欧州安定化、南北米大陸やや上昇の動き(国債デフォルト確率動向:2014年1月)

2014/01/15 14:30

国債・公債などの債券のリスク度合いを示す指針の一つ「CDS(Credit default swap)」をベースに、逐次算出されている国・地域の国公債のデフォルト確率を表す指標が「CPD」。当サイトでは主要国の中でも財政・債務の点でリスクが高い国々の動向や経済情勢の目安とすべく、毎月定期的(毎月15日)にこのCPDの上位国(=高リスク国)の動向、さらにはそれをベースにした周辺環境の確認を行っている。今回は本日、2014年1月15日に取得した値をグラフ化し、現状の精査を行う。

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CDSや、国公債のデフォルト確率を表す言葉「CPD」(5年以内のデフォルト可能性を示す)の定義や今件データの取得場所、そして各種概念の説明は【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】に掲載している。必要な場合はそちらで確認のこと。

今グラフは日本時間で2014年1月15日、本日先程取得したばかりの一番新しいデータをもとに作成している。そして前回月も値が取得できた国・地域は前回値を併記している。今回はエルサルバドルが前回月では上位10位以内に無かった国として登場していることもあり、同国の前月分には「NO DATA」が記載されている。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2014年1月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2014年1月15日時点)

2007年夏の「サブプライムローンショック」を発端とする直近の金融危機、そして経済不況は多くの国に影響を与えることとなった。欧州ではそれと前後して各国の債務問題が露呈化している。特にギリシャとスペインの財務状態の深刻さは注目を集め、各種動向は日本でも毎日のように現地の映像を交え伝えられた。しかしその状況も最大の山場を越えたようで、昨年後半以降は(比較論だが)安定さすら見受けられる。

かつてのような「すぐにでもあの国は破たんしかねない」「あの国が破たんしたら、その国をトリガーとしてドミノ的な破たんが各国で連鎖的に起き、前世紀前半のような世界的大恐慌が発生するかも」という類の危機的な雰囲気は見られない。これは当事各国、それらの国を包括する欧州委員会、ECB(欧州中央銀行)などの組織による尽力、そして経験則を活かした、正しい道のりへの選択(経済再成長の道筋を明確化した上での財政適正化)によるところが大きい。

今回月の動向を具体的に見ていくことにする。前回月ではいずれの上位国もその前の月と比べて値を落とした=リスクが軽減した動きを示した。今回月では一部の国で引き続きリスクを前月から軽減する一方、他の国では増加する動きを示している。かつては「8割9割は当たり前」と某テレビCMのような状態だったギリシャは31.25%にまで下落。かつての状態がはるか昔のような気さえ覚える。

そのギリシャをはじめ、キプロス、エジプトなど欧州各国の値は一様に下落。一方、アルゼンチン、ベネズエラ、プエルトリコ、エルサルバドルなど南北アメリカ大陸に属する諸国はいずれも値を上げている=リスクを上乗せしている。アメリカ合衆国自身の一州であるイリノイ州はわずかながらも下落しているが、これだけ一様に上げている様相は、少々首を傾げてしまう。

数か月前から情勢不安定が続いているプエルトリコはともかくとして、これだけ揃ってアメリカ大陸諸国の動向が不安定化している理由は何だろうか。あえて挙げるとすれば、ここしばらくの間北米大陸を覆っている寒波が原因の可能性は否定できない。


↑ 地獄を意味する「ヘル」と同じ読み方をする地名を持つ「ヘル」も雪と氷の世界に。【直接リンクはこちら:「地獄も凍る寒さ」、ミシガン州ヘルに寒波襲来 (字幕・9日)】

先日発表された米国雇用統計も寒波の影響を受けて複数の項目でイレギュラーな値が出ており、これが同国はもとより経済的関係の深い諸外国の市場にも大きな変動をもたらす要因となっている。変動幅はさほど大きなものではなく、杞憂に過ぎなければ良いがという程度であることから、CPDの観点では深い心配をする必要までは無いと思われる。来月計測時期に寒波が去り、同時に該当各国のCPDが押し並べて下がる状況になれば、その推測はある程度裏付けされることになるのだが。

また、今回挙げられた国の中では、エルサルバドルで2月2日に大統領選挙が行われることになっており、結果次第では国内情勢が大きく動き、それに伴いCPDも大きく揺れることもありうる。次回計測時には再び同国が顔を見せることがあれば、選挙の結果はネガティブに働いたとの判断が出来よう。



日本はCPD上位を示す上記グラフにその名前は無い。つまりそれだけCPD値が低い=デフォルトのリスクが低い状態と市場からは見なされていることになる。日本の債務状態が、例えばギリシャのような欧州諸国のハイリスク国と同じ状況であると語る識者や報道も見受けられるが、少なくとも市場関係者間では、そのような解釈はなされていない。

今リストに無い、つまりリスクの低い諸外国の動向は、四半期毎に公開されるCMD Visionのリスクレポートの最新版(【CMA Release Global Sovereign Credit Risk Reportの一覧ページ】)で確認できる。現時点では2013年第3四半期分のものが最新だが、そのレポートによると日本のCPDは5.2%、順位は低い方から数えて19位。前四半期と比べると値は改善、相対順位は変わらずで、比較的良好な状態にある。詳しくは【日本の順位変わらず・数字はやや改善(国債デフォルト確率動向:2013年Q3)】で解説しているので、そちらで確認してほしい。

欧州地域は今なお高い失業率を示しており、これも財政をはじめとする経済問題が大きな足かせとなっている。概して経済と雇用市場は連動する関係にあるため、諸国の経済構造が改善され、景気が回復するに連れ、失業率も低下していくことは容易に想像できる。そしてそれら好循環が成されれば、自然とCPDも下がっていく。

もちろん当事国にとって経済は堅調であることが望ましく、失業率は低い方が良く、そしてCPDも低水準の方が喜ばしい。しかし特効薬的な経済・財政上の改善策は無く、今なお状況改善のための試行錯誤は続けられている。諸国の尽力が実ることを願いたい。


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