新型コロナウイルスの影響で大幅減少、特に法人と外国人の減少が著しい…賃貸住宅会社への来客層の変化(2021年6月発表分)(最新)

2021/07/29 03:32

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2021-0708賃貸住宅の管理会社によって構成されている業界協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに更新公開している【賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)】の最新版「賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)・2020年度下期(2020年10月-2021年3月)」が2021年6月に更新・公開された。その公開値を基に、賃貸住宅市場をさまざまな視点で、管理会社サイドのデータから推し量っている。今回は賃貸住宅管理会社に足を運ぶ客数の変化を確認する。賃貸住宅の需要動向が間接的ながらも把握できよう。

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各種調査要項などについては先行する記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化】に記載されているので、そちらを参照のこと。

賃貸住宅を管理する会社に来たお客の属性を「学生」「一般単身者(学生除く)」「一般ファミリー」「高齢者(65歳以上)」「法人」「外国人」に大別。その上で、それぞれの来客数(直接来店した人の数)の「前期」(今件ならば2020年4月-2020年9月)と比べた変化を尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 賃貸住宅管理会社に対する来客数の変化(前期比)(2020年10月-2021年3月)
↑ 賃貸住宅管理会社に対する来客数の変化(前期比)(2020年10月-2021年3月)

「学生」「法人」「外国人」は「減少」が「増加」を大幅に上回っている、「一般単身(学生除く)」「一般ファミリー」「高齢者」は「増加」が「減少」を上回るなど、それぞれの属性における来客数の動向がかいま見れる形となっている。「学生」「法人」「外国人」の減少度合いは、大都市圏への学生や会社員の転入自粛、そして入国規制で外国人そのものの流入減が影響したものと思われる(短観に指摘あり)。

傾向がより分かりやすいように、DI値(「増加」マイナス「減少」)を算出した結果が次のグラフ。よい機会でもあるので全国の平均以外に、首都圏、関西圏、首都圏・関西圏を除くエリアそれぞれにおけるDI値を算出し、併記する。それぞれの地域別の特性が見えてくる。

↑ 賃貸住宅管理会社に対する来客数の変化・DI値(前期比、増加−減少、属性別)(2020年10月-2021年3月)
↑ 賃貸住宅管理会社に対する来客数の変化・DI値(前年同期比、増加−減少、属性別)(2020年10月-2021年3月)

↑ 賃貸住宅管理会社に対する来客数の変化・DI値(前期比、増加−減少、属性別・地域別)(2020年10月-2021年3月)
↑ 賃貸住宅管理会社に対する来客数の変化・DI値(前期比、増加−減少、属性別・地域別)(2020年10月-2021年3月)

「学生」「法人」「外国人」はDI値がマイナス。いずれもマイナス幅が大きいのが目にとまる。前期では「学生」「法人」「外国人」ともにマイナスだったが、今期でもその状態が継続している。新型コロナウイルスの流行による移動・引越しの自粛、入国制限による外国人の流入激減などの影響が、さらに進んでいることがうかがえる。

また新型コロナウイルス流行の影響以外に、学生は来店する時間的余裕が無い、IT化が進み来店する必要性が無いと判断した結果、来客数としてカウントされる機会が生じないのかもしれない。さらに【大学生の自宅・下宿割合の推移をグラフ化してみる】にて解説している通り、大学生の保護者の財務事情から自宅通いが増えており、それが賃貸住宅の需要減につながっているのでは、との推測もできる。

「一般単身(学生除く)」「一般ファミリー」「高齢者(65歳以上)」はプラス値を示している。高齢者は賃貸住宅を借りる際に条件が厳しくなる(貸す側、借りる側双方)ので、問い合わせが必要な場合も多いのだろう。

地域別の動向を見ると、首都圏や関西圏で下げ幅が大きくなっていることが確認できる。大都市圏での新型コロナウイルスの流行が来客数、そして恐らくは賃貸住宅の需要そのものにも大きな影響を与えているようすがうかがえる。その分、首都圏・関西圏以外での値がマイナスにしても幅が小さく、プラスの場合は大きく上振れしているのが目にとまる。短観ではこの動きについて「転出自粛層の増加が原因」だと分析している。

今回数字化された来店客全員が賃貸住宅の契約をするわけではないが、契約の可能性は十分にある。少なくとも直接足を運んでいる以上、単に公式サイトを閲覧したりチラシを読んだ限りの人と比べ、賃貸住宅への興味あるいは必要性の度合いは高い。管理会社側としても冷やかし前提のものでない以上、来客はあるに越したことはない。その点ではお客の各属性の動向、地域別の変化はさまざまな方面で役立つ指標となるだろう。


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