4マス軟調、ネットと従来型は堅調(電通・博報堂売上:2013年12月分)

2014/01/16 08:30

博報堂DYホールディングスは2014年1月15日付で、同社グループ主要3社の博報堂、大広、読売広告社それぞれにおける2013年12月分の売上高速報を公開した。また電通ではそれに先行する同年1月14日に単体売上高を発表している。これにより日本国内の二大広告代理店の2013年12月次の売上データが出揃った。今回は両社の主要種目別売上高の前年同月比を抽出の上、いくつかの指標を独自計算して各種グラフを生成し、それぞれの広告売上動向、さらには広告業界全体の動きの精査を行っていく。

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4マス押し並べて不調、ネットは順調


データ取得元の詳細情報、各項目に関する算出上の注意事項は、記事の集約ページに当たる【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で解説済み。必要な場合はそちらにて確認してほしい。

↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2013年12月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2013年12月分種目別売上高前年同月比

先の震災による物理的・心理的影響は大きく、結果として消費者の消費性向は大きく落ち込み、そして変化が生じることになる。消費者の消費に敏感な広告業界にも当然大きな影響が及んでいる。詳しくは過去のデータを参照してほしいが、震災後には両社の売上高はさんさんたる状況を呈している。

しかし時間の経過と共にその減少ぶりも鎮静化し、現在では(後述するが金額はともあれ)広告種類別の相対的な立ち位置をはじめとした各種状況は、震災以前の業界内の動きを踏襲しつつある。

具体的には「従来型メディアの4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の影響力低下」「インターネットの伸長」の2点。さらに加えるとすれば、高齢化の加速と、震災の影響を受けて生じた新しい社会情勢を起因とした「テレビの復調」「従来型広告の復権」のような、震災前には目立たなかった、あるいは無かった動きが見え始めている。

今回の12月分を確認すると、まずは4マスの不調が目に留まる。この数か月は4マスのいずれか、特にテレビが好調さを見せていたものだが、今回月は押し並べて不調。電通のテレビと博報堂の雑誌がかろうじてプラスを示しているが、その比率もわずかなもの。ラジオは両社とも大きく下げ、特に新聞は博報堂が、雑誌は電通の下げ方が著しい。新聞は前年同月において博報堂がプラス20%近い値を示していたため、その反動も多分にあるが、雑誌は両社ともマイナス10%を記録しており、そこからさらに今回月でマイナス値を見せた電通は、かなり辛いところがある。

インターネット広告は両社とも堅調。前年同月はマイナス1%内外とやや弱い動きを示していたが、そこからの伸びとしても大きな背伸びをしたことになる。また従来型広告も「その他」で一部弱いところがあるが、概して好調。特にマーケティング・プロモーション部門は両社共に20%を超えるプラス値を見せている(もっとも電通は前年当月でマイナス19.1%だったので、その反動も多分にある)。

取りまとめると「4マス軟調だがネットと従来型がけん引し、全体としてもプラス」という形にまとめられよう。

電通の総額推移で広告業界の回復ぶりをチェック


次のグラフは電通の各年12月の広告売上総額推移を抽出し、その動向を折れ線グラフにしたもの。同じ月の動向を確認することで、季節属性(季節や月により広告出稿の大小が生じる)に惑わされることなく、純粋に年ベースでの状況の推移を把握できる。

↑ 電通月次売上総額推移(各年12月、億円)(-2013年)
↑ 電通月次売上総額推移(各年12月、億円)(-2013年)

電通の各年12月における総額動向を確認すると、2006年までは景気回復から好景気の流れで漸次増加を見せていたが、2007年晩夏に始まる金融危機の影響を受け、2008年以降は大きく広告売上が落ち込んでいる。そしてリーマンショック以降に谷を形成し、それ以降はやや持ち直しを見せつつあったものの、震災にもめげず上昇を継続。2012年にはややへこんだものの、2013年には前年の減退分を取り戻すかのように大きな伸びを示すことになった。少なくとも今回月分だけを見ると、金融危機直前の水準まであともう一歩のように見える。

もちろんこの動きは広告売上全体におけるもの。売り上げを構成する要素は金融危機以前と現在とでは大きな変化が生じている。わずか5、6年ではあるが、それほど広告業界…に限らずメディア全体…の構造はダイナミックな動きを示し続けている。特に震災以降はテレビと一般広告の伸びが顕著、中期的な流れとしてインターネットがメディアとしての認知度を高め利用度もアップしており、広告費も積み増されている。それぞれの項目のシェアが増え、それ以外が減少していくのは自然の成り行きではある。経産省の広告費動向ではあるが、【新聞とネットの順位交代…今年一年の従来4マスとインターネットの広告売上動向を振り返ってみる(2013年)】で言及した通り、昨年2013年は新聞とインターネットの売上の上でのポジションが入れ替わるという、歴史的な年でもあったのは記憶に新しい。

なお今記事の最上位にある項目別の前年同月比を示したグラフだが、電通と博報堂それぞれの項目の値はあくまでも各企業内での比較による比率であることに注意してほしい。金額は大きく異なる。

下記に金額面での具体例をいくつかまとめてグラフ化しておく。個々項目では電通の方が額面は大きい。そして項目別ではインターネット分野の市場規模は、従来4マスの最大勢力であるテレビにははるかに及ばない。言葉通りケタ違いの市場規模である。

↑ 電通・博報堂DYHDの2013年12月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂DYHDの2013年12月における部門別売上高(億円、一部部門)


また、電通と博報堂間では売上総額で約2倍、「その他」部門では10倍以上もの差がある。許容範囲、包括力の違いが改めて認識できる。



需給状態そのものは改善されつつある電力事情だが、それを支えるインフラの運用状況はむしろ悪化傾向にある。想定を超えた無理難題レベルの稼動率や継続年数を示す発電所が多数に及び、燃料調達コストも(額面そのものに加えて安定確保という安全上のリスク的な意味でも)増加するばかりで、一般消費者には見えにくい形でのリスクは積み増しされている。明らかに把握できる点としては電気料金の値上がり位だろうか。

電力関連の震災後の環境変化は、デジタルサイネージをはじめとした電力消費量の大きいタイプの広告への大きなプレッシャーとなり、それらの広告はトーンダウンを余儀なくされている。一方、それに代替する形で従来型の一般広告が活気づくという連鎖反応が起きていることも注目したい。

12月といえば年末年始で各種プロモーションが大規模に展開する稼ぎ時の月の一つでもある(もう一つは年度末の3月)。その月に4マスが不調、ネットと従来型が堅調という動きを示したのは、単なる偶然だろうか。


■関連記事:
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(上)…4マス+ネット動向編】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2012年版)(下)…ネット以外動向概況編】
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