013年12月での25歳未満の失業率(季節調整済)(ハンガリー、スウェーデン、リトアニア)
↑ 2012年1月-2013年12月での25歳未満の失業率(季節調整済)(ハンガリー、、スウェーデン、リトアニア)



失業問題、つまり雇用市場問題は、少なからず経済問題と連動している。失業率動向の上で「全体としては横ばい」「国別に見ると二極化の動き」の流れが見えてきたのは以前から言及している通りだが、上記ロイターの報道映像にもある通り、経済の回復基調の上でも似たような二極化が起きていると伝えられている。

IMFや欧州委員会による債務危機への対応方針の転換で、回復基調を示す国も現れ始めているが、先はまだ長い。一方で状況が悪化する国は確実に存在し、しかもその数が増えている感は否めない。また、若年層の雇用がより強く圧迫されている雰囲気もあり、このままでは国家間の二極化だけでなく、各国における世代間の二極化(経済的、雇用的)も生じる懸念すらある。

国を、社会を支える若年層の足元、具体的には雇用や経済の上での安定感が無ければ、短期的な話はともかく、中長期的には国そのものが成り立たなくなる。これからの国を支える若年層への、経済的・雇用面での配慮も欠かさないようにしてほしいものだ。


■関連記事:
【日本の順位変わらず・数字はやや改善(国債デフォルト確率動向:2013年Q3)】
【EU失業率を若年層と中堅層以降で比較化(2012年8月分)】
【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2012年版)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー