砂糖は下がり、乳製品が上がる(2013年12月分世界食糧指数動向)

2014/01/11 15:00

2014年1月9日に国連食糧農業機関(FAO、Food and Agriculture Organization)は公式サイトにおいて、同機関が毎月定期的に算出し公開している【世界食料価格指数(FFPI:FAO Food Price Index)】の2013年12月分に係わる発表を行った。この値は1990年以降にFAOが世界の食料価格の変化を月単位で定期的に集計、計算した上で発表しているもの。今回はこの各種値の12月分の最新発表値を基に、当サイトで独自に複数のグラフを生成し、世界規模での食糧価格の推移を精査していくことにする。

スポンサードリンク


この一年は小幅な変動幅に留まる動き


今記事中にあるデータの取得元、各種用語の解説については、一連の記事のまとめページとして生成した【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で行っている。必要な場合はそちらで確認を。

最新データを基にまず生成するのは、公開データとしては最古の1990年1月から現時点の最新値(2013年12月分)までを反映させた、全データによる推移を一望できる折れ線グラフ。前世紀終盤以降の中長期的な食料価格の変移が、俯瞰的に確認可能。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2013年12月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2013年12月)

砂糖は価格変動性が高い食料品。その実態を体現化するかのような値動きがグラフからは確認できる。それ以外の項目は大きな動きは無く、2005年前後までは下限を50、上限を150とした領域での値動きに留まっていた

2005年終盤以降は、全体的に少しずつ上昇の気配を見せる。そして直近の金融危機のきっかけ「サブプライムローンショック」(2007年夏-)では、これまでには見られないほどの急激な上昇を示す。これは株式市場の暴落で投資先を失った投資資金が商品先物に流れ込み、食料品価格を投資・投機対象として釣り上げたからに他ならない。その後は反動による急降下、「リーマンショック」(2008年9月以降)による乱高下の末、現在の高値安定の動きに至る。

直近では2011年後半期から少しずつ値を落としている……というよりは200前後に集約の動きを示している。200プラスマイナス50を領域にしたボックス圏かというところか。

続いて、グラフ生成開始時期を食糧市場にも大きな影響を与えている金融危機が勃発した2007年に合わせ、対象期間が短いグラフを生成し、金融危機以降の動向を確認する。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2013年12月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2013年12月)

2010年初頭からジェットコースターのような急落と急上昇が砂糖指標で起きている。これは砂糖相場での過熱感と豊作による急落、そして需給状態を受けての再上昇の動き。その後2011年中旬の約400が天井となり、昨今では豊作による供給過多、そして世界的な景気後退で生じた甘味需要の減少を背景に、漸減傾向にある。

それ以外ではこの1、2年において穀物や油脂の急落、乳製品の急上昇といった動きが把握できる。

前月比と前年同月比の動き


昨今、さらにはここ1年ほどの食料価格の動向確認のため、各指標の元値から「前年同月比」と「前月比」をそれぞれ当方で独自に算出。数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2013年12月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2013年12月)

総合指数は前月比でプラス0.2%と先月から転じてわずかに上昇、前年同月比ではマイナス3.4%とこちらは逆に下落。昨年は比較的下落の流れが生じていたものの、直近ではほとんど値動きが無いのが把握できる。

個別項目を見ると、前年同月比では乳製品が3割近くと唯一大きなプラス。これは先月から変わらずで、直上の折れ線グラフにもある通り、この1年で大きく値を上げている。一方穀物・砂糖の2項目が大きなマイナスで、こちらも先月からの継続。こちらは乳製品とは逆で、この1年で大きな下落を示したが、穀物はここしばらくは安定した値動きとなる。他方砂糖はやや大きめな下落を示している。この数か月は再び上昇するように見えたが、先月から続き急降下を示し、失速の感は否めない。

リリースではこれらの動きについて「乳製品が大きく上げているのは、中国の粉ミルク需要の急増に伴うもの。バターやチーズの生産業者もこの需要に応えるべく、生産力の一部を粉ミルクに振り分けている。結果として需給のバランスが崩れ、バターやチーズも値上がりした」「砂糖が下げたのは世界最大の生産・輸出国であるブラジルで、サトウキビの収穫が予想を上回ったため。また、タイや中国でも生産量が増加したのも価格下落に大きく関与した」と説明している。

農林水産省のレポートで現状を確認


今記事で毎月精査している【農林水産省の海外食料需給レポート】の2013年12月分で最新の動向を確認する。昨年12月27日発表の最新レポートによれば、国際的な穀物需給に関しては、小麦・とうもろこし・大麦・米で生産量が増加し、史上最高の量(24.4億トン)となる見込み。消費量も小麦・とうもろこし・大麦・米の全項目で増加し、こちらも史上最高の量となる見込み(24.0億トン)が続いている。そして期末在庫量見込みは生産量が消費量を上回ることから、上昇する傾向を示している(4億8400万トン、生産量比で20.2%(期末在庫量÷消費予想値で計算))。

在庫が漸増を続けているのは、昨年の異常気象で引き起こされた食糧生産量の減少に伴う反動が主要因(減収からの回復に加え、相場高で生産意欲が向上する)。一方で消費量の増加は新興国の食料用需要以外に、飼料用、そしてエタノール用需要が増加していることに伴うもの。特に新興国で飼料用需要が増加していることは、今後さらなる需要増を示唆していることから(新興国は今後生活水準が向上する。すると食生活で肉を多く食するようになる。その肉を増産するため、より多くの飼料が必要となる。そして一人を満腹させる量を、消費する穀物量で比較すると、はるかに肉の方が多い)、穀物相場の上昇につながる可能性がある。そして人々の生活水準は、よほどのことが無い限り後戻りはできない。

天候不順などで生産量が減退すれば、突発的な価格上昇の引き金にもなりうる。今後とも気象情報と共に、農作物の出来・不出来には十分留意したいところだ。


■関連記事:
【オーストラリアの干ばつ続く、農業が危機的状況に】
【気象庁、エルニーニョ現象の発生を確認、冬まで続くとの観測】
【食料価格にも影響か・肥料大幅値上げ、最大で9割】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー