ネットの伸び、雑誌やラジオのマイナス継続中(経産省広告売上推移:2014年1月発表分)

2014/01/17 08:30

経済産業省は2014年1月15日付で「特定サービス産業動態統計調査」に関する2013年11月分の速報データ(確定値に先立ち公開される値)を、同省公式サイト内で公開した。それによると2013年11月の日本の広告業全体における売上高は前年同月比でプラス3.4%となり、増加傾向にあることが分かった。今件記事で精査対象となる5項目(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)中では「雑誌」がマイナス4.7%、「ラジオ」がマイナス2.8%を示しており、この2項目のみがマイナスという状態が3か月続く結果となった(【発表ページ:経済産業省・特定サービス産業動態統計調査】)。

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ネットは11.4%で上げ幅縮小、新聞とテレビは小幅だが上げ幅増し


「特定サービス産業動態統計調査」に関連する解説は、それらの精査記事の一覧【定期更新記事:4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】に記載している。必要な場合はそちらで確認のこと。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年10月-2013年11月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年10月-2013年11月)

前月分からの動きが分かりやすいよう、前回記事分(2013年10月分)データ(確定値に修正済み)と並列してグラフ化している。今回月では従来型4マスはマイナス値にせよプラス値にせよ、いずれも前回月からは改善した値なのが特徴。一方で「インターネット広告」はプラスに違いないものの、上げ幅をやや縮小している。それでも今回取り上げている5項目では最大の伸び率、11.4%の値をはじき出しているから大したものである。

該当月、つまり2013年11月における大手広告代理店電通・博報堂の売上動向に関する記事【ネットの強さ、電通の新聞・テレビの堅調さは継続(電通・博報堂売上:2013年11月分)】で類似項目の動向を確認すると、「インターネット広告が大きく伸長」「電通に限るが新聞とテレビが伸びている」との動きが確認できる。この類似性は先月分と同じであり、多分に両調査の類似性の表れともいえる(もっとも電通も博報堂も日本の広告業者であり、その最大手なのだから、動きが似通ったものになるのは当然の話だが)。

ちなみに4マス+ネット以外の一般広告の動向はこちらとなる。

↑ 4屋外広告などの広告費・前年同月比(2013年11月)
↑ 4屋外広告などの広告費・前年同月比(2013年11月)

屋外広告は比較的健闘、今回月では交通広告も奮闘している。しかし折込・ダイレクトメールと海外広告の軟調さは相変わらず。過去データをさかのぼると、従来型広告のうちもっとも不振な状態にあるのが折込・ダイレクトメールで、2013年では前年同月比でプラスを示したのは1か月分でしかない。費用対効果が薄れ、それが広告主にも浸透しつつあるのだろうか。

再び新聞伸びるもわずかにネットに及ばず


今回も該当月(2013年11月分)における、各区分の具体的売上高をグラフ化してみよう。広告代理店業務を営む日本の企業は、最大手の電通と博報堂のみだけでは無く、そして各広告種類の区分が業界内で統一されていないため、当サイトで月次更新している【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】との額面上での完全一致性は無い。金額に差異が生じても何ら不思議ではないことに注意してほしい。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年11月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年11月、億円)

金額面では「インターネット広告」が「新聞」を超える月が継続中。【どちらが優勢か…新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる】で解説している通り、2011年3月以降は継続して「インターネット広告」の金額が「新聞」よりも上の月が続いている。今回月で両者の関係は20か月続いており、今件5項目中では「テレビ」に次ぐポジションが固定化されつつある。もっともこの数か月は「新聞」が順調なセールスを続けており、差は幾分縮まりつつある。あるいはイレギュラー的な動きが起き、両者の順位が逆転することも、この数か月のうちに起きるかもしれない。

一応今の所「テレビ」に次ぐポジションにある「インターネット広告」は、他メディアと比べると起伏が大きいことも特徴の一つ。これは広告出稿・展開上の機動性・柔軟性の高さを示している。またグラフ化をすると分かるのだが、この一、二年では成長率が鈍化している。

↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年11月)
↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年11月)

特に昨年後半以降、ぐんと突き出るような伸びを示す月が見られず、大人しい動きに終始しているのが見てとれる。安定期に移行したのだろうか。

次のグラフは今件記事で対象としている5項目、そして総計について、公開されているデータの中期的推移を示したもの。今調査で「インターネット広告」の金額が計上されはじめたのは2007年1月以降。そこで、それ以降に限定した流れを図にしている。

↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年11月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年11月分まで)

各媒体の動向が顕著に表れる図が生成される形となっている。特に「雑誌」(黄色)と「新聞」(ピンク)の低迷ぶりがうかがえる。両者は従来型4マス、そして紙媒体との共通点があり、この共通項がこの数年におけるメディアの激変に関して、ウィークポイントであることをうかがわせる。

グラフ描写期間中には金融危機(2007年晩夏)、リーマンショック(2008年秋)、東日本大地震・震災(2011年春)と、経済分野では大きな事象が3件発生している。当然広告費にも多大な影響を与えており、それぞれの期間に各項目は小さからぬ降下傾向を示している。特にリーマンショック後の下げ幅は劇的で、いかに経済全体にダメージを与えたかが改めて認識できる。

一方、それらの事象からの復帰に際し、それぞれの分野で回復の仕方や回復度合いはそれぞれ違いを見せている。各メディアの柔軟性、受けたダメージの大きさ、事象後の環境への適合性の違いなどがおぼろげながら浮かんでくるというものだ。要は「進化に対応しきれているか否か」とでも表現できようか。



オリンピック招致決定による先行投資・期待感による特需はすでに終焉を迎えており、今後は実態に伴った需要増加が各実績に反映されていくことになる。もっとも建設業やインフラ関係への実投資ならともかく、広告関連となると、明らかな違いが見えて来るのはもう数年先のことになろう。

スマートフォンの普及率はさらに上昇を続け、広告展開側も「スマホの利用が前提」という仕切り方を見せるものも増えてきた。あるいは従来型広告との組み合わせで、スマホを利用することでプラスαの便益を広告視聴側に提供するものも点在している。特にAR系の手法は短期間に圧倒的な集客効果が期待できると共に、ソーシャルメディアに乗じることで累乗的な公知効果が望めることもあり、今後さらに実例となる広告は増えてくることだろう。

一方、今回月でも軟調が続いている「新聞」「雑誌」のような紙媒体は、業界そのものが委縮している感はある。他のメディア、特に新メディアとの連動性をどのように確保していくか、斬新な発想が求められよう。


■関連記事:
【新聞とネットの順位交代…今年一年の従来4マスとインターネットの広告売上動向を振り返ってみる(2013年)】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(上)…4マス+ネット動向編】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(下)…ネット以外動向概況編】
【5年ぶりに前年比プラスの3.2%・総額5兆8913億円…過去20余年の媒体別広告費動向(2013年発表)】

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