成人男性20%・女性9%は「強い疑い」な糖尿病の現状(2016年)(最新)

2016/11/18 05:18

厚生労働省は2016年11月14日、「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」を発表した。それによると2015年時点では推計で糖尿病が強く疑われる20歳以上の人は男性で19.5%、女性で9.2%存在していることが分かった。年齢階層別では歳を取るに連れて、男女別では男性の方が、強い疑いの人の割合は増える傾向が確認できる(【国民健康・栄養調査:調査一覧ページ】)。

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糖尿病とは体内の各組織を動かすエネルギー源となるブドウ糖が、細胞内に上手く運ばれず、血液内に留まってしまう症状。ホルモンの一種であるインスリンが不足したり、うまく細胞に作用しないことで起きる。

また糖尿病には大きく4つ「1型」「2型」「遺伝子異常や他の病気が引き金となるもの」「妊娠糖尿病」に分けられるが、多くは「1型」「2型」に該当する。前者は子供のうちに始まることが多く、かつては小児糖尿病などと呼ばれていた。後者は食事や運動などの食生活によって肝臓や筋肉へのインスリンの働きが悪くなったり、インスリンの出る量が少なくなって起きる。日本では95%以上がこの「2型」タイプであり、糖尿病が一般的には「生活習慣病」の代表的な病症の一つとされるのも、これが起因となっている。

今調査では原則として5年おきに糖尿病に関する症状状況を詳しく調べており、2012年分がそれに該当した。今回公開された最新の調査結果は速報に該当する概要の時点では詳細の調査結果は無く、簡易検査の調査結果が呈されている。調査対象母集団のうち血液検査を行った者(20歳以上)を対象とし、その検査から取得した各種パラメータや調査票の関連項目を基に、「糖尿病が強く疑われる者(強度の糖尿病リスク者)」(糖尿病治療を現在行っている者も含む)を集計したのが次のグラフ。例えば男性70歳以上は「強く疑われる」が27.3%とあるので、男性70歳以上の人のうち、2割強は糖尿病の可能性が多分にある、あるいは治療中となる。

↑ 「糖尿病が強く疑われる者」の割合(2015年)(20歳以上)
↑ 「糖尿病が強く疑われる者」の割合(2015年)(20歳以上)

男女別では男性の方が嫌疑率が高い。また世代別では歳を経るほど率が上昇していく。70歳以上では男性で22.3%、女性で17.0%が「強い疑い」状態にある。

これを男女総計の値の上で、毎年の変移を2006年以降の推移にして確認したのが次のグラフ。なお先行記事【一日の平均歩数は男性7200歩・女性6200歩(2016年)(最新)】でも解説の通り、「国民健康・栄養調査」では経年変化の調査結果に関して、年齢階層による差異が生じやすい項目の全体平均については、2014年分から構成比によるひずみを補正した年齢調整後の値を併記するようになった。最初のグラフの通り「糖尿病が強く疑われる者」も年齢階層で大きな差が出ることから、経年でひずみが生じ得るため、年齢調整後の値も併記されている。そのため、グラフも別途生成した。社会全体の実情を知るには調整前、その動向の原因を考察するのには調整後のグラフを合わせて見るのが望ましい。

↑ 「糖尿病が強く疑われる者」の割合(経年変化)(20歳以上)
↑ 「糖尿病が強く疑われる者」の割合(経年変化)(20歳以上)

↑ 「糖尿病が強く疑われる者」の割合(経年変化)(20歳以上)(年齢調整後)
↑ 「糖尿病が強く疑われる者」の割合(経年変化)(20歳以上)(年齢調整後)

調整前のグラフの限りでは男性は高めに推移、女性はむしろこの数年では上昇すらしているように見える。しかし調整後のグラフと見比べると、女性はほぼ横ばい、ボックス圏内での動き、男性も同様でここ数年ではむしろ減少している。世間一般における「糖尿病リスクの増加」は、多分に元々リスクの高い高齢者の人口構成比が増加しているのが一因であることがうかがえる。

ただし直近の2015年に限ると、女性はともかく男性は年齢調整後においてもイレギュラー的な上昇を示しているのが分かる。これが単に突発的なものか、それとも男性における糖尿病リスクの上昇を意味しているのか(判断基準は2014年までと同じ)、翌年以降の調査結果の動向を見極めたいところだ。



今年2015年は通常ならば糖尿病に関する調査項目は簡易調査の年のため、現時点の概要ベースの公開値では、きわめて簡単な結果しか開示されていない。年ベースでの全体的な嫌疑率はほぼ横ばいだが(直近年の男性の値動きは気になる)、5年毎の大調査では2007年までは漸増、それ以降も横ばいの動きを示している。詳細動向は調査期間がある程度開くものの、むしろ大調査の結果の方が把握しやすい。

糖尿病は放置しておくと多種多様な合併症を引き起こす。特に「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」から成る3大合併病は高い発症率とリスクで知られている。確率的には自分自身はもちろんだが、身近な人の発症を見聞きすることが多分にありえる病気である以上、一通りの知識と予防策を学んでおくことをお勧めしたい。

なお今後、直近年分に関して詳細値が開示された場合は、別途記事「大調査直近分」において精査する予定である。


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