災害廃棄物処理94%まで進行、津波堆積物も86%まで進む…震災がれき処理動向(2013年12月31日時点)

2014/01/26 10:00

復興庁は2014年1月24日付で同庁公式サイト上において、「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況」の最新情報となる、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)の「震災がれき」(災害廃棄物等。災害廃棄物と津波堆積物)における2013年12月31日時点の処理進捗状況を発表した。その内容によると災害廃棄物の処理は93.8%、津波堆積物は85.6%まで進行していることが確認された。今記事ではこれまで復興庁が発表してきた各種「震災がれき」の処理状況に関して、最新情報を盛り込んだ上で、当サイトの独自指標も合わせ精査を行うことにする。

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震災がれきは2769万トン、未処理分は261万トンにまで減少


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)など、今記事内で用いられる各種がれき関連の専門用語は記事一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)にまとめて解説している。必要な場合はそちらで確認をしてほしい。

最初にチェックを行うのは、各対象物の「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物などは災害発生現場から仮置き場に搬送され、その後多種多様な方法で処分(焼却、埋め立て、再利用など)が行われる。直接現場から処理現場に運ばないのは、処理工程での混乱防止、そして作業の円滑化が理由。また現場(大部分は生活の場やその隣接地域)からの「がれき」排除を第一義的にしているのも大きな理由である。全体では2013年12月31日時点で災害廃棄物が97.4%・津波堆積物は95.3%との値が出ている。

↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年12月31日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年12月31日時点)

がれき処理の作業進行に従い、仮置き場に運ばれた総量は増加する。他方、がれき推定総量の再計測、さらには震災にまつわる解体作業で廃棄物が新たに発生する場合もあり、今件数字は一方的には上昇しない(同じ運搬量でも残量、そして総量が増加すれば、当然処理率は低下する)。実際、前回記事でのがれき総量は2748万トン、今回月では2769万トンとなり、20万トンほど増加している。現状では両方とも搬入率は9割を超えているものの、昨今では加算分による処理の追加発生、さらに作業が難しい地域での処理への対処から、この数か月間では大きな変化は生じていない。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフを作成し、現状を確認する。「処分」には対象の状況により多用な手法、例えば単純な埋め立て処分以外に再生燃料化、素材として売却処分・再利用などがある。今グラフの「未処理」は、被災現場に残されたままのものだけでなく、「仮置場」に搬入されている状態のものも含む(「仮置場」に移された時点では「処分済み」とはみなされない)。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年12月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年12月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年12月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年12月31日時点)(万トン)

上記にある通り全体で仮置き場への集約率は災害廃棄物は97.4%・津波堆積物は95.3%までと、双方とも9割以上にまで進んでいる。しかし処理・処分済み具合はご覧の通り、相当な遅延が生じているのが分かる。特に津波堆積物では遅れが著しい。

これは「震災がれき」の処理では通常の建築物(例えば老朽化した木造住宅)の取り壊しで発生したがれきと比べ、内容が複雑で量も多く(想定されない状況下でがれき化している)、処理に時間がかかることが最大の理由。全焼の火災事故で生じた住宅の取り壊しには時間がかかるが、その状況と類似している。

そのため、それぞれの被災県内の処理だけでは、能力的・物理的に短時間での作業進行は不可能(行程数・リソースが足りない)。「迅速な」処理には被災県だけでなく県外でも併行しての処理が欠かせない。しかしながら(昨今では以前と比べれば沈静化しているが)、この「被災地外での処理」に、非科学的・感情的・煽動的な理由による障害・妨害がある。

がれきの処理が行われなければ物理的、さらには地域住民の心理的な復興への足掛かりは得られない。廃棄物は時間が経てば処理がさらに困難となり、同時に、継続的に周囲の人の心を深く、そして広く傷つけていく。可及的速やかな処理が強く望まれる。

津波堆積物処理も最終段階か…全体的な処理の推移


復興庁では同庁公式サイト上で2011年12月時点分以降、災害廃棄物等の搬送動向の情報を定期的に公開している。その公開資料で、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分、一方で津波堆積物は2012年7月31日分以降。

それらの公開値をすべて取得した上で、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、今回精査している最新値の2013年12月31日時点は、震災から間もなく3年を迎えることになる。今なお100%にグラフが達していない現状は、震災の規模の大きさ、そして上記の通り該当県外での分散処理に対する妨害活動からある程度予想出来たが、むしろそれゆえに、誠に遺憾である。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年12月31日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年12月31日)

グラフのカーブ度合いを見れば分かる通り、災害廃棄物の処理は2012年の年末、津波堆積物は2013年の春先から処理の加速化が見られる。政情の変化がもたらしたものと考えられる。他方、その上昇の一部は「国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外された」のが原因のため、処理の加速化のみが原因ではないことも記しておく。

また未処理部分が少なくなるにつれ、より困難な場所での作業が必要となるため、災害廃棄物の処理状況の進展は、その歩みを遅くしつつある。グラフのカーブが明らかにゆるやかになっているのがその表れ。災害廃棄物では2013年半ばからその動きが見られたが、津波堆積物でも今回収録分、2013年12月末時点の値で、上昇カーブがやや緩やかなものに変化を見せている。処理の最終段階に入った兆しだろう。

今回月までの値を基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年と試算。2013年12月31日時点で約28か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するまでにあと約1.9か月、津波堆積物はあと約4.7か月ほどかかる試算が得られる。来年の夏頃までには災害廃棄物の処理では、事実上の終了宣言が出せそうな雰囲気。震災から3年以内の終了、つまり2014年3月中の100%達成を果たして欲しかったものだが、仕方あるまい。

全体進捗率は90.5%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握できるよう、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方(つまり「震災がれき」全体)の処理済み・未処理トン数、さらには総重量に対する処理進捗状況を公開値から当方で独自に算出し、その値を元にグラフを生成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年12月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年12月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年12月31日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年12月31日時点)(対全体進捗比率)

一色で平坦に塗りつぶされている部分が処理済、ぼかし効果のある部分が未処理(現場に置かれたままのものだけでなく、仮置き場に移されたものも含む)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できるグラフとなっている。現時点では震災がれきの処理は90.5%まで進んでいる。

今グラフのうち、特に万トン数の積み上げグラフから見るに、今なお261万トンもの震災がれきが処理されず、その姿のままで仮置き場や現場に残されている。引越しに使われることもある大型の4トントラックなら65万台分、戦艦大和(満載時、7.11万トン)ならば約37隻分と表現すれば、その量がイメージできよう。



先日【宮城県での震災がれきの可燃物処理終了】【震災がれき運搬専用列車の運行終了】でも伝えたように、震災がれきの処理に関して、確実な状況の変化を知らせるニュースが相次ぎ伝えられた。震災から間もなく3年目を迎える今となり、ようやくここまでこぎつけたかという感を、今件記事の各数字と共に、改めて覚えさせてくれる。


↑ 震災がれきを運ぶ専用列車の運行が終わることを知らせるニュース。【直接リンクはこちら:震災廃棄物輸送 専用列車の運行終了】

同時に、規模の大きさや複雑さはあれど、3年をかけても終わりそうにない震災がれきの処理について、複雑な想いを抱かざるを得ない。それだけに、余計に、復興目指して現場で作業を進める関係者、そして後方各面で作業対応をする方々の労苦がしのばれる。

復興、さらには飛躍につながる、次なる一歩を確実なものとするため、関係者の作業の障害が極力取り除かれるよう、心から強く願ずにはいられない。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)
【「がれきの撤去」はまだ半ば…被災三県がボランティアに望むこととは】(2011年11月)

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