駆け込み需要と飲食先行きの低迷と…2013年12月景気ウォッチャー調査は現状上昇・先行き下落

2014/01/14 15:30

内閣府は2014年1月14日、2013年12月時点における景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。それによれば現状判断DIは先月から継続する形で2か月連続して上昇し55.7となり、相変わらず水準値50は上回る状態を維持することとなった。先行き判断DIは先月から転じて4か月ぶりに下落し54.7となったが、水準値の50以上はキープした状態が続いている。結果として、現状上昇・先行き下落の傾向を示している。基調判断は先月と表現を微妙に変え「景気は、緩やかに回復している」となっている(【発表ページ:平成25年12月調査(平成26年1月14日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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消費者マインドの改善と駆け込み需要


調査要件や文中のDI値の意味については、今調査の解説記事一覧【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で説明している。必要な場合、そちらで確認をしてほしい。

2013年12月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比プラス2.2ポイントの55.7。
 →2か月連続の上昇。「変わらない」「やや悪くなっている」「悪くなっている」が減少し、「良くなっている」「やや良くなっている」が増加。
 →家計では年末商戦の堅調さ、消費者の購入性向の状況改善、客単価の向上、さらには消費税率引上げ前の駆け込み需要とポジティブな要素が重なり、大きめな金額の商品、自動車、家電が良く売れた。また企業では受注の増加が見られたことで上昇。雇用は多業種で求人の増加があり上昇。

・先行き判断DIは先月比で0.1ポイントマイナスの54.7。
 →消費税値上げ前の駆け込み需要への期待があり企業・雇用部門で上昇。しかし需要の他業態へのシフト懸念から家計動向では低下。
今回月では消費税周りの反応は概してプラスに働いているものの、先行きで家計動向への不安、特に飲食関連のマイナスが大きく出たため、これが全体の足を引っ張る形となった。

全項目プラスを示した現状判断DI


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向を簡単ではあるがチェックしていく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2013年12月)
↑ 景気の現状判断DI(-2013年12月)

先月発表分、つまり11月分では消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動を受け大きなマイナス値(マイナス8.5)を示した住宅関連だが、今回月はプラスに転じる形となった。反動は先月分で終わり、回復に向かう兆しを見せたようだ。また飲食関連はこの数か月低迷を続けていたが、少しずつ持ち直しを見せる中、今回月でようやく基準値の50を突破した。雇用関連も今回月はプラス。各項目の中ではもっとも高い値を示している。

大まかな区切りで見ると、企業や雇用がやや高めの値を示し、家計がそれよりは低い値に留まっている。景気回復期における回復感の浸透スピードの違い、具体的には企業が先に、そして家計にも景況感が反映されるという定石のパターンが見えており、興味深いものがある。

景気の先行き判断DIは現状DIとはやや異なる動きを示している。現状が消費税引上げ前、先行きが引上げ後の動向を見ているようでもある。

↑ 景気の先行き判断DI(-2013年12月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2013年12月)

もっともマイナス値が大きいのは飲食関連のマイナス4.5。次いで住宅関連のマイナス0.6。消費税率引き上げ後の需要減退、消費性向の低下を懸念したものとなる。また飲食など一部業態に限定されるが、今後は消費税引き上げ前の駆け込み需要で耐久消費財に家庭のお金が重点的に回されるため、買いだめが出来ない飲食周りはひかえられてしまうとの思惑が強く働いている。さらに税率アップ後はこれまで以上に高単価となる外食からは足が遠のくとの懸念もある。

消費税引き上げを間近にひかえた様々な実態と思惑


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたり、その判断理由を詳細に記したデータも公開している。そのデータの中から、世間一般で一番身近な「家計(現状・全国)」「家計(先行き・全国)」の事例を抽出してみることにする。

■現状
・節電のための冷蔵庫、LED照明の販売が好調である。ただし、消費税増税前の買換えの動きはあまり目立っていない(北海道・家電量販店)。
・今月は非常に景気の良さを感じる。クレジットカードの取扱高が日別で過去最高を記録した。飲食業においても、ここ数年忘年会シーズンでも余裕で予約が取れていたが、予約できない店が多数出ている(商店街)。
・客の冬のボーナスも増えている。また、消費税増税前の駆け込み需要が発生している。そして、新型エコカーの発売で新車受注は好調に推移している(乗用車販売店)。
・時計宝飾等の高額品のみならず、コートやスーツといった衣料品の動きが好調である。景気の回復と消費税増税前のボーナス支給とが相まって、高単価品をまとめ買いしている(百貨店)。
・全体的な単価上昇に加え、特に宴会の料理では前年よりも高いコースを選ぶ客が増えている。海外からの観光客も回復傾向がみられる(一般レストラン)。
・他社の受注状況を聞くと、消費税増税に伴う駆け込み需要は減り、現在は受注残の具体化が精一杯とのことである(住宅販売会社)。

■先行き
・バレンタインデーやホワイトデー、節分などのイベントがある。また、練りに練った大雪対策も実行してみたいと思っている。チャンスはまだまだある(コンビニ)。
・消費税率が上がる前に、化粧品などの買いだめできる商品の売上が大きく伸びる(百貨店)。
・たばこなどは消費税増税前の駆け込み需要が期待できるが、他の商品はあまり変わらない(コンビニ)。
・来年4月の消費税率引上げ前に、電化製品や自動車などの駆け込み需要は発生すると思われるが、単価の安い飲食関連業界においては、客の動向にほとんど変化はみられないと想定している(一般レストラン)。
・消費税増税直前となり、個人消費は耐久消費財への支出のため、高単価な外食には抑制的になると思われる。4月以降は企業接待の増加への期待感があるが、不透明感が強い(高級レストラン)。
・消費税増税までのカウントダウンが始まり、耐久消費財などにお金が流れるため、不要不急の買物は後回しとなってくる(旅行代理店)。
これからバレンタインデー、ホワイトデー、節分、卒業式、入学式など比較的消費をうながしやすいイベントが相次ぐため、それらに向けた実働・期待感があり、それに加えて具体的な景況感の回復、さらには消費税引き上げ前の駆け込み需要の発生など、現状判断ではプラス要素が山ほどの状態となっている。

ただし上記でも触れたように、それらのあおりを受け、非耐久消費財、特に飲食関連は現況はともかく近い将来、消費税引き上げ前後は厳しい状況になるであろうとの推測が多数を占めている。

特徴的なコメントとして目に留まったのは、まず一つ目が「節電のための(新型)冷蔵庫やLED照明の販売が好調」という北海道の家電量販店の話。節電志向は全国で継続しているが、冬の電力不足は特に北海道電力管轄で深刻化しており、その懸念が消費をさらに後押ししていることになる。もう一つは製造業周りの企業動向コメントで、「顧客の仕事量増加により、人手不足が起きている。それをカバーするために、機械工具の販売量が増加している」とのもの。風が吹けば桶屋が儲かる的な連鎖反応が起きているのは興味深い。



政策効果の
実態が少しずつ企業に
プラスの効用として
実体化。
消費者の消費性向は
回復の動きを確かにし、
イベント向けの消費や
税引上げ前の
駆け込み需要も本格化。
一方で駆け込み需要の
あおりを食らう業態や
仕事の急増による
人材の不足も発生。
直近の不況は2007年夏の「サブプライムローンショック」をトリガーとした金融危機と、それに拍車をかける形となった2008年秋のリーマンショック。これに2011年3月の震災が重なり(、さらに言えば政治の白紙化、あるいは幼稚化が加わり)、景況感を大きく損なう状況が長きに渡り続いていた。中でも特に震災は経済だけでなく日本人の心理傾向に大きな影響を与えたと判断しても過言ではないほど、多様な面での変化が生じている。

景況感そのものは国内外を合わせ回復の動きを示し、過度の円高も是正される方向にある。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定をはじめとした中期的な展望も見えてくるようになった。一方で今春の消費税引上げのような経済上での不安定要素があり、また依然として継続している、電気料金の負担に代表される「負の遺産」も、経済面をはじめ多方面で消費性向に負荷を与え続けている。

今後数か月は消費税周りで何かとマインドが大きく変化し、それに伴い各指数も激しい動きを示すことになる。その「ぶれ」が収まった後(恐らくは夏以降になるだろう)、景況感がどちらを向くことになるのか。良い方向性が示されるべく、多種多様な政策が打たれることを期待したい。


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