男性が育児休業を取りたい理由、とれなかった理由

2014/01/30 15:30

連合は2014年1月23日付で、パタニティ・ハラスメント(パタハラ)に係わる調査結果を発表した。それによると有職男性から成る調査対象母集団のうち、育児休業取得の希望がある・あった人において、その理由としてもっとも多くの人が挙げたのは「産後の妻の安静を確保したい」だった。6割近くの人がそれを理由に挙げている。次いで「妻だけで育児するのは大変」「子供と向き合う時間が欲しい」などが続いている。他方、育児休業を取得したかったが出来なかった・したいが出来ないと思っている人では、その理由として「仕事の代替要員が居ない」を挙げる人が最多数に登っていた(【発表リリース:パタニティ・ハラスメント(パタハラ)に関する調査】)。

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今調査は2013年12月4日から9日に渡り、20歳から59歳の職を有する男性に対してインターネット経由で行われたもの。有効回答数は1000人。世代構成比は20代・30代・40代・50代で均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。

今調査の表題「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)」とは英語表記で「Paternity Harassment」。女性の職場などでの妊娠・出産に関係する嫌がらせを「マタニティーハラスメント(Maternity Harassment)」と呼んでいるが、それの男性版を意味する造語である。つまり妻が妊娠したことに関する嫌がらせを指し示している。

育児休業は女性に適用されるものというのが一般的なイメージだが、少しずつ男性にも適用すべきであるとの認識は高まりつつある。また育児休業に関する法令(育児・介護休業法)は女性だけでなく、男性も対象とされている。もっとも企業側で制度が整備されていない事例も多い(申し出により取得は可能。詳細は【厚生労働省の解説ページを参照のこと:育児休業制度についてよくあるご質問】)。

今調査対象母集団のうち、育児休業を実際に採れたか否かは別として、育児休業取得の希望があった・ある人に対し、なぜ育児休業を取得したかったのかについて理由を尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 育児休業を取った・取りたいと思う理由(複数回答)(育児休業取得者も含む、育児休業取得の希望があった・ある人)(男性)
↑ 育児休業を取った・取りたいと思う理由(複数回答)(育児休業取得者も含む、育児休業取得の希望があった・ある人)(男性)

最上位の理由は「産後の妻の安静を確保したい」でほぼ6割。ほぼ同じ回答率で「妻だけで育児をするのは大変」が続いている。双方とも出産後の妻を気づかい、自分も積極的に手を差し出さねばとの想いから、それを実現するための育児休業取得を望んでいる・望んだことになる。

次いで多いのは「子供と向き合う時間が欲しい」で51.6%。定時に帰ることができれば夜に、そして休日はそれなりに時間を共有できるはずだが、残業が多くなかなか対面できない事例も多いのだろう。さらに仕事に従事している時間すら惜しく、子供に接していたいとのも想いも理解は出来る。

一方、このような想いを抱き、育児休業を取得しようと申請した・しようとしたができなかった、取得したいが無理だろうと考えている人は、何が取得のハードルとなっているのだろうか。

↑ 育児休業を取得したかったができなかった・取得したいができないと思う理由(複数回答)(男性)(育児休業を取得したかったができなかった人・取得したいができないと思う人)
↑ 育児休業を取得したかったができなかった・取得したいができないと思う理由(複数回答)(男性)(育児休業を取得したかったができなかった人・取得したいができないと思う人)

唯一過半数の回答となったのは「仕事の代替要員が居ない」で57.9%。制度は整備されていて周辺の理解もあったかもしれないが、自分が休業してしまうと仕事そのもののラインに穴が開いてしまう。中小企業でよくあるパターンだが、このような状況では周囲も首を縦に振りにくいし、申請した本人も取り下げてしまわざるを得なくなる。

次いで多い理由は「育休中は(無給のため)経済的に負担」が32.6%。働き頭の夫の収入が減るのは確かに負担が大きい。一応育児休業給付が雇用保険の制度として整備されており、これは男性でも取得可能だが、就労時の給与の満額が保障されているわけではない。

以下、「上司に理解が無い」「仕事から離れると元の職場に戻れるか分からない」「昇進・昇給への悪影響が懸念される」「同僚に理解が無い」など、職場における環境の整備不足(による不安)を原因とする回答が続いている。

今調査の別記事、さらには別の類似調査にもある通り、男性の育児を妨げるもっとも大きな要因は「仕事による時間不足」。育児休業取得の際にはこれに「周辺の無理解」「制度の不整備(代替人員含む)」「経済的な不安」「復帰後の職務上の不安」が加わる。元々日本では男性の育児関与自身が少数派的なものだっため、理解も薄く制度も不十分なのはある程度仕方がない面もある。

もちろん社会的需要が生じ、増加しているのであれば、環境を整え、意識を変え、臨機応変に対応させていくことが求められよう。


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