米で進む電子書籍の「読書」、中堅層から若年層などへ

2014/01/22 11:30

米大手民間調査機関【Pew Research Center】は2014年1月16日に、同国内での電子書籍とそれを読む端末の浸透普及状況を調査したレポート【E-Reading Rises as Device Ownership Jumps】を公開した。それによれば同国内の成人で媒体を問わずに読書をした人のうち、電子書籍で読書をした人の割合はこの数年の間に増加する傾向を示していることが分かった。まず中堅層が伸び、次いで若年層と熟年層の電子書籍購読者が伸びている。

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今調査の調査要項、「タブレット機」「電子書籍リーダー」の定義は先行記事の【米国タブレット普及率は42%にまで躍進】を参照のこと。

別記事でも解説しているが、今調査対象母集団において過去1年間に媒体を問わずに読書(書籍、文庫本。雑誌は含まず)をしたことがある人は76%。その読書層では紙媒体で本を読んだ人が圧倒的なものの、電子書籍で読書をした人も相当率に登っている。

↑ 過去1年間で各媒体において読書をした人(米、18歳以上、2014年1月)(属性別)(再録)
↑ 過去1年間で各媒体において読書をした人(米、18歳以上、2014年1月)(属性別)(再録)

この「電子書籍による読書」の浸透具合を示したのが次のグラフ。この値は「紙媒体でも電子書籍でもオーディオブックでも良いので、とにかく過去1年間に読書をした人」、つまり本を読む人のうち、その読書が少なくとも電子書籍であった人の割合を示す(「電子書籍のみ」「電子書籍以外に紙媒体などの書籍も読んだ」人双方)。もちろんこの回答者の中にも紙媒体の本を読んだ人は多分に居る。

↑ 過去1年間で電子書籍で読書をした人(米、18歳以上、該当年で過去1年間に何らかの媒体で読書をした人限定)
↑ 過去1年間で電子書籍で読書をした人(米、18歳以上、該当年で過去1年間に何らかの媒体で読書をした人限定)

2011年の時点では中堅層まで1/4程度でしかなかった値が、2012年には30-49歳層で大きく伸びている。これはこの時期にKindleやKindle Fireなどが大いに売れて、タブレット機・電子書籍リーダーの所有率が大幅に上昇したタイミングと一致する。

↑ タブレット機/電子書籍リーダー所有率(米、18歳以上)(再録)
↑ タブレット機/電子書籍リーダー所有率(米、18歳以上)(再録)

この時期に、30-49歳世代がこぞってタブレット機や電子書籍リーダーを購入し、電子書籍を読み始めたであろうことが容易に想像できる。

その後さらにタブレット機・電子書籍リーダーは普及が進み、中堅層以外にも浸透しはじめたようで、18-29歳・50-64歳でも電子書籍による読書経験者は増加する。特に18-29歳の伸びは著しく、デジタル系アイテムの普及に火がつくと一気に加速する若年層の特性が表れている。他方65歳以上は伸び率が大人しく、直近2014年1月では逆に値を落としているのが分かる(統計上のぶれの可能性もあるが)。



タブレット機や電子書籍リーダーの普及と、それに伴う電子書籍を読む人の増加に伴い、紙媒体での読書の機会が減る。そう思う人は少なくない。しかし今調査では具体的な全属性別の数字こそ出していないものの、ほとんどの読者は電子書籍を読むために紙媒体で読むのを止める行為はしていないと説明している。

例えば直近の値では「読書はしたが電子書籍のみで、紙媒体での読書はしていないという人は5%しかいない」「電子書籍の読者の87%は紙媒体での読書もしている。また29%はオーディオブックも聴いている」などの値が提示されている。

今後さらに電子書籍を読むプラットフォームが普及し、電子書籍のラインアップが充実し、電子書籍を読む環境が整備されることで、紙媒体と電子書籍の関係に変化が生じる可能性はある。しかし今件調査結果を見る限り、今しばらくの間は「電子書籍が紙媒体のシェアを食う」という不安は杞憂に過ぎないようだ。むしろ需要を掘り起こす、良い機会にすらなると考えても良いだろう。


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